【解説】鉄獣スプライト
鉄獣スプライトの解説記事です。
サンプルレシピ
鉄獣戦線とは?
鉄獣戦線(トライブリゲード)はリンク召喚を主体としたカテゴリです。
下級モンスターの持つ共通効果で墓地の獣族・獣戦士族・鳥獣族をコストに鉄獣戦線リンクモンスターを召喚する動きが特徴です。
その効果から獣族・獣戦士族・鳥獣族主体の構築に取り込みやすく、「LL」「十二獣」「月光」「メルフィー」「炎王」など多くのカテゴリとの混合構築があります。
烙印ストーリーの中では教導国家ドラグマに立ち向かうレジスタンスであり、アルバス・エクレシアとともにドラグマを打ち倒すという物語の中でも華のある立ち位置のカテゴリです。
ちなみにスプライトも同じ烙印ストーリーのカテゴリで、鉄獣戦線とともに最終決戦を戦った…
スプリガンズの…
サルガスの必殺技の…
そのエネルギー…
……………えぇ(困惑)
デッキの特徴
鉄獣スプライトの特徴は何と言ってもその妨害の質の高さにあります。
下が最終盤面の画像ですが、この画像で構える妨害は破壊したり墓地に送る除去が少なくバックに触りやすいという事もあって現環境でも充分通用する制圧盤面です。
右から双龍のバウンス、アーリィの効果無効&攻撃力0、キャロットの魔法罠無効、マスカレーナからリトルナイトを召喚して除外、墓地のグレニャードのバウンス、鉄獣の抗戦で召喚したシュライグの対象を取らない除外。
この盤面にはありませんがスマッシャーズの対象を取らない除外とスプリンドのバウンスもあります。
破壊を介さないことでユベル、炎王のトリガーに触れることなく、墓地に送らないためティアラメンツの「効果で墓地に送られた場合」にも引っかかりません。
「ナイトメア・ペイン」「粛声なる結界」「スタンドアップ・センチュリオン!」「炎王の孤島」「神碑の泉」などバックの置き物にも触りやすく、強力な盤面を形成することができます。
構築について
細かい部分で採用枚数の違いはありますが採用カードはほぼ固定されており、採用理由をきちんと理解すれば自分なりにカスタムしていく事ができるようになります。
この記事ではさもスプライトデッキの一種のように書いていますが、鉄獣スプライトは厳密にはスプライトのサポートを得た鉄獣戦線デッキです(毎回言ってる)。回し方が純構築スプライトとは異なる上に展開ルートは難解です。
展開ルートについてこの記事とは別に記事を書く予定ですので何度もソロモードで練習してみてください。
採用カード解説
スプライトテーマ内のカードについては以下の記事で解説しています。
メインデッキ
メインデッキの「スプライト」モンスターは以下の採用枚数としました。
スプライト・ブルー 2枚
スプライト・ジェット 2枚
スプライト・ピクシーズ 1枚
スプライト・レッド 2枚
スプライト・キャロット 2枚
特に純構築と変わったところはありません。
あくまでサンプルですのでお好みで調整してください。
【鉄獣戦線 キット】
【鉄獣戦線 ナーベル】
【鉄獣戦線 ケラス】
ケラス以外の下級モンスターは墓地に落ちるとそれぞれ固有の効果を発動し、それらを活用してどの展開ルートでも「キットを墓地に落として、ナーベルを介して、ケラスをサーチする」という動きを行います。
この動きの中でケラスをサーチしながら墓地に獣族・獣戦士族・鳥獣族を2体貯める事ができます。
鉄獣展開の基本中の基本となるのでこの動きを最初に丸覚えしてしまいましょう。
したがってこの3枚は採用必須なのですが、構築によって採用枚数にばらつきがあります。今回のサンプルレシピでは以下の通りにしました。
キットは3枚採用です。
キット、ブルー、ジェットのいずれかに初手で触れているとキャロットを立てて拮抗ライスト羽根帚ケアができるため3枚採用です。
ナーベルは2枚。
レベル1なのでスプライトとの混合構築では素引きが重いです。
キットの効果で墓地に落ちるのが仕事なので可能な限りデッキにいて欲しいのですが、1枚だと手札に来たとき墓地に落とせなくなるので2枚です。
重ね引きをした場合は「この世界の誰も俺を愛さない」と言っておとなしく妥協盤面を作りましょう。
ケラスは2枚の採用です。
フェリジットの効果で特殊召喚した後は鉄獣共通効果で双龍を疑似リンク召喚し、そのままフェリジットと一緒にベアブルムのリンク素材になります。
この一連の流れができればOKです。
そのためナーベルからのサーチ前提ですが、自身を特殊召喚する効果を持ったレベル2なので素引きも許容範囲です。
ただ3枚欲しいかと言われると他の役割のカードを引き込みたく、今回は枠の都合もあって2枚採用にしました。
【鉄獣戦線 フラクトール】
効果でキットを墓地に落とし、ナーベル経由でケラスをサーチします。
能動的に獣族・獣戦士族・鳥獣族を3枚墓地に落としてケラスをサーチできるため、これを活かしたフラクトール初動のルートが存在します。
とはいえ重ね引きが強いわけではなく、被るくらいなら誘発や貫通札を引き込みたいため1枚、枠があれば2枚採用です。
【鉄獣の抗戦】
このデッキの最強カード、斬機でいう「斬機超階乗」です。
相手ターンに3000打点をリンク召喚してフィールドのカードを1枚対象を取らずに除外。除外されている下級鉄獣を特殊召喚してリンク素材として再び墓地に落としてリソースを超回復。
弱いわけがありません。
このカードでLINK4のシュライグを召喚するのですが、素材を一度フィールドに並べる必要があります。
多くはLINK2+下級2体で召喚する事になるので、相手ターンに妨害をしながらメインモンスターゾーンを3か所空けるようにしてください。
このデッキの妨害にフィールドのカードをコストでリリースするタイプが多いのにