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ここにいると、いつのまにか世界は変わる

 「組織論」の講義を3つの科目で担当してもう10年以上になる。学部1年生向けの入門科目、学部の専門科目、MBAコースの科目、どの組織論でも モチベーション(動機付け)というトピックは取り上げているし、学生たちの関心も高いようだ。マズローの欲求段階説などの有名な”古典理論”は学生たちにも知られているのだが、3つの科目全てで議論の中心となるのは 内発的動機付け という考え方。

 何か目的を達成するためでもなく、成果を得ようとするためでもなく、やっていること自体に楽しさややりがいを感じて、自然とのめり込んでしまうような感覚を「内発的動機」と呼ぶ。湧き出るような”やる気”と言ってもいいだろう。ただし、”やる気”といっても、「やり切るぞ」とか「結果を出すぞ」とリキむ感じじゃなくて、目的や結果を気にせず「全力で楽しむ」ということだ。成果を気にせず、プロセスに没頭していると、本人は意識していなくても、いつのまにか結果がついてくるようなイメージ。

 授業では、シゴトとの関連について考えているのだけれど、学習活動との関連でも内発的動機付けは大切だ。「◯◯に関連した知識を習得する」とか「△△ができるようになる」とかを強く意識しなくても、活動自体に楽しさややりがいを感じて、全力で楽しんでいると、本人が意識していなくても、他者からは成長したとがわかる。それが内発的動機付けで学ぶ良さだと思う。

長岡研究室のサイトに、「ここにいると、いつのまにか世界は変わる」という記述がある。それは、長岡研究室のメンバーが内発的動機付けで学んでいるということだ。私は”魔法の杖”をもっていないので、「学生が頑張らなくても成長する」ことはないだろう。でも、やっていること自体に楽しさややりがいを感じて、自然とのめり込んでしまうような「学びの場」であり続けたい。

さあ、秋学期が始まった。今期も楽しく学ぼう!