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朝(雑記)

 透明なグラスについで一口
 飲んでみたくなるような朝焼けだった
 空気の味は
 おろしたての鉛筆の
 削ったそばから香る透明の匂い

 幾重にも連なった
 透き通る雲母のように層をなして
 うす紫の
 うまれたばかりの柔い光を透かしている

 そのいちまいを剥ぎ取って
 削って作った粉末を
 濾して作った陽光溶液の
 葡萄糖に似たあまい一口を
 私は唇でふれる

 夜を濾過した紅掛空色の
 雲母の群れの中を泳ぐような
 夜の終わりの残り香が
 今密やかに溶けて消える

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