Aimer思い出の10曲
第73回NHK紅白歌合戦にAimerさんの初出場が決定しました。
第64回輝く!日本レコード大賞 特別賞も受賞ということで、当日はテレビの前で応援をします。
先の見えない暗闇のような時代ならば、夜の中にいて朝を願う歌姫の存在がこれから必要になってくるのではないでしょうか。
Noteのプロフィールにも書いてある通り、Aimerさんは僕が一番好きな歌手です。
10th Anniversary Final”Cycle de 10 ans”ツアーを大阪で見届けました。
10周年にちなみ200曲以上ある中から僕にとっての思い出の10曲を選んで紹介します。
Mr.Childrenやスピッツ、宇多田ヒカルさんなど名曲を歌う人のコメント欄にはよく、曲から投稿者本人の個人的な想いが書かれている時がありませんか?
自分にとって特別であり、強く共感できる詞や曲には人をそんな気持ちにさせる力があります。
そんな個人的な視点で歌詞を追いながらつぶやくように書きます。
紅白を見る前、見る時に「Aimerとは誰だ?」となる方へ、少しでも熱い気持ちや魅力が伝われば幸いです。
1:「六等星の夜」 2011〜
ツアーのアンコールで歌われた曲です。
今やAimerさんは三等星、二等星になりましたが(世間的に)遠い存在とは思わない。
これからもっと輝いて欲しい。
LIVEを観て本当に感じたことは、「これからもっと大きな星になる人だ」ということです。
初期の曲ですが、ここから一貫してずっと夜や星のことを歌い続けています。
春夏秋冬、朝昼夕夜、光と闇、太陽と雨など、世界観も統一されています。
僕はAimerさんの歌や歌詞の世界が大好きです。
いつもふと懐かしい気持ちになるからです。
きっと近い世界観の詩や小説を書いてきたからでしょう。
共感をして自然と惹かれたわけですね。
歌詞をよく見るとAimerさんの歌手人生には一貫したテーマの中にストーリー性もあります。
そんな視点で聴くのもまた興味深いとは思いませんか?
10年経ち“トリル”“朝が来る”などの素敵な曲もリリースされましたが、まだ夜を抜けた気配はない。
一体どうすれば夜の世界を抜け出せるのでしょうか?
六等星の夜の歌詞を見るに・・・。
星屑の中で出会ったけど、星座を連れ去って消えた人が怪しいですね・・・。
僕も同じように後悔をする過去があるので、なおのことこの曲は特別なのです。
過ぎた時間は戻らないけれど、夜明けは来ます。
星の雨の中、星座を連れ去った人も戻りたがっていると思います。
2:「夜行列車 〜nothing to lose〜」 2012〜
夜行列車はアルバム『Sleepless Nights』の2曲目にありますが、僕はLIVEアルバム『ARIA STRINGS』でスロヴァキア国立放送交響楽団と一緒に歌ったバージョンが一番好きです。
2018年発表の作品ですね。
オーケストラに合わせると、列車から涙を浮かべて旅立つ景色がさらに広がりを見せて聴こえるからさらに美しく感じます。
LIVEに行ったらLIVEの良さや楽しさがどんどんわかってきたので、地元に戻っても色んな舞台や劇を積極的に見るようになりました。
AimerさんのLIVEに行ったら、1枚LIVEアルバムを買う楽しみも増えたのです。
この曲の思い出深い歌詞は全編。
物書きの癖として勝手にストーリーを作っちゃいますと、新しい名前にして旅立つけれど気付いてほしい。
誰にだろう?
これから歌を届ける人か、残した人か。
不思議な状況の中、赤く彩られた街灯に別れを告げて列車に飛び乗る!
新しい場所で頑張るぞ!
しかし、「許してほしい」というのはどういうことでしょうか?
「今さら不安な私を」
別れ際に母か誰かに不安や焦りを口にしたのか。
許してほしいということは何か後ろめたいことをしたと想定します。
Aimerさんの歌詞には“嘘”というワードが多いから仮に誰かに嘘をついたとします。
ここが夜行列車の思い出深いエピソードです。
僕も過去に人に嘘をつかれたことがあります。
大きく人生を狂わされましたが、許しています。
今ではすべて許しています。
そんなことを思い出すから夜行列車は好きなのです。
許すことよりむしろ気付いたらどうしたら良いのだろう?
