「キャロルの終末・Carol and the end of the world」
Netflixで見た「キャロルの終末」。7ヶ月後に謎の惑星が地球に衝突し、人類が滅亡するという、一見奇想天外な設定だが、実は私たち人間の人生設定そのものですやん。時間感覚がちょっと違うだけで、必ず、必ず自分にも「終わり」が来る。違うのは、災害などは別として、現実は、みんな一斉に「終わり」が来るのではなく、「終わり」は必ず一人ぼっちで、それぞれの形で迎えるという点だけ。キャロルは特別な設定の中で生きているのではなく、100%終わりのある生物として存在する我々人間を投影し、作品はその社会そのもののを極端な状況設定で描いている。
時間的サイズが小さい分、刹那的で、人それぞれの行動は突拍子なく見える。求めるものが精神的、身体的「究極の快楽」の人もいれば、「人との強い繋がり」を求める人と言うふうに。あらゆる道徳心が取り外され、はっちゃけた人間たちの中で、一貫してキャロルが求め続けていたものは、「心地よい秩序とほんわりと緩い人間関係とそこに存在するあるほんのりと暖かい愛情」。
物語にずっと漂う「寂寥感」。私たち人間という生物の悲しくも愛らしい人生とその在り様をリアルに描いた作品だ。
おまけ:声優さんとキャラが似すぎ。キャロル役マーサ・ケリー、ルイス役メル・ロドリゲス、ドナ役キンバリー・エイバート。