ブラウス風襟付きノースリーブカットソーを作る。モデリング編
今回は自力で衣装を作ることを目的とした講座、というか作成手順を紹介していく記事です。出来るだけ丁寧に手順を追って書くことを心がけていたらクッソ長くなってしまいました。
※説明用の画像が縮小されておもったより小さくなってしまいました、スミマセン。スマホからだと拡大して文字も読めるのでご勘弁下さい。
BlenderにCM3D2Converterを導入してあることが前提となっています。
当noteの過去記事やEastpointさんのwiki(http://seesaawiki.jp/eastpoint/)、夜勤Dさんのメモ(http://yakin-memo.memo.wiki/)あたりをご覧になって下準備してみて下さい。
なお、ある程度操作に慣れている事を想定しているのでところどころ説明が不十分である可能性もあります。わからない用語が出てきたらググりつつ頑張ってみて下さい。
また、わりと行き当たりばったりで作りながら説明を書いているので、やるべき作業が前後したりしていますがご了承下さい。あと、逐一これでもかってくらい保存をかけましょう。たまに別名保存も大事です。
①素体を呼び出す
オブジェクトモードでメニューの追加から選択。衣装を作る場合はTスタンス素体を使います。
アウトライナーでボーン表示をオフにしておくと見やすいです。
②手足と頭を消す
素体の上に新しく作っていっても勿論良いのですが、身体にフィットしたアイテムを作りたい場合には素体から切り出したほうが早いし綺麗だし楽ちんです。
とりあえず編集モードで片腕の上どこかにカーソルを合わせてLキーを押すと一部が選択されると思います。全体が選択される場合はオプションがシーム区切りになっているか確認して下さい。
その状態で両腕両足と頭の適当なところでLキーを押して選択したらDelキーで面削除。
手足の先だけが残るのでZキーでメッシュ表示にしたらBキーの矩形選択で残っている部分を選択、削除。これで胴体だけが残ります。
③合わせたいボトムスをインポート
作り終わったあとで合わせたいボトムスにウエスト部分が干渉して修正するのも面倒なので、この時点でインポートして決めておくのが楽です。
今回はバニラ品からセーラー服のスカートを合わせることにします。短パンと合わせたい人は短パンをインポートするといいと思います。
mywear030のdress030_skrtをインポートしました。
インポートしたアイテムに対してもボーンが表示されるので非表示にしておきましょう。
④下半身を消す
ここからおおまかに形を切り出していきます。まず下半身が不要なので消します。
テンキーの1を押すとカメラ位置が正面からになります。また、5を押すと平行投影になるので作業に合わせて切り替えると便利です。自分はほぼ平行投影で作りつつ、たまに透視投影にしてバランスを確認するという感じでやってます。
平行投影にする利点は、カメラを正面からにした場合「前面と背面の頂点位置が重なる」という所です。Zキーでメッシュ表示にして範囲選択をすると効率的に作業が出来たりします。
平行投影でカメラを正面にし、Bキー矩形選択でスカートに重なる下半身部分を一気に選択しました。これを削除すれば上半身のみになるので形を微調整していくだけとなります。へそ出しがいい人はもっとバッサリ行っても良いです。
⑤ミラーモディファイアを設定する
衣装はだいたいの場合左右対称なので、ミラーモディファイアを使うのが楽ちんです。
面選択モードになっていることを確認し、下半身を消したときと同じ要領で右か左の半身を消します。面が密集している鎖骨のあたりは真ん中よりも選択範囲が広がりやすいので拡大しつつぐるっと背中側まで確認してからDelキーを押すようにしましょう。
モディファイアからミラーを追加し、クリッピングにチェックを入れます。
⑥四角面に変更する
まず、作業しやすくする為に三角面から四角面に変えます。頂点選択モードで乳首のど真ん中の頂点を1個選択して、Ctrlを押しながらテンキーの+を13回(たぶん)連打して胸の円になっている部分だけを選択、選択範囲を反転させます。
