【解説】純構築スプライト
【重要】
2024年11月1日から適用のリミットレギュレーションでスプライト・スターターが準制限→無制限になりました。
追ってリストを修正しますのでお待ちください。
純構築スプライトの解説記事です。
スプライトを組むか迷っているという方は下の記事も参考にしてみてください。
サンプルレシピ
デッキの特徴
サンプルレシピという事で尖ったカードの採用を避けました。
出張パーツには展開を伸ばすために幻魔ギミックとヒーローキッズ、妨害を増やすためにユベルギミックを採用しています。
スネークアイ実装以降、無効系誘発の採用枚数が全体的にかなり増えており、誘発受けの悪いスプリンドを使わずに展開力を維持した結果この形になりました。
手札誘発はうらら増Gに加えてヴェーラーも3枚採用。誘発にスロットを割けるのは純構築の強みです。
純構築のスプライトはこの他にも様々な出張パーツが乗せられます。詳しくは別記事にて紹介するので自分の戦い方に合った出張パーツを探してみて下さい。
先攻での勝ち筋
典型的な展開系デッキです。
先攻制圧して2ターン目を凌ぎ、3ターン目で8000LPをカットする高速ビートダウンになります。
エルフ以外リソースの回復機能を持たないスプライトの仕様上、後続を確保しづらく4ターン目以降はジリ貧の展開が待っています。
先攻展開は死んでも通しましょう。
展開ルートと最終盤面は後述します。
後攻での勝ち筋
先攻番長と言われるスプライトですが、意外にも後攻の勝ち筋は豊富です。ただし2枚初動の宿命で着地狩りには弱いので注意してください。
①スプライト・ガンマバーストでビートダウン
相手の手札が弱く、こちらの誘発を貫通できずに弱い盤面が返ってきたときのプランです。
ギガンティックの効果でブルーをリクルートして、着地効果でジェットをサーチします。ジェットの効果でガンマバーストをサーチして頭数を並べたらガンマバーストでパンプアップ。
ダイレクトアタックが3~4回通ればリーサルです。
とてもシンプルですが、この場合必要以上に展開しないように気を付けてください。
相手の伏せカードや誘発(ビーステッドによる壁など)でリーサルを逃した場合メインフェイズ2で迎え撃つ盤面を作らなければならない為です。
②シャドーモスキートのバーンダメージで焼き切る。
こちらはある程度相手に展開を許してしまったときのパターンです。
簡単に言えば攻撃力2700以上のモンスターが相手のフィールドにいる場合はこちらのプランでいきます。
シャドーモスキートは幻覚カウンターの乗ったモンスターの攻撃力分のバーンダメージを攻撃宣言ごとに相手に与えるため、2700あればカウンターを乗せてから3回の攻撃宣言で8000LPを削り切れるからです。
相手の妨害を搔い潜り、シャドーモスキートと合わせて都合4体のモンスターを並べる必要がありますが、相手モンスターを除去することなくリーサルが取れるため意外と成功します。
採用カード解説
スプライトテーマ内のカードについては以下の記事で解説しています。
メインデッキ
【暗黒の招来神】
【七精の解門】
展開を伸ばすギミックです。
暗黒の招来神は1枚初動でリンク値を3体分稼ぐパワーカード。
増殖するGの受けもよく、2枚目を通常召喚できるため相手に1ドロー許すだけでリトルナイトまで着地できます。
妨害ギミックのユベルとは初動のナイトメア・スローンを共有できるのもポイント。
①の発動条件が通常召喚なため手札に来て欲しいので最大枚数の2枚採用です。
七精の解門は暗黒の招来神と相互サーチの関係になっています。
展開ルートの項で解説しますが、こちらからも展開を繋げる事が可能です。
重ね引きしても自身の②の効果のハンドコストにすればよく、初動になるので最大の2枚採用です。
【ヒーロー・キッズ】
こちらも1枚で3体分のボードアドバンテージが得られます。
同名リクルートは特殊召喚成功時ですが、自身に特殊召喚効果がないため素引きしてしまうと弱いです。
リンク素材や七精の解門のコストで墓地に落とした後にエルフで吊り上げるか、ギガンティックでリクルートすることで同名リクルートに繋げます。
ちなみにターン1がない効果なので3体出し切るまで墓地に落として蘇生すれば何度でも使えます。
【EM:Pグレニャード】
このカードもスプライトの共通効果に近いテキストを持っています。
条件はレベル2ではありませんが、自分or相手のフィールドか墓地にリンクモンスターがいればよく、特殊召喚の条件はかなり緩いです。
特筆すべきは②の効果で、展開に絡めて墓地に埋めておけばリトルナイトの除外効果に追加で1妨害構えられます。
妨害のほとんどがモンスターゾーンに集中するスプライトにとって墓地に妨害を散らせる意義は大きく、このカードを無理なくデッキに採用できることから現環境のスプライトは積極的にマスカレーナ→リトルナイトのコンボを狙っていく事になります。
枠の都合で1枚採用ですが、②の効果は手札からも発動可能で貫通札にも妨害札にもなり得るので2枚採用でも良いと思います。
とにかく偉すぎるため、終身名誉スプライトの称号を授けます。
【スピリット・オブ・ユベル】
【ユベル】
妨害ギミックです。
ナイトメア・スローンでスピリット・オブ・ユベルを破壊してユベルを特殊召喚するとあら不思議。
ファントム・オブ・ユベルが降臨して先攻の誘発ケアに!
本当に便利なギミックが実装されたものです。
ファントム・オブ・ユベルの特殊召喚時にコストで素材がデッキに戻るため(コストとは?)各1枚採用としました。
【ナイトメア・スローン】
このデッキでは①の効果だけ使います。役割は2つ。
1枚初動の暗黒の招来神をサーチするか、デッキのスピリット・オブ・ユベルを破壊してユベルを特殊召喚するかです。
②の効果をこのデッキで使う事はほぼありませんが、墓地のファントム・オブ・ユベルをEXデッキに戻してリソース循環のサイクルを為すことは覚えておきましょう。
手札の状況でより良い方を選択すれば良く、今までフィールド魔法ゾーンを使わなかったスプライトにとって画期的なカードとなりました。
単純に初動サーチと考えればよいので3枚採用。
〈その他汎用カード〉
効果は有名なものばかりなので割愛します。
【灰流うらら】
G受けの悪いこのデッキでは採用必須です。素引きしたいカードのため3枚。
【増殖するG】
現代遊戯王における最強カードです。通れば勝ちなので当然3枚採用。
スプライトにおいては最悪初動になり得ます。
小技ですが、こちらの増Gに対して墓穴を打たれた際にエルフでチェーンして墓地から吊り上げることで増Gの効果を通せます。
このためよほど明確な理由がない限りドローフェイズに増Gは投げないようにして下さい。
【エフェクト・ヴェーラー】
誘発=妨害の嵩増しにもなるため2枚採用としましたが、トップメタのユベルをはじめホルスティアラメンツ、センチュリオン、炎王、粛声がトップでしのぎを削る2024年9月環境では幽鬼うさぎを2枚としても良いと思います。
環境に応じて変える枠と考えてください。
【無限泡影】
罠なのに後攻で引いても強く、バックに妨害を散らせるため必須です。
増Gを通された際に手軽に無効妨害を構えられるのは特に大きく、ターン1がないことから重ね引きしても腐らないため3枚採用。
【墓穴の指名者】
増G対策で最大枚数の2枚採用。手札誘発以外にもフランベルジュや咎姫、キトカロスなどマストカウンターとなるケースも多く無駄打ちは禁物です。
忘れがちですが無効効果は2ターン有効です。後攻でこちらの増Gに墓穴を撃たれたら「次のターン自分に増Gは飛んでこない」と考える事も重要です。
【抹殺の指名者】
空中戦を制すものは現代遊戯王を制す。
増G含めた誘発ケアで採用です。制限カードのため1枚。
EXデッキ
スプライトモンスターは別の記事で紹介したため、効果は割愛します。
【スプライト・エルフ】
最終盤面に残すモンスターですが除去の的になりやすい事と、ターンが返ってきたときに2枚目が必要な場面も多く2枚採用です。
展開力に余裕があるときはレベル2を横に並べてエルフを召喚しておき、リンク先でモンスター効果を発動することで無限泡影やヴェーラーをケアできることは覚えておいてください。
【ギガンティック・スプライト】
現環境の環境デッキは貫通力が高くミッドレンジのゲームを強いられる事を見越して2枚採用です。
特にライフカットの際にシャドーモスキートと合わせて展開を横に伸ばしたり、ジェットの効果でガンマバーストをサーチしたいときにも2枚目が重宝します。
リクルート先の優先順位はブルー(ジェット)>ヒーロー・キッズ>グレニャードです。
ブルーとジェットを墓地に送っておかないと3ターン目以降に後続が確保できない、最悪ガンマバーストをサーチできずリーサルを逃しかねないからです。
【ファントム・オブ・ユベル】
可能な限り展開の序盤に出して各種誘発をケアするのが役割です。
うらら、増G、ヴェーラーなどモンスター系の手札誘発から守ってくれます。
レッド、キャロット、ギガンティック、エルフの存在もあって、スプライトは展開中の誘発ケアプランがかなり豊富になりました。
特殊召喚時のコストとして素材をデッキに戻すので、他の妨害よりも優先して効果を使いましょう。デッキから破壊したスピユベたちを素材に2体目を特殊召喚して返しの妨害になります。
ここを止められても「ファンユベ1枚で2妨害踏めて通したい展開は無傷」と考えるとアドバンテージは計り知れません。
上記の理由かつ準制限のため2枚採用です。
【転生炎獣アルミラージ】
七精の解門初動で幻魔ギミックをスタートした際に展開を伸ばすために使います。
素材に使った招来神を解門の効果で蘇生し、アルミラージと合わせてエルフに繋ぐことができます。
展開ルートの項で動画で解説します。
【賜炎の咎姫】
展開の上振れ札です。
初手で暗黒の招来神とスプライト・ブルーを引いた際に妨害として墓地に仕込めます。
