東方虹龍洞・曲感想
~~~~~~~~~~~~~ネタバレ注意~~~~~~~~~~~~~~~
序
おそらく多くの人が、2020年という一年の空白から、此度の新作に対する期待を過分に膨らませていたであろうことは想像に難くない。こうして取り立てて感想を書こうと思ったのは、毎年当然のようにあったゲームタイトルのリリースが1年欠けていたために懐いた、蓄積された待望の念の発散ために他なりません。
タイトルテーマ
第一の印象としては、近年のややアップテンポな曲風とは違いやや湿気のある空気を含んでいるという点。今作は色覚的なデザインという意味で「天空璋」とよく似ている。したがって視覚から受ける印象は「虹龍洞」とは通じているものがある。しかし、タイトルテーマに代表される楽曲はその作風を大いに異としているために、どちらかというと「風神録」の「封印されし神々」に近い湿った空気感をはらんでいる。もっと言えば、「稀翁玉」の「稀翁玉 ~Fairy Dance」のような静謐として瀟洒とした趣がイントロに感じられる。(聴き比べてみて下さい。)今作では3面道中曲に強く西方projectの作風が残っているように思われるが、この曲にもややそれがある。
また、東方楽曲のいつものアレの展開(0:38~0:58あたり)の一部には、「永夜抄」の「月見草」(0:47あたり)に似たような展開が見られ、やはりどこかさっぱりとした感覚に至らせられる。
以上を総合すると、「風神録」のようなやや湿気を帯びた空気感に、「稀翁玉」のどこか瀟洒なイントロ、「永夜抄」の「月見草」のような清冽とした趣のある”いつものアレ”からなる曲だった。
1面
道中曲の雰囲気は、タイトルテーマの空気感が地続きとなったような感がある。かといって先に述べた「風神録」のような雰囲気とはどこか違っている。「雨」という今まであまりなかった属性のためか、前作までの1面道中曲とはかなり異なっているようだ。一方で、かつてのメロディに近い部分もあった。0:47にかけてのメロディが、「地霊殿」の「エネルギー黎明 ~ Future Dream...」の0:15付近を想起させる。かつての曲のイメージがあるのはここくらい(他にもあるかもしれない)で、何とも新しい空気がある。
1面BOSSも同じく、何となく新しい感じがあった。1面BOSSらしいシンプルな曲作りだとは思うが、メロディ自体にはあまり懐古臭のない雰囲気がある。
2面
道中曲は、イントロが「風神録」の「麓の神社」を想起させる。しかし雰囲気が明るいわけではない。何にしろ、前作「鬼形獣」の2面道中曲「ロストリバー」を思い出さずにはいられない。三拍子なうえにどこか暗鬱とした空気がよく似ている。河川という青い情景にある「ロストリバー」から、今作の崖や森林といったまた違った青のイメージへと繋がるこの曲は、ある種の返歌のようにも思われる。
2面BOSSは新鮮味と懐古臭が溢れるとても複雑な曲だった、と言わざるを得ない。正直、どこに聞き覚えがあって、どこに聞き覚えがないのかさっぱり判断しかねてしまった。おそらく、それだけ今までに蓄積したメロディーが複雑に入り混じって、何とも新しくて複雑な形になったのが現在の曲であるように思われる。
3面
3面道中曲は正直に言うと問題作(どちらの意味でも。)だと思います。まず、イントロは明らかに西方project周辺の雰囲気を残している。ここで旧作ではなく西方projectと銘打ったのは、音源の問題もあるが、西方作品全体に通底しているある雰囲気を感じさせるため、としか言えない。どの部分が、とは言えないのが残念だが、「稀翁玉」の「天鵞絨少女戦 ~ Velvet Battle」のピアノ、同作の「Castle Explore -in the Sky」のピアノに似た雰囲気をどうしても感じてしまう。メロディー自体は、「蓬莱人形」の「Witch of Love Potion」の2:34~を思い出させる(こちらも、似てはいないが)。
そして、肝心のイントロ部以降だが、これはどうも某番組の音楽を思い出してしまう(これ以上は言うまい)。その後の0:54~周辺に関しては、「天空璋」の「もうドアには入れない」(2:55~)に少し似たような感じを受けた。旧作(西方)的な雰囲気と、某番組と、近年の作品のメロディーが入り混じっているという、なんとも奇妙な曲。
3面BOSSは、これまた懐かしさと新しさが多分に含まれている。いつものアレにまだこんな展開の仕様があるのか、とあまりに驚いた。また、0:40~周辺はどこか「封魔録」の「博麗神社境内」(1:05~、1:54~)のような感じを受けた。それと、1:43~から1ループ終了までのメロディーに似た曲があったような気がするのだが、どうしても思い出せなかった(要加筆→「緋想天」の「有頂天変 ~ Wonderful Heaven」1:20~辺りに近いような気がするが、どうだろう)。
結
以上、感想というか整理になったが、似たように感じた曲については、ろくに共感を得られないかもしれない。まだまだ拾い切れていないメロディーがあると思う。
個人的には、①3面BOSS、②1面道中、③2面BOSSという順番で気に入った。製品版が楽しみで仕方ないが、ここらで擱筆しようと思う。
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