この状態でAltとJキーを同時押しすると選択している面が四角面になります。
胸だけ三角面を残すのは今回は胸部分を触らないのでわざわざ四角面にする必要が無い事と、三角→四角→三角(最終的なエクスポート時にすべて三角面になる)で変な形のメッシュが発生して胸のラインが歪まないようにするためです。
場所によっては三角面が残ったり変な形の四角面になってしまったりするのですが、作業中に不都合があった時に直せばいいだけなのでそのままで大丈夫です。
⑦裾を揃ておく
裾がガタガタだと思うので綺麗に直します。
Altを押しながら裾の切り口の頂点をどれか選択するとぐるっと切り口が選択されると思うので、切り口の頂点がすべて選択されているか確認したらその状態でSキー(拡大縮小)→Zキー(Z方向に対して)→テンキー0(頂点を0位置に)とコマンドします。
自分の作業環境では背中側の頂点が一部自動選択されなかったので手動で選択してからコマンドしました。コマンド後はたぶん後ろ側がボトムスにめりこむと思いますがまだ修正しなくて良いです。
この時、裾を決めた位置によっては次の画像のように裾より上にあった頂点が下に飛び出る事があります。
そういう時はマニピュレーターをグローバルにして揃えた裾の頂点をZ方向(青い矢印)に下げてあげて下さい。どこも頂点が下に飛び出さないように出来ればOKです。
⑧厚みをつける
まず、脇の下にゴミが残っていたら消します。
バランス確認用の素体を呼び出します。素体の肌色とかぶってしまうので編集中のアイテムはskinマテリアルを削除して下さい。また、今後わかりやすいようにアウトライナーの名前を変更しておくと良いかもしれません。
素体を呼び出すと頂点位置が全く同じになってしまい見づらい上に、服としても厚みがなくボディペイント状態なので、ある程度厚みを作ります。
Aキーで全選択し、Alt+Sキー(法線方向に拡大縮小)→0.02~0.03程度の数値をキーボードで入力します。結果を見て好みの厚みになるまでCtrl+Z(アンドゥ)で一手戻りつつ試してみて下さい。今回は0.02にしました。
⑨肩部分を作る
肩のラインを綺麗に作るためにまずマテリアルを2つ追加し、1つのディフューズを適当な色に変えます。
肩の切り口をAltクリックでぐるっと頂点選択し、Ctrlを押しながら+キーを2、3回押して選択範囲を広げます。その状態で、色を変えたマテリアルに割り当てて下さい。
なぜこのようなことをするのかというと、現在はTスタンスで作業をしているので最終的な出力時と肩の位置が変わってきます。マテリアルで色分けをしておくとオブジェクトモードで直接境目が確認出来るので効率が良いのです。
オブジェクトモードに変更してカーソルキーの右を押すと、デフォルト姿勢の状態が確認出来ます。中腰の状態で好みの位置に肩のラインが来るまで、選択→マテリアル振り分けを繰り返すというわけです。スタンスをTに戻したい場合にはカーソルキーの左を押せば良いです。
赤に割り振った方を白に戻したい時は選択して白いディフューズのマテリアルに割り当てし直せばOKです。
そんな感じでざっと好みの位置に合わせた状態が次の画像です。
切り口がガタガタしているので修正します。
Kキー(ナイフ)を押してガタついた部分の頂点をクリックし、別の頂点と繋いでエンターを押します。
新しく出来た面を色分けしてラインを確認します。
これを繰り返して綺麗なラインを作っていくわけです。Tスタンスでガタガタして見えてもデフォルト姿勢で綺麗に見えている状態になれば良いので、編集モードとオブジェクトモードを行ったり来たりしつつ頑張って調整します。
この時、作った辺が気に入らなかった場合にはCtrl+Zで戻るのではなく編集モードでいらない辺を選択してDelキーの削除メニューから「辺を溶解」で消して下さい。
オブジェクトモードと編集モードそれぞれで保有しているリドゥ・アンドゥが異なる為、オブジェクトモードでアンドゥをすると編集モードでは元に戻せなくなります。行ったり来たりしている時にCtrl+Zを押すと事故が起こりやすいのです。なれないうちは面倒でも確実な操作をしたほうが良いと思います。
なかなか好みの場所にたどり着けない、という時は作った辺に含まれる頂点をスライド移動させてみてください。頂点を選択してGキーを二回押すと辺の上をスライド出来ます。元々の素体の頂点はあまり弄らず、作った辺上の頂点をずらして好みの形に持っていくようにすると最終的に綺麗に行きやすいです。どーしてもどーしてもダメだ!というときは素体の頂点を多少ずらしても問題は無いです。
⑩襟を作る
襟は襟の土台を作ってから襟の形を切り出して厚みをつけるという方法で作ります。
まず首の切り口をAltクリックで選択、Eキー(押し出し)→Zキー(Z方向に)とコマンドし、マウスを動かして好みの高さでエンターを押して決定します。ある程度押し出してからマニピュレーターで高さを調整しても勿論大丈夫です。
襟の形より一回り大きいくらいの選択範囲を作って、切り口の頂点選択を解除します。その状態でWキーのスペシャルメニューからスムーズを2~3回繰り返し選択して首周りを滑らかにします。この時鎖骨も選択範囲に入れておくと段差が滑らかになるので、ややゆったりした衣装を作る時は入れることをオススメです。
自分は今回範囲スムーズを3回、その後首のもともと切り口にあたるラインのみを選択して2回ほどスムーズをかけました。
押し出した頂点が首元のラインにふさわしくなかったので、背中部分の頂点を裾を揃えたときと同じ方法で揃え、尖った部分はGキー2度押しのスライドで馴染ませました。
最終的に襟は一回り以上大きく出来上がるので、首周りがゆったりしすぎている場合にはAlt+Sキーで少し縮小しておくと良いと思います。また、Ctrl+Rのループカットで首元と襟本体の間に辺を入れてスムーズをかけておくとなだらかなラインになります。
マニピュレーターをノーマルに変更して頂点位置を直接弄ったり、スライドを駆使して納得行くラインに仕上げます。
襟の形よりやや大きめになるように面を選択します。
そのままでShift+D→エンターまたはツールメニューから複製を選択→マウスを動かすと複製後の位置が変わってしまうので、一切動かさずそのままエンターで決定。それからPキーを押してオブジェクトを分離しました。この分離したパーツが襟になります。
首元以外を選択してAlt+S→0.01~0.02くらい。マテリアルを別の色にしておきます。
肩を作ったときと同じ要領で、Kキーのナイフで辺を作ってマテリアルを異なる色に振り分け、好みの襟の形を作っていきます。鏡像のシルエットを見るとわかりやすいと思います。スライドやスムーズを使ったり、マニピュレーターで頂点をいじってガンガン好きな形に持っていきましょう。
襟もウェイトに引っ張られて微妙に形が変わるので、Tスタンスとデフォルトポーズを切り替えてシルエットを確認して下さい。
⑪裾を決定
本体に戻って裾をぐるっと選択。プロポーショナル編集モードを有効にし、Alt+S→0.04くらい?スカートに被らない程度のお好みで。今回は裾にフリルをつけることも考慮して若干ふわっとしたシルエットを目指します。
背中側が凸凹していたので、不要な頂点を溶解で消してガタついた部分はプロポーショナル編集モードをオフにして頂点を直接動かしました。また、辺が足りないと思ったのでナイフで切ってスムーズをかけています。
このあたりは腰の位置をどこで決めるかで変わってくると思いますので参考までに。
くびれ部分が寸胴になってしまったのでプロポーショナル編集を有効にしつつAlt+Sで縮小をかけて好みのシルエットになるようにしました。
腰のシワを作りたい場合はナイフで切って、プロポーショナル編集オフ状態にしてAlt+Sで拡大。
そんな感じでナイフやループカットで辺を足したりしつつ、胴回りのシルエットが好みの形になるまでいじりまわします。最終的に若干裾広がりっぽい感じにするのが良いかなと。
⑫不要部分を消す
消す前に何度かデフォルトポーズとTスタンスを行ったり来たりしてシルエットを確認して下さい。(消す前の状態で別名保存しておくのが良いです)
問題なければ色分けした部分を選択して削除します。マテリアルから選択すると楽です。
というわけでこれで本体部分が出来ました。