先攻1ターン目に出せなくても3ターン目以降に打点となったりエルフを蘇生したりとミッドレンジでのゲームプランを支えられて、エルフ、アーリィ、レッド、キャロットが炎属性なので炎属性縛りもさほど苦にしないため採用しました。
【No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター】
X素材を2つ取り除くことでモンスター効果を無効にする誘発効果を持ちます。
素材に闇属性を指定するので意識しないと意外と出しづらく、最終盤面でピットナイト・アーリィとどちらを出すか迷う所です。
「このカードが「○○○」をX素材としている場合~」という条件なしで相手ターンに無効妨害を打てるランク2モンスターは貴重です。
もっと使い勝手のいい汎用ランク2が欲しい。
【ピットナイト・アーリィ】
①がフリーチェーンで発動する効果と相性が良いのでエルフと相互リンクする形で配置してください。右向きのリンクマーカーも重宝します。同じくフリチェ効果持ちのマスカレーナを置くと良いでしょう。
①の効果はリンク先モンスターの効果に直接チェーンする必要があるので注意してください。増Gや墓穴などを挟まれていわゆる「チェーン切り」をされると発動できません。
また賜炎の咎姫の墓地効果でモンスター破壊する際に、自分のモンスターはアーリィを選択すれば②の自己蘇生効果でエンドフェイスにアーリィを特殊召喚できます。炎属性のため咎姫の制約にかからずディスアドを取り返せます。
以上の点からエルフ、咎姫と相性が良い妨害持ちとして採用しました。
【I:Pマスカレーナ】
相手メインフェイズに効果で自身を素材に含めてリンク召喚を行えます。そのままグレニャードのバウンス効果のトリガーにもなる為、優先して盤面に残したいモンスターです。
念のため、相手のサンボル、ライスト、ブラホにチェーンして①の効果でリンク召喚を行うと②の効果で召喚したモンスターに効果破壊耐性がつくので損失を減らすことができます。
以下、マスカレーナのリンク先候補です。
【S:Pリトルナイト】
強すぎてトロイメア・ユニコーンをただのLINK3の馬にした女です。
マスカレーナのリンク先候補①。
マスカレーナを素材にリンク召喚すれば①の効果を発動でき、さらに②の効果で相手の展開を妨害できます。
増Gの止まりどころとしても優秀で、最も確実な処理方法として戦闘破壊をよく狙われますが、その場合バトルフェイズを消費させたことでほぼ確実にターンが返ってきます。
【閉ザサレシ世界ノ冥神】
「閉ザサレシ世界ノ冥神」と書いて「サロス=エレス・クルヌギアス」と読みます。日本語って難しい。
マスカレーナのリンク先候補②。
主に超耐性モンスターをリリースによって除去する目的で使います。また、リトルナイトの着地効果では除去が間に合わない場合にも重宝します。
ただし召喚条件が重く、相手モンスターとマスカレーナの他に2体素材を必要とするため使いどころは見極めてください。
【天霆號アーゼウス】
「天霆號」は「ネガロギア」と読みます。読めないし書けない。
スプライトにおいてはランク2のセイントレアからダウナード・マジシャンを挟んで4素材アーゼウスに繋ぐのが王道ですが、このデッキではシャドー・モスキートがその役割を担います。
しかし相手の場にモンスターが並んでいる場合はシャドー・モスキートでリーサルを取りに行く選択肢もあり、以前に比べて出番を大きく減らしました。
とはいえ先攻番長のスプライトにとって後攻の勝ち筋はひとつでも多い方が良いので採用です。
【No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート】
最強です。
このカードのおかげで拾えた勝ちはいくつあったか知れません。シャドー・モスキートの実装はスプライトのゲームメイクに革命をもたらしたといっても差し支えないレベルです。
一応忍者ネームを持っていて忍法カードのサポートを受けられますが、このカードを最も強く使えるのは忍者ではなくスプライトです。
シャドー・モスキートによる後攻ワンキルに特化した構築でもそこそこの勝率を見込めるほどフィニッシャーとして高い性能を誇るため、後攻では基本的に「このカードをどうやって通すか」を軸に戦略を組み立てていきます。
リーサルをとれない盤面でもチェーンを組まずにアーゼウスまで繋げられる点も優秀です。
採用候補・不採用カード
いわゆる汎用カードは、明確な理由がない限り環境との相性で入れ替えているので割愛します。
【スプライト・スプリンド】
