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モノとトークンを循環させて両方の価値を高める実験-Henkaku Community 第2回モノオークション-
まだまだ暑い日の続く9月下旬。東京・恵比寿にあるNFT会員制のCrypto Cafe & BarでHenkaku Discord Community(以下、Henkaku Community)メンバーによるリアルイベント「HENKAKU mono-NFTオークション」(以下、モノオークション)が開催されました。昨年に引き続き2回目となる今回もイベント司会として参加させていただきました!今回はしっかり記録をnoteに残します。
Henkaku Communityとは?
Henkaku Communityは、かつてマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、現在は千葉工業大学学長の伊藤穰一さん(以下、Joiさん)の主宰する、カルチャーとテクノロジーを愛する参加者がプロジェクトを通してweb3の世界を学んでいくオンラインコミュニティです。現在は1200名ほどの規模で、国内外から多様なバックグラウンドを持った参加者がweb3全般についてはもちろん、教育、メタバース、地方創生、最近は生成AIや茶道など、様々なトピックについて議論と実践を重ねています。
その前身は来月で3周年を迎えるJoiさんのポッドキャスト番組『JOI ITO'S PODCAST』リスナーコミュニティで、現在Henkaku Communityに参加するためには以下4通りの方法があります。
Podcast番組にお便りが採用される
Henkaku Community公式サイトのエントリーフォームから応募
千葉工業大学講座「総合科学特論(web3概論)」の受講生から選抜
現参加メンバーからの推薦
Podcast番組プロデューサーのシナダさんによると、お便り採用きっかけで参加したメンバーが7割だそうです。ちなみに僕は2.のフォーム申請で5-6回応募して、めでたく昨年5月末に参加することができました。すぐに参加したい貴方には、1.のお便りチャレンジをお勧めします。
モノオークションとは?
モノオークションはHenkaku Communityで行っている茶道具をNFT(非代替性トークン)に結びつけ、コミュニティ内を循環させる実験です。
Henkakuで行ったのは「茶道具をNFT(非代替性トークン)に結びつけ、コミュニティー内を循環させる実験」です。
コミュニティーでは、金銭的な価値がないソーシャルトークン(コミュニティー内だけで使われる暗号資産)を発行しています。1時間当たり100トークンという目安を作り、イベントの開催や手伝いなど様々な貢献をしてトークンをためることができるようになっています。
今、コミュニティーには1200人ほど参加していますが、中にはお茶好きな人がけっこういます。そこで、使用していない茶道具や本があればコミュニティーに寄付してもらい、それを利用したい人はためたトークンを使ってオークションで競り落とし、一定期間利用できるようにしています。
このシステムのポイントは、所有権ではなくて使用権にしているところです。しかも、その使用権は1年で切れる仕組みにしているので、必ず期間内に次の人に回さないといけません。
オークションでやり取りされたトークンの一部はコミュニティーに還元されます。個人はコミュニティーに道具を寄付し、オークションでトークンの流通量をコントロールすることで道具とトークンをぐるぐる回し、両方の価値を高めていくことができるのです。
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/030800356/040100003/
Joiさんと中田敦彦さんの対談動画の中(再生時間33:00-34:40)で「モノオークション」の構想が語られています。
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昨年度オークションの様子
Joiさんの構想をもとに、昨年5〜8月にかけてコミュニティ内有志メンバーでNFTや茶道具の"出品"とDiscord Botと連携したトークン支払いによる"落札"ができるオークションシステムの開発、及びお茶会を交えたイベント設計が行われ、9月上旬に『HENKAKUお茶会&第1回モノオークション』が開催されました。
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でも折角なので入札者は会場でもアピール(笑)
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第2回モノオークション
大好評だった前回から満を持しての第2回は、新企画と新規出品物を持ち込み開催されました。前回からの大きな変更は、会場BGMがSUNO AIで作成されたボーカル曲だった点。千葉工業大学「web3概論」受講生の大学生・Kさんが、オリジナル曲を51曲(!)も作って、さらに進行プログラムの内容とマッチしたセットリストに仕上げてくれました。作曲は素人(本人談)ながらハイクオリティな楽曲を2日で10曲以上生成されたそうです。Henkaku Communityでもホットな話題の生成AIの威力にただただ驚くばかりでした。
企画1:茶杓に銘(名前)を付けよう
モノの銘(名前)は、茶道具だけでなく刀などの武具にも付けられる慣習があり、14世紀の茶壺に名付けられた事に端を発するそうです。銘を付けることでモノに魂を宿らせるという言い伝えを再現すべく、Joiさんにご用意いただいた名前のまだない茶杓に誰が良い名前を付けられるか即興の大喜利大会を開催しました。制限時間5分でメンバーそれぞれが考えた名前と込めた思いをDiscordに投稿→投票により優勝者を決定する流れで、現地出席者だけでなくオンラインメンバーも一緒に参加して楽しめる企画にチャット欄は大いに盛り上がりました。茶道具の名付け方には"景観の見立て"や"和歌や季語"など様々な切り口があるようです。多様な知見をもったコミュニティメンバーから素敵なアイデアがたくさん飛び出しました!
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最多得票で優勝したのは千葉工業大学「web3概論」講師でお馴染みのMINTAさん!銘は『春雷竹』。季語とHenkaku Communityを意識した命名でJoiさんの茶杓に魂が宿りました。この春雷竹は後のオークションにも出品されました。
春雷竹!
春の季語で、春先になる雷をつけた竹で! 一期一会の出会いを現しつつ、力強い変革も思わせる名前です⚡️
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企画2:キーボードでタイピング大会
自他共に認めるキーボード専門家・tenpapaさんによるキーボードの早打ち企画も大いに盛り上がりました!Joiさんの私物キーボードとmonkeytypeの課題文章(英語)を使用して、誰が一番「文字数多く」「正確に」タイピングできるかを競います。こちらは現地参加者限定のアクティビティでしたが、仕事柄キーボードを日常使うエンジニア、レポート課題や論文執筆をこなす学生参加者が多く激しい戦いが繰り広げられました。
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10名弱が参加した中、圧巻の打鍵精度と文字数を伸ばしたCommunity Manegerで大学生のAyappiさんが優勝でした!流れるようなタイピング技術に会場は大いに湧き上がりました。
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企画3:モノオークション
メイン企画のオークションは、第1回オークション落札者から1年の使用期間を経て返却された4点(Joiさんサイン入り書籍『ライフロング・キンダーガーテン』、Joiさんの茶杓『洗心』、Joiさんのメカニカルキーボード、昨年ものオークションのために寄贈された茶入れ)に加え、新規の3点(Joiさんサイン入り書籍『ニューロダイバーシティ入門』、茶杓『春雷竹』、自立型ロボットの描いた「変革」パネル)の計7点が出品されました。オークション開始前には、戻ってきた4点について昨年の落札者から使用したエピソードトークがあり、連動するブロックチェーン履歴と共に思い出や歴史も一緒にコミュニティに刻まれてゆく不思議な感覚と、このような儀式を経てモノに価値に繋がってゆく可能性に皆が思いを馳せていました。
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オークションが始まると、みんなお目当ての物品が出てくるたび自身の持っているコミュニティトークン(以下、$HENKAKU)で入札を宣言します。ここからはシンプルに提示できる$HENKAKU量勝負の世界で、茶道具3点をはじめ人気のアイテムで激しい入札の応酬が繰り広げられました!隣のメンバーの顔色とお財布事情を伺いながら考えを巡らせるオークションは、やはりリアル会場がとても盛り上がりますね。
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全ての物品に落札者が決まり、その記録はブロックチェーンとコミュニティメンバーの思い出として刻まれました。
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イベントを終えて
全ての企画を終えて残り30分は、1年ぶりに再開したコミュニティメンバー同士の親睦を深めました。ブータン王国から帰国直後のJoiさんや遠方から参加されたメンバーとお喋りに華を咲かせたり、Crypto Cafe & Barに今年導入された3Dプリンターでフィギュアを作ったり、卓球大会をしたり、最後まで和気あいあいの雰囲気で過ごすことができました。Discord(オンラインプラットフォーム)をベースにしたHenkaku Communityにおいても、リアルで会って交流する時間がとても大切だと、年に1度のモノオークションで再認識しました。
JoiさんのPodcast番組が3周年ということはHenkaku Communityも近々3周年ということでしょう(僕は在籍1年と少しですが)。今後ますますのコミュニティ活性化とコミュニティトークン&主役となるコミュニティメンバーの価値向上のため、モノオークションに限らず"ハレとケ"の"ハレ"を象徴するイベントの頻度を上げて開催できると良いなと思いました。
yukkaさん、Joiさん、Crypto Cafe & Bar担当さんはじめ動いていただいた関係者のみなさん、今回は充実した時間をありがとうございました!もう次回のモノオークションが楽しみです(笑)。
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Henkaku Communityの紹介はこちら↓
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