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地方創生と商店街活性化

「地方創生」を一言で説明すると、都市の持続可能性を都市自らの力で再構築すること、です。
持続可能性とは、①自治体・企業の経営が可能なこと(必要な人材・資金を確保する)②将来必要になる再投資が可能な条件を実現すること の二つの条件。

 いま現在、地域内をお金が回っていること、将来もそれが継続・拡大され、再投資が出来ること。これが実現しないと、生活条件や環境の維持、拡充は不可能であり、懸案とされている居住・交流人口の維持・増加や都市の魅力の向上は出来ません。

 問題は、持続可能性をどう実現して行くか?
これまでの取組方では「じり貧」になっていくことが目に見えているわけですから、これまでに無い手だてを考えなければならない。自分たちの力で「持続可能性」を実現する、ということは、自分たちの力の使い方を変える、ということを意味します。

 「地方創生」の取組が必要になっている時代における、行政や民間企業の活動は、如何にあるべきか?
という課題に全国の都市が直面しているのです。
なかでも、経済の域内循環(都市内で所得―消費―所得・・)を維持、向上させることは大変重要な課題であることは言うまでもありません。

 今現在、経済循環はどうなっているか?
ご承知のとおり、都市の所得のうち、家計の消費支出に向かう配分の多くが郊外に進出しているチェーン小売業の売場を経由して市外へ流出しており、循環は微々たる状況に陥っています。
このままでは、例え、域内の産業が活性化しても経済の域内循環は実現出来ず、その成果が域内に拡がりません。相乗効果が発揮されないのです。
 都市における「所得―消費循環」の再構築が「地方創生」における大きな課題であることは言うまでもありません。

 「循環」を実現するには、現在、チェーン小売業の売場で行われている消費購買行動を地場小売業(地元資本の小売店)へ、移行させることが必要であり、そのためには、地場小売業の買物行き先としての魅力を向上させることが地方創生の最重要課題です。
「商店街活性化」は、まさにこのための取組なのですが、その目的、実現の方向と方法は定められないまま、「通行量減少→増加」、「空店舗増加→解消」といった対症療法的取り組みに終始している、というのが全国一律の実態ですね。
このままでは商店街が陥っている状況からの脱却は出来ません。
まして、さらに上位の課題である【地方創生】の実現に不可欠の【経済循環の再構築】の実現は思いもよりません。

 本当に「地方創生」を実現しようと思うなら、「商店街活性化」の実現は最優先課題の一つです。自治体が作成する「地方創生総合計画」には、【商店街―地場小売業の活性化】が特筆大書されていなければなりませんが、各地の計画にこのためのプロジェクトはほとんど計画されていないと思います。

 このことはなにを意味するか?
1.「地方創生」の本当の課題が理解されていない
2.その原因は、「商店街活性化」が必要な理由が理解されていないから。

 商店街活性化の必要性を理解し、実現のためにシナリオを描き、段階的な取り組みに着手していても、地方創生総合計画に特筆大書しておかないと、今後必要な資金を確保することが難しくなり、事業を継続することが困難になることが懸念されます。
我々は、地方創生がスタートして以来、福岡その他でセミナーを開催し、このことを提案して来ましたが、実現している都市は無いようです。

 漫然と従来通りの活性化事業に取り組んでいる商店街は、取り組みの成果が蓄積されることも無く、喫緊の課題である【都市内経済循環】の担い手としての機能は連化・空洞化するばかり。

 これが2022年夏、日本列島全域にわたる【商店街活性化】【地方創生】的問題状況の実状です。

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