⑬フリルを作る
袖をぐるっと頂点選択して、複製→Pで分離します。分離したらわかりやすい名前をつけておくとあとが楽。
分離した袖のミラーモディファイアを削除し、アーマチュアモディファイアのみに。カーソルキーの左右を操作してデフォルトポーズに変更後、モディファイア強制適用。これで袖の頂点がデフォルトポーズの状態で固定されます。
Tスタンスのままだとフリルを配置した時に最終的な形状が把握しづらくなってしまうので、デフォルトポーズに合わせたほうが作りやすいのです。
オブジェクトモードでAlt+Cを押してメッシュをカーブに変換。
裾も同様にぐるっと頂点選択→複製→分離→カーブに変換してください。裾はポーズを変更しても変わらないのでアーマチュアモディファイアの適用は必要ないです。
オブジェクトモードで3Dカーソルの位置が0.0.0.になっていることを確認し(なってなければ直接0と打ち込む)、平面を新規作成。アウトライナーの一番下に追加されると思いますので選択して編集モードに入ります。
Rキー(回転)→Xキー(X方向に)→90(90度回転)とコマンドします。板が正面を向きます。
ループカットをタテ・ヨコ4段くらいずつ入れます。作業に邪魔なら素体は非表示にしましょう。そんで中央部を一番上の頂点残して選択して、マニピュレーター(グローバル)でY方向に前に出します。
縦方向の頂点を上から一つ減らし、横方向に一つずつ増やして更に前に出す。
カクつく部分をKキーのナイフで切って三角にする。
ただの波々のヒダヒダならこれで完成でも良いですがフリルらしくする為にもうちょっと手を加えます。
中央の下側を選択してSキー(拡大縮小)→Xキー(X方向に)→2(2倍の大きさに)
選択範囲を1行減らしてSキー→Xキー→1.5
中央にループカットして下から4つの頂点を選択し、Rキー(回転)→Xキー→マイナス15度
マニピュレーターでY方向に前に出す
この状態だとカクカクして見えてよくわからないので、全選択→Wキー→スムーズ面で表示を滑らかに
スムーズ表示にしてもまだカクついて見えるのでカクついている頂点を選択してWキーメニューからベベル(面取り)→マウスを動かして好みの幅になるまで動かす(マウスを動かす方向によっては反応しないときがあるのでグリグリ動かしてOK)→エンターで決定
面取りした箇所がへこんでいる場合はマニピュレーターで前に出しておくなりスムーズをかけるなりで調整して完成。
このままだと大きすぎるのでAキー全選択→Sキーで適当に縮小しておきます。
複数配列、カーブモディファイアを入れて袖にぐるりと配列します。オブジェクトモードに移動すると配列されている様子が見えるので編集モードと行ったり来たりして好みの大きさまで縮小・拡大で調整。
フリルの形自体が気に入らない場合は作り直したり頂点弄って調整したり頑張って下さい。フリルの作り方は色んな人が講座作っているのでググろう。
私がこういう作り方をするのは超点数をあんまり増やしたくないからです。最終的に本体とつなげる時、本体との接続部(この場合は上側)の超点数が少なければ少ないほど調整しやすい(と思う)ので。
袖のカーブを選択して編集モードに入り、カーブの頂点を弄ってフリルの形状を調整していきます。
まず脇の下にフリルは要らないので(ここは好みなので残したい人は残してもOK)、不要部分の頂点を選択(Cキーの範囲選択が楽ちん)→Delキーメニューからセグメントを選択。
向きを調整。全選択、あるいはフリルの傾きを変えたい頂点を選択してトランスフォームの傾き→マウスを動かして調整。
面が反転している場合は全選択→向きを反転。
頂点の法線の長さを変えてフリルの長さを調整。長く、あるいは短くしたい頂点を選択してCtrl+Sキー→ドラッグ→エンターで決定
これで肩のフリルが出来ました。フリルのオブジェクトにミラーモディファイアを設定すると反対側にも出現します。
裾にも同様にフリルを配置します。フリルのオブジェクトを複製、モディファイアの設定を裾のカーブに変更するだけです。
裾のカーブも袖と同様に頂点の傾きを修正したりして、フリルの形状を調整します。
これで全体の形は完成です。