関西在住の人が大阪ぎらいの記事を読んでみた

前段

世の中には「週間誌」というものが存在する。
複雑に入り組んだ現代社会に鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明する・・ということをしているかどうかは雑誌にも寄るが、まぁだいたいがゴシップ扱いだったりする。
しかし、旧来のメディアがあまりにも頼りなくなり、取材をしない、コンプラの名のもとにおとなしくなったため、週刊誌の取材結果が社会を動かしてしまっている実情がある。「文春砲」という言葉が表すように、スキャンダルはだいたい週刊誌発信だ。


大阪駅のBookStudioで買いましたよ

さて、ここに週刊現代2024年2月3日・10日号がある。
生まれてこの方、タブロイド週刊誌なんて買ったことないんだよね・・。
特集のタイトルにあるのは「大阪ぎらい  日本一の商都と文化都市のなれの果て」という文言。
まぁこのタイトルを見た、大阪大好きもしくは維新大好きな旧Twitterユーザーがお怒りになるのは当然である。
ただこんな5流以下の週刊誌の見出しに踊らされてちゃダメよ?wいつものことじゃない、こんなの。

個人的にはこのタイトルを見た瞬間「あぁ、どうせいつものフォロワーさんがお怒りになるだろうなぁ」だったんだけど、「それはそれとして、どんなことを論じているのか、気にはなる」となってしまったのだ。

正直ね、タイトルに踊らされて怒ってた人、買って読んでみてほしい。
で、読み終わったら薪にくべるなり、有害図書ポストに入れるなりすればいいと思うよ。

ちなみに本人は神戸在住で、2022年まで15年ほど大阪在住、20年ほど大阪に通勤している者です。政治はいわゆる無党派層、維新については是々非々かなといったような感じです。信者でもアンチでもない。でもある程度の距離は取っておきたい、そんな微妙な立場です。

---------ここまでは読む前の記事--------
読んだあとの感想。
ケチョンケチョンに批判してみようかと思ったけど、意外と冷静に分析してるなぁという感想。
ただ独自の取材があるか?と言われれば、こんなのTwitterとか探せばいくらでもあるような内容。
あれだけ表紙を飾ってる割に7ページしかないもの。中身も薄い。

テーマ1「本当に関西人はオモロイのか」。

ほらほら、大阪好きな人が怒りそうなタイトルですねぇw
中身を見ると、ダウンタウンが乱暴な笑いを続けてきた結果、今回の件(松本さんの例の件ね)で大阪のイメージが悪くなってる感が否めない、とのこと。その直後に「大阪人にとってはとんだとばっちり」と記載されているので、ステレオタイプに「大阪の人って全部乱暴な笑いとかやってるよねー」みたいな見方はしていない。
そこから大阪弁はじつは柔らかいと、大阪弁の機能の高さを詳解している。
その中には「言うべきことは言い、しかし、決定的に対立はしない。洗練された技術」と大絶賛しているのだ。
本を買わずに読まずに批判している大阪好きの方、「決定的に対立はしない」んですってw
ただその後、素人が出る在阪テレビ局制作のテレビ番組が増えたことで、「大阪人はオモロイ」というイメージが拡大したのではとのこと。
・・味方だと思っていた在阪局が実は敵だったという。あれれ?
文末には「オモロイ大阪イメージに縛られすぎるのも考えものだと思うのです」。・・これがすべてなんじゃない?

テーマ2「維新が大阪で強い理由」

まぁこのあたりはいつものやつ・・と思ってたんだけど、べつに維新が憎いという内容ではなかった。
東京の人からしたらなんで維新がここまで大阪で強いのかという解説だった。
偉そうに政策を語る「すかしたインテリ」よりも「近所のおっちゃん」「隣の兄ちゃん」のほうが好ましい。そうした親しみが大阪の民主主義の根っこにあるとのこと。
まぁ、言われてみればそうかもな・・。
都構想に負けた理由も「首長がどちらも維新なら無理に統合する必要はない」という。
このあたりは結構多くの人も感じてるんじゃないだろうか。
合理的にモノを考えられるというお褒めの言葉だよね、これ。

テーマ3「東京に負けへんでが没落を加速させる」

はい、来ました。いかにも大阪下げのタイトルですねぇw
かつて大大阪と呼ばれていた都市が徐々に衰退していく。
でもそれに抗うようにベイエリアの開発に踏み出す。
バブルの勢いに乗って開発を進めるも、結局大失敗。
・・大阪の繁栄から衰退、ベイエリアの大失敗までちゃんと解説されてるじゃないか。
原因としてあげているのは「文脈や歴史を軽視して、いきなり巨大な建物を建設する「インプラント型」の開発だ」としている。
正直これについては、大阪だけの話ではない。自分が住む神戸だってそうだ(震災とかあって余計にそうなったよね)。
衰退する都市にドーピングをするという書き方はなかなかに強烈。
そしてその集大成が2回目の万博・・。

この章で最後に書かれているコメントは個人的に「あー。わかるなぁ」と感じてしまったので記載したい。

万博に関連する開発で、大阪の街はどんどん東京に似てきているように感じます。(中略)大阪は東京への対抗意識を持ちすぎて、かえって自由な発想を持てていないように思います。
自分も含めて、いま大阪に暮らす人に必要なのは、ネガティブな部分を含め現実をみつめることではないでしょうか。

大阪出身・在住のライター 木津毅氏(週刊現代2024年2月3日・10日号)

