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5G線上のアリサ【最終章#5話】ジジイのGG

#5話:ジジイのGG



【視聴時間=03:30】


〈ジジイたちが必死で食い止めました!〉

〈あの化け物みたいな秘書さん、今、完全に止まっています〉

〈ジジイのGGやね!〉

「ジジイのGGよ! みんな大好き!」
市民/清水

今の愛利沙は本音で言えた。

ロックシティに侵入をした。

池田が乗った車種は知られている。

丁重にエスコートをされた。

車で埋まったイノンタウン内へ無事に停車した。

「ここは愛利沙ちゃんにとって思い出の場所ね」

「お父さんとお母さんとよぉ行っとったもんな」

「先生、俺たちにできるのはここまでだ。後はなるようになれや」

「はい。本当に……感謝します」

ロートルズは娘のことを見送るように親指を立て、GJグッドジョブGGグッドゲームの幸先あれと愛利沙に告げた。

教師は相互フォロー関係の大事な生徒にハグしてから、「今までありがとう……」と言いデパート内を走りだした。

「清水ちゃん! 池田町はあんたのことを嫌っとらん! 加護さんもそれと同じや!」

「当たって砕けろぉ!」

「砕けてどうすんだよ、このオヤジ!」

フォロワーに直接「あっち!」と言われ加護の待つ映画館へ。

全力疾走する間、よぎる。

小学生から中学生へ、そしてドロップアウトをしてから苦い恋愛経験を経て、親に支えてもらいようやくここまで来られた感謝の気持ち。

彼女はようやく過去の自分の怒りや痛みを拭い去って、新たな自分にアップデートする気持ちのボタンを押しだした。

「……一緒になったら関ヶ原古戦場記念館……関の刃物市に行きたい……ピザ屋のあめんぼに、蕎麦屋の幸山にも行きたいんだから……池田山でパラグライダーにも挑戦してみたいわ……ねぇ、加護さん!」

亡き両親とよく来た場所へ。

引きこもりでも愛されていた。

記憶がフラッシュバックする中、愛利沙は加護に辿り着いた。

「……ずいぶんお疲れのようですね、お爺さん……」

「……あなたこそ、ツンデレラさん……」

「恐れずに言わせてもらいます。あたしはあなたの人生のフォロワーになりたい。加護さん、あなたにもあたしをフォローして欲しいの」

1000万人以上が見つめる5G線上ネットのアリサの告白ライブ。

彼女は傷付くことを恐れず新たな一歩に踏み込んだ。


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『”Out of the Flames”perfomed by RJ wilx,used under license from Shutterstock』

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