リンク召喚したターンはリンク素材にできない制約から各種誘発が非常に重く、セットで採用する素早いギミックも事故要因を含むためデッキの取り回しの軽さを重視して今回不採用としました。
【召命の神弓-アポロウーサ】
マスカレーナから出すリンク4の候補です。
正直好みの問題ですのでクルヌギアスなど大型リンク枠と入れ替えて下さい。
【ピリ・レイスの地図】
4枚目のナイトメア・スローンとなり得るカードです。
ナイトメア・スローンとの重ね引きもあちらをファントム・オブ・ユベルを立てるのに使えばよいので採用候補ですが、4000LPのコストとリターンを考えた結果不採用としました。
暗黒の招来神にアクセスする札として覚えておいて損はないです。
展開ルート&戦い方
展開ルート
以下に基本、上振れ、応用と3パターンの動画を用意しました。
純構築スプライトは展開系の中でも簡単な部類のデッキです。
正直適当にやっても大抵の組み合わせで同じ盤面を作る事ができます。
最終盤面
これが最終盤面です。
スプライト・エルフ、I:Pマスカレーナ、ピットナイト・アーリィ、スプライト・キャロットを並べる事を目指してください。
誘発をもらって下振れるときはエルフ>マスカレーナ>キャロット>アーリィの優先順位で立てると良いでしょう。
手札によって追加でジャッジバスター、レッド、墓地にグレニャード、賜炎の咎姫、バックにスマッシャーズかダブルクロスも構えることができます。
基本展開
これが基本展開です。
スプライトには展開中のテクニックのようなものがいくつかあります。
・3回目の召喚でギガンティックを立てる事でニビルケア
・素引きしたレッドとキャロットは展開の序盤に立てて各種誘発ケア
・エルフのリンク先で効果を発動することで泡影、ヴェーラーケア
などです。
OCGにはないマスターデュエル特有の「ラグ読み」というテクニックがあります。相手のチェーン確認が入る間ターンプレイヤーのタイマーが止まるというもので、誰でも経験したことがあると思います。
このラグが発生するタイミングである程度握っている誘発の種類が読めます。例えば…
①ヒーロー・キッズ召喚(反応なし)
②ブルー特殊召喚&サーチ効果発動(ラグ発生)
となったら相手が灰流うららを握っている可能性があるので、ギガンティックでニビルケアの前に追加で
③ジェット特殊召喚
④スターター発動
⑤レッド特殊召喚
と横並びにモンスターを並べる事でニビルごとうららをケアしてギガンティックの効果を安全に通しにいくことができます。
上記の展開テクニックをうまく使いこなしてください。
上振れ展開
結論から言うと暗黒の招来神とスプライト・ブルーの2枚初動で可能な展開です。
お気付きの方もいると思いますが、基本展開と出来上がる盤面は変わりません。基本展開に加えて墓地に咎姫とグレニャードの2妨害を確定で仕込めるようになります。
応用展開
最後にアルミラージを使う展開です。
結果的に下振れのはずの七精の解門が1枚初動に化けます。
同じ要領でヒーロー・キッズ+EM:Pグレニャードの場合でもアルミラージを使用します。
ヒーロー・キッズをリンクモンスターに変換することでグレニャードがアクティブになり、そこからエルフ→ヒーロー・キッズ蘇生で展開が繋がります。
このように下振れハンドを何パターンかケアするためにアルミラージを採用しています。
やはり出来上がる盤面は基本展開と同じになります。
まとめ
以上が解説になります。
今回初めて構築記事を書きましたがいかがでしたでしょうか。
当初は「そもそも自分が遊戯王を始めたのは~」から始まり、自分の知識と経験とスプライトへの愛と情熱と知恵と勇気の冒険譚と笑える小噺のすべてを詰め込んだ結果64000文字をオーバーしてしまいました。原稿用紙160枚分です。中篇小説家の公募新人賞に応募できます。
学生の頃なんて2000字のレポートすら書けなかったのに。遊戯王すごい。
記事をいくつかに分けて書いているのはこのためです。
この他にもスプライトは純構築だけで3~4本記事をかけるレベルでデッキタイプや出張パーツが豊富です。
マイペースに少しずつ記事を増やしていけたらと考えています。
皆様これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
ではまた。
更新履歴
2024.10.4
2024.10.10以降のリミットレギュレーションに対応。
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