正直、TwitterのTL上には「大阪大好き!東京一極集中反対!東京に対抗できるのは大阪だけ!」という人が結構見受けられる。
そして大阪に対してネガティブな記事を見つけた途端に「東京のメディアガー」「一極集中ガー」となってしまっているのをよく見かける。
個人的にはそういう方はミュートにしている。ブロックはしない。でもその人の意見はあんまり見たくない、ってなってる。
その理由は大阪を上げるために東京などを貶める、東京だけが悪いんだと言わんばかりの書き方だったりする。
個人的に、こういう場合に都市などを比較する際には「他方を貶めない比較」をモットーにしている。もちろんネガティブな内容もあったりするんだけども、あくまで比較材料の一つ。
ともかく他方を貶めて片方を上げるという論法が嫌いなのだ。
そしてもう一つの理由は次のテーマにあるのかもしれない。

テーマ4「京都人と神戸人は、なぜ大阪のことが嫌いなのか」

これですよ、これこれwこれが見たかったのよ。
長年、僕は京都・大阪・神戸の関係性の話が大好きなのだ。
昔そういう本が出てた。
大阪から京都・神戸は好きなんだけど、京都・神戸からは大阪はそんなに好かれていない。
ちなみに京都と神戸はなんだかんだでお互いを認めあってる(京都は新しい街が好き、神戸は古い伝統がある街が好き、だったかな、確か)という本を昔読んだことがあったのだ。
まぁ京阪神都市圏と一緒くたにされがちだけど、文化・成り立ちは全く違うから当然っちゃ当然なんだけどもね。

京都はズバリ大阪をライバルとして格下とみなしている節がある。なぜならライバルは都、つまり東京だから。
神戸は逆に街の格にこだわらない。なぜなら阪神間モダニズムに代表されるように、大阪の上澄みだから。だから梅田界隈は同じ文化圏として認識するが、なんばのようなミナミは異質な場所と捉えがち・・。
その結果、京都ほどではないけども大阪と一緒にせんといてという意識はある、らしい。
・・なんか神戸の説明だけよくわかんないというか、理由になってるか?となってるけども、「大阪と一緒にせんといて」という意識は、個人的にはある。
ただし多くは「大阪のネガティブなこと」に対する「一緒にせんといて」である。
先に述べた、大阪至上主義的な人と一緒にされたくないというのは、こういうのが無意識で出てきてるんだろうね。

文末「ほんとうは繊細な街」

ここからはこの記事のまとめ。
そしてこの記事の結論なんだけども・・。

・今の大阪のむき出しのイメージは、東京で作られたもののような気がしてならない。
・大阪は本来であれば品性がないものを嫌う文化が主流だったが、経済的な衰退で失われた結果、吉本のようなむき出しの笑いを大阪的なものとしてアピールしなければならなくなったのでは?
・大阪の笑いはかつての王が身をやつして東京に使える道化になってしまった。
・・なんかこのあたりは全部「吉本が原因じゃねーか!」となりそうな感じだなぁ。
ただ文末にはこんな事が書かれていた。

人をいじったり叩いたりするのではなく、誰もが自然に心から笑える-。
そんな笑いが再び西から起こる時、大阪はきっと復活を遂げるはずだ。

週刊現代2024年2月3日・10日号

もっともらしいこと書いてるけど、結局笑いの街であることはちがいないのねという結論wなんだよそれ、と思いつつも、まぁそうなることが一番いいよなぁ・・と本を閉じるにはちょうどいい文末だった。

まとめ

最後の結論あたりは、なんというかもっともらしいこと書いてるポエムかと思ったけども、一通り読んだ感想としては「え?どこが大阪下げなの?」である。
タイトルがセンセーショナルなので「何事か!?」と身構えたものの、読んでいくうちに「あれ?全然下げてないじゃん」ってなった。
まぁ内容としては今まで見てきたような本とかの内容だったので、特に新鮮な発見はなかったけども。

今回、この雑誌を買うきっかけになったのは、某再開発ブロガーの人のTwitterでこの記事のタイトルに対して猛抗議をしていたから、というのもある。
その方は、正直言ってテーマ3に出てきた「東京への対抗意識を持ちすぎている人」だと個人的には思う。
その結果、内容を見ず、タイトルだけに反応し、抗議するという、これがいつも通りになってたりする。
ブログ自体もPVあるし、Twitterもバッチつけてんだから、580円くらい払って読めばいいのに。

こちとらTwitterに課金なんてヤダって言ってバッチも何もない、ただのサラリーマンだぞw
このnoteだってあまりにも駄文すぎて、有料にもしないんだから!w単純に580円の赤字だよ、まったくw

センセーショナルなタイトル一つを持って記事の中身を見ずに批判するというのは、正直あることだと思う。
そりゃ自分が好きなものをけなされてる!ってなったら、そんなの見るかよ!ってなるのは人として当然だ。
でもインフルエンサー的な人、ましてや大人気ブログ運営、Twitter青バッチ(まだ言うか)の人が同じことやってどうすんだろうって思うわけですよ。
せめて本読んだ上で、こんな感じで反論してみるとかやればいいんだけど、一切拒否するんだもの。
それこそ神戸出身の僕からしたら「そんな批判だけする大阪の人と一緒にせんといて」である。

ちなみにこの週刊現代、会社訪問特集が守口で創業した海洋堂で、個人的にはこっちの方が読んでて楽しかったw
580円。3流週刊誌もたまには買って読んでみてもいいかもしんないね。


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