ボケ〜、フラフラ〜とした僕にはそっちの方が謎です。
人生の中でふとした拍子に何かに気付くケースってありますよね。
知らない顔でいるのもつらいし、確信するにはもうあと一歩足りない感じ。
こんなにも早く気付いて欲しいという覚悟が感じられる名曲です。
でもこれでいいよ。
それでよかったんだよ。
そんな風に言いたくなる歌でもあります。
3:「あなたに出会わなければ 〜夏雪冬花〜」 2012〜
Cycle de 10 ansで聴く夢が叶いました。
ずっと大切に歌われている曲です。
朝を拒み、季節を止めてでも眠りたい。
そんな夢のような世界を見せた人は一体誰なのでしょうか。
罪作りな人に出会ってしまったようですね。
Aimerさんの魅力の一つは“寄り添う”歌の力です。
悲しみ、過去、後悔など。
闇や歪さすら肯定してくれるような歌を歌い続ける方はそう多くはいません。
悲しい人生を歩んできた人には胸を打つものがあるのではないでしょうか。
恋愛のルールは、普通別れたのなら忘れる。
そしてまた新たに半年後、1年後新たな恋に踏み出すものですが、そうはいかない場合もあると思います。
別れたり、離れてもなお消えない。
なぜか消すことも忘れることも許されない・・・ある種の魔法や埋めようのない喪失感、呪いや病気にも似た状態を生み出すこともあります。
僕にもそんな恋愛の経験があるから、この曲は思い出として残り続けるのです。
自分の弱さと取り返しのつかない孤独を知りました。
忘れたり、離れることも愛情だよ、というのは十分わかっているのですが、それとはもっと違う不思議な絆の形。
どんな形でも一緒に生きていきたいという願いはあります。
この歌詞には深く共感せざるをえないものがあります。
4:「君を待つ」 2015〜
「さよなら おやすみ いつかまたね 手を振った夕暮れ」
という歌詞のフレーズを初手でもってくるのは珍しいです。
どこかの庭園が餞でも贈っているかのようですね。
Aimerさんの作品は深い森のイメージも強くあります。
それはステージのセットを見てもよく伝わりました。
僕も小さな頃から何かと森で過ごしていたし、深い闇の中で生きてきたので共感してしまうのです。
“眠りの森”や“ポラリス”もそうです。
孤独や闇を肯定してくれるところが本当に好きです。
好きが高じて闇夜の詩人シェル・エグゼウスというキャラ誕生に影響を与え、モデルもAimerさんという説があります。
緩急話題。
LIVEのパンフレットも素敵です。
特に最後のMusicianたちバンドメンバーや支えてくださる方々も少しずつ覚えています。
野間康介さん、佐々木“コジロー”貴之さん、三井律郎さん、高間有一さん、宮川剛さん、柳野裕考さん。
アゲハスプリングからの関係者の方々もじぃ〜っと見つめて覚えようとしています。
紅白や次のLIVEで見たら「あっ!」と気付けるようになりたいです。
5:「ninelie」 2016〜
ハッキリと覚えています。
Aimerさんの歌を初めて知ったのは、アニメーション作品『甲鉄城のカバネリ』を観てからです。
最初は「この声は日本人ではない。ハーフの人だ」と勝手に決めつけていました。
もともと澤野弘之さんが好きで、澤野さんが劇伴を手掛ける作品はたくさん観ています。
ガンダムUCの前にカバネリを観ました。
名前も「アイマー?」という初心者あるあるなパターンでした。
時は流れ車を運転していた時、FM放送局の邦楽カウントダウン番組でAimerさんのベストアルバム“blanc”と“noir”が1位で発表され、「あ、この声の人知ってる!」となりすぐに大好きな歌手になったというわけです。
以降ずっと毎日聴いているから5〜6年なのですね。
そんな思い出深い一曲なのです。
6:「茜さす」 2016〜
名曲です。
詞がとても美しいです。
夕暮れ時の儚さや切なさが和の言葉のエッセンスで綴られています。
“歌鳥風月”や“残響散歌”も同じ系譜にあると思います。
Aimerさんの日本語の使い方の素晴らしさが込められているので、次のLIVEで聴きたい曲です。
歌詞全般にいえることは、歌う対象が明確でないことが多い点にあると僕個人は思います。
いつもどこかぼやけていたり、後ろを振り返って探し求めている印象があります。
残響散歌はその点を振り切っています。
「不確かだけど遠くに響けぇ!」という感じで突き抜けたり吹っ切る表現がたくさんの人に受け入れられたのかもしれません。
歌う対象がもっと明確になれば一等星どころかさらに超新星になれるとひしひし感じています。
このように順を追いながら見ると、どの時期にもその時々の声や歌い方、歌詞、曲の素晴らしさがあるから、どの世代の方もどの曲を入り口にしても大丈夫です。
歌姫に抱く最初の印象はサムネイルのように見えますが、少しでも知ると最後のイラストのように見えるようになります。
7:「Ref:rain」 2018〜
こんなにも素敵な雨の歌はありません。
ASKAさんの“はじまりはいつも雨”のように好きな一曲です。
この曲もやはり季節、過去、未練のような印象が重なります。
“あなたに出会わなければ 〜夏雪冬花〜”のように、お互いに触れあわなければ笑うことができた未来があったのかなという儚さと切なさが雨の中に入り混じっています。
Ref:rainが思い出の一曲なのは、僕ももっと大人だったらあの時、もっと正しい行動ができたり、大切な人を傷付けない道を選択できたのかということを悔やまない日はないからです。
たぶん、お互いが間違いだった。
僕も自分に非があるところは山ほどありました。
だけど出会えたその人のおかげで救われたという気持ちで今も生きています。
Ref:rainを聴くたびに、どうしようもない虚しさや満たされない空っぽの気持ちが雨に打たれます。
あの時間が一番大切だったのだと思い出されます。
できればまた触れたいけれど、時間の壁はどうしようもないのかなという気持ちになる名曲です。
ツアーの7曲目で歌われてとっても嬉しかったです。
ARIA STRINGS5曲目のオーケストラバージョンも大好きです。
8:「悲しみの向こう側」 2020〜
名曲です。
個人的にYouTubeで一番再生している歌ナンバー1です。
Studio Live for the 9th Anniversaryバージョンを一番聴いています。
ピアノの伴奏だけでもAimerさんの声の魅力が強く伝わります。
この動画の段階で僕はAimerさんの顔をよく知らなかったのですが、なぜかすごく懐かしい気持ちになりました。
昔に会った母親の方とそっくりだからだと最近わかりました。
不思議な話です。
タイトル通り悲しみの歌ですが、その先を信じる願いが強く込められた名曲です。
声は届いているし、選んだ道は間違い、願いは叶うよと夕日の中から笑顔でそっと言葉をかけてあげたくなります。
ここでも嘘という言葉があります。
そしてあやふやな言葉を抱いたまま、過去を振り返っているのも一貫しています。
遠い誰かに向けて、気持ちを届けています。
「ほら まだここで色あせずに 信じてるんだ」のフレーズは、“ポラリス”の「そうやって生きてきた 君のためだけの」と同じカタルシスが歌の中で発生します。
悲しいことはたくさんあるけど、それでも信じる。
向こう側には何かがあるんだ。
いつか届くんだ。
そんな想いがたくさんの人の心を打つのだと思います。
夜空に散った人には届いていると思います。
いつかLIVEで聴きたい特別な一曲です。
9:「夜の国」 2021〜
YouTubeで観ることのできる短編アニメです。
第一夜 -22時の案内人-
第二夜 -26時の探し物-
第三夜 -4時の手紙-
3部作で構成されています。
愛犬を亡くし感情をうまく出せなくなった少女・千夜の話。
新たな交友関係になじめずに思い悩む少女・紬の話。
夢を諦め、就職活動がうまくいかずに焦る暁の話。
ヨルが導き、優しく夜明けを迎えるこの一連の話に僕は共感を覚えます。
眠れない夜を過ごしたり、不安なことや悲しいことはあります。
