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5G線上のアリサ【最終章#9話】G線上の愛利沙〈完〉

#9話:G線上の愛利沙



【視聴時間=05:10】


川や田んぼやビニールハウスや小学校のプールの中に、桜が舞い散り流れ浮かび、木々には新芽が出るその頃に、愛利沙と加護と総理が起こした騒ぎは収束を迎えた。

IOE化へ進む道を新たに開拓するきっかけに。

30億は約束通り近隣町へと還元された。

残る2970億は池田町によって、都市化が成されることよりも先に歳を経ても住みやすい町へ特化方針。

田舎であっても都市と変わらぬ豊かを持ち、自然と共存するモデルを。

池田町長は実行している。


その中心はパソコン教室。

今日もアイデアを出し合いながら、執事によく似た旦那と共同経営をする教室内は、全国各地の地方のモデルケースの話で盛り上がる。

「だからそれは池田町に予算があるから言える話であってーーー」

「―――大野町や垂井町には適応できないっちゅうんか―――」

「―――予算をクラウドファンで分配してあげればいいじゃない。まだ2800億円以上あるわ」

「金銭感覚麻痺だけは勘弁してちょぉ」

「池田町だけでテストをするのではなく、同時並行してサスティナブルな―――」

「―――清水先生、余り熱くならないでください」

「加護さんも先生やろう。町長も選挙に出馬するから先生と呼ばなあかんなぁ」

「そうなるわねぇ! 確かにずっと愛利沙ちゃんは清水先生として見てきたからまだ慣れないわよねぇ」
加護/井口/平野/池田

結ばれた後「次の桜が咲く頃までに結婚しよう」。

そう決めていた愛利沙は加護と共に実現させていた。

次に新たな時代に向け6Gの準備も済ませ、その時、IOT化をどれだけ国に普及をできるものか?

地域の格差をなくし都市にも負けない接続性を備え、地方が未曾有の災害に向け連動しながら即時動き、最小限の被害で済むよう考える時を迎えてもいた。

「IOT化で地震の予測も付くようになり、技術の発達でウイルスも可視化できるようになった。だとしたら震度によってスマホやVRメガネに軽く流せるようにして―――」

「―――いざ来たら避難行動を迅速に取れるようにすればいいというわけですね」

「もう阿吽の呼吸やな」

「元々こんな感じだったじゃないですか」
加護/加護/井口/加護

加護夫妻は始まりの地で未来の日本を作り続ける。

総理に対し指南役と指導役も続ける加護が、バックアップをしながら国家もサポートの末、アップデートを。

経済利益の還元はないが慈善活動でアイデアを出す。

趣味で国家の未来を予見しG線上ネットで民を守れるように、愛利沙たちは常に考えあらゆる計画プランを練っている。

「大垣を起点に近隣町もスマートシティのミニマム版へ。地方を基準に臨床実験を行い全国に並列化。リンクしながら拡大化へ。これでいいですね?」

「はい」

「グローバル化とコミュニティ化の両立。科学、自然、芸術文化国家へと特化。日本を導き、世界に向け地球環境に優しい国と示すまで総理を続けると仰っていましたからね」
加護/ロートルズ/加護

年寄りだろうと若者だろうと国と経済に役立つことを、どこでも可能なことを証明させた最初の二人を見ながら、そろそろ休憩時間に入るとロートルズは切り出した。

「愛利沙ちゃん、先は長いから休み休みいきましょうよ」

「あたしにとっては短いの!」

「皆さん紅茶をもう一杯どうですか?」

「はぁい!」

現実リアルと仮想空間の境がどんどんなくなる社会に対し、これから先も向き合うようにG線上の愛利沙は笑う。

岐阜県揖斐郡池田町で彼女はいつでも待っている。

「―――さぁ、次はどんなG線上が訪れるのでしょうか。どんな時代が来たとしても、一緒に乗り越えていきましょう」

赤いメガネをかける彼女は青いメガネのパートナーへ、元気につぶやき隣に寄り添い紅茶を片手に笑いながら、明るい会話を挟み未来の日本を今日も描きだした。


〈完〉



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