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5G線上のアリサ【最終章#6話】清水愛利沙

#6話:清水愛利沙



【視聴時間=02:40】


フォローの意味とは“追跡”。

そして誰かの後を追い求めること。

補い助け合うこと。

つまりアリサにフォロワーがいなかったのも、誰かをフォローをしなかったから。

それはすべて当然のこと。


追跡したい人でもないし、追っても何もなかった女性。

人と付き合うことも拒み、自ら心を閉ざした末に、補い合いも助け合いもしようとしないで生きてきたからーーー

「―――ずっと一人だった。繋がる前から諦めていた。孤独に浸って逃げていたの……でも、それではいけないと気付いた。あなたが気付かせてくれた。そんなあなたが……だから!」

SNSでも透けて見えた。

清水愛利沙の心の弱さ。

だけど今は違う。

適度な距離を保ちながらいられる。

彼女は人と繋がることを恐れぬまでにはなれたのだとーーー

「―――言える……今なら言える。100万人なんていらない。たった1人でいい。嫌われたっていい。好かれる分だけ絶対にいるから。加護さんが教えてくれた……自分のすべてを差し出して」

相手は25歳年上。

父の死期を鑑みるに、残り8年だけの関係と加護に言われたが二歩目も踏んだ。

「それでもいい!」と叫びながら映画館内のシートに座る、初老の男へ近付き続けG線上ネットの虚構も抱き締める。

「嘘でもいい! 全部好き! 嘘であって欲しかったことも、今なら全部受け入れる。受け止められる。あなたがいたから私はここまで来ることができた。加護さん、あなたが……」

三歩目、四歩目、五歩目も話し二人は遂に向かい合った。

虚構を生きた女と現実リアルを変えた男のG線上の、一人のフォローと一人のフォロワーを求める線が繋がった。


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『”Under A Spell”perfomed by Big Score Audio,used under license from Shutterstock』

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