それでも大丈夫だとそっと寄り添ってくれるのは、Aimerさんの一貫したテーマと強さ、優しさのように見えます。
“トリル”、“グレースノート”、“星の消えた夜に”。
この3曲がstudio daisy制作のアニメーション作品で美しく流れるのです。
この夜の国の世界観はとても大好きです。
そんな詩集や物語を作った経験もあるからなおのこと、「親しみやすい景色だ」「自分の心の風景のようだ・・・」となり、今でも見返します。
誰もがヨルと会っているはずだし、ヨルのようになりたいのではないかな。
素敵な物語には星のような涙が流れます。
“星の消えた夜に”は2013年にリリースされた曲です。
それを2021年に再び発表するというのはAimerさんにとって特別な一曲なのかと思い選びました。
いつまでも心に残る歌と物語をありがとう。
10:「Ivy Ivy Ivy」 2022〜
最後に選んだのが“Ivy Ivy Ivy”です。
“オアイコ”もそうですが、明るくて優しい歌も大好きです。
“Brave Shine”や“残響散歌”のように力強い曲もまた大きな表現の強みです。
紅白で何が歌われるかより、デビュー10周年を終え、11年目を迎えるにあたり今後も夜の世界を歌うのか、夜明けの先の世界を歌うのかが大切だと思います。
“六等星の夜”から始まり、一貫したテーマをもち、音楽の世界で生きる歌手の人生を優しく温かく応援し続けたいからです。
“Ivy Ivy Ivy”を通して伝えられることは「LIVEに行くと良さがさらにわかります」ということです。
「ドラマ主題歌のアップテンポな曲だなぁ!」という印象のまま大阪城ホールのLIVEへ足を運んだら、本番ではみんなで一緒に手を振るのです。
その記憶がとても焼きついていて、LIVEに来ていたみんなの顔を見ながら手を振るととても幸せな気持ちになれたから思い出の一曲に選びました。
何に関してもそうですが、実際に見て経験をしたことがやっぱり一番確かで大切なのだと信じています。
オリンピック、サッカー、スラムダンクの映画にしてもそう。
紅白歌合戦にしてもそうです。
新しく何かに挑戦をしたり、初めて舞台に立つ人は素直に温かく祝福をすればよいのです。
だから大丈夫。
そのまま優しい夜の世界を大切にしてもよいし、朝を迎えて自分の道を進んでもよいのです。
「おわりに」
以上が思い出の10曲です。
200曲以上もあるのに10曲で選ぶことなんてできないから、今まで書いた文章や記事の中で一番悩み、考え抜きました。
例えば、大阪城ホールLIVE2日目、僕の隣にいた女性は“ポラリス”で涙を流していました。
どの曲がその人にとって特別なのかは聴く人の数だけあるのです。
こんな時代だからこそ、自分の目で見て聴いて確かめることの大切さを噛み締めたいです。
この暗闇のような世界、夜の中にいて朝を願う歌姫は今後、もっとたくさんの人を救い、助ける歌を届けるのでしょう。
DIVAは人の数だけ存在しますが、僕にとっての歌姫はAimerさんです。
Jet’aimerai toute ma vie
僕が一番好きなフランス語です。
Aimerさんの名前を見るだけで生きる勇気をもらいます。
遥か昔、この想いを届けた人をいつでも思い出せるからです。
オードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローに憧れていたその人です。
今でも言葉は守っています。
だけど時の流れは残酷で、今となっては何が真実かは闇の中。
いいや、もうあと一歩でわかるような。
いつか夜明けは来るのかな。
そんな気持ちで毎日を乗り越えています。
今回は歌詞を追いながらつぶやくように書きました。
紅白を見る前、見る時に「Aimerとは誰だ?」となる方へ、少しでも熱い気持ちや魅力が伝われば幸いです。
これまでの10年にこちらこそありがとう。
そしてこれからの10年も応援します。
Aimerさんなら大丈夫!
顔を上げて笑顔で歌ってください!
Thank you for reading!