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ひといき短歌

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2021年2月の記事一覧

ひといき短歌-10

ひといき短歌-10

幼い頃手を引かれ来た岩田屋の中華 ココナツ団子が食べたい

生まれつきの私に胡座かいたのが私だけではなかった、とだけ

リーガリー・ブロンド 彼女が金持ちで良かった、友と家族とが居て

人生の夢を観るのに疲れたらおめざに菓子を焼いて待ってる

ひといき短歌-09

ひといき短歌-09

~広場へ行こうよ~

一定の距離を置いてて焦れったくなったほうから倒れるドミノ

心臓が欲しい 欲しいよ 魔法ではびくともしない、はっきりと君

読みかけの最果タヒを真似したら通りすがりにスキと言われた

チョコレート、りんご、リキュール まじないを口にしてみる 恋は生もの

ヴァレンティノに石を投げに​

ひといき短歌-08

ひといき短歌-08

~春節だって~

孤独ではないよ失敗作だって私が呼んであげる限りは

人の字が背中合わせにお互いを識らないでいる よんでください

目に見えない触れられもしないあなたがわかる 言葉の海で会いたい

我も我も貝になりたいなら私ひとり牡蠣小屋で待っています

8888888888888(爆竹の擬音)​

ひといき短歌-07

ひといき短歌-07

~おことわりだ~

魂をプロトコールに売ってから夜なべ仕事に文字を繕い

カランドリエ 夜空の星が引き合ってその掌にまた成した歌

一節の声がこの世に劈開を見せる 私はインクルージョン

メタファーと世界の仕組み 仕組まれた生もあるんだ 詩を組み立てた

​ありあわせで一番うまくなるように考えるのが料理ですよね

ひといき短歌-06

ひといき短歌-06

~なんで、🥺~

もしかすればローファンタジー小説に生きているかも分からないだろ

知っていて萎む手筈の風船に息吹き込んで胸が苦しい

自分撮り 鏡写しに願望を収める 今日は皆んなアリスだ

この町が家が私であることが嫌だ不思議のケーキを食べた

春が来る ダウンジャケットと一緒に膨れた自我を脱ぎ捨ててみる

多分もう少しで思春期が終わりそう

ひといき短歌-05

ひといき短歌-05

~よく寝よう~

病み期ではなくてお腹が空いてると気づくときには乗り過ごす夜

私:「進化の末、人は寒いと不安がるようになったんだって」

私:(震える)

絶望に淵と言われる部位がありそこから海へ繋がっている

誰のせいでもない自然を悲しいと思う自分のせいで悲しい

生ま/れ/つき/受け/た/命/を/逃げ/延び/て/受動/で/は/なく/自発/「生ま/れる」

滅茶苦茶だ……​

ひといき短歌-04

ひといき短歌-04

~本音、いいね、高嶺~

長ネギをさして歩けば飯時の往来のなか許されており

自らに値引きシールを貼り付けて周る商法 君をください

店頭にナスやきゅうりの並ぶ冬 煮える生命のスープをすする

天も地も福澤諭吉先生も磨けば光るとは言わないが

140文字の不平を端折ったら短歌 豊かな消費生活

​できれば底値で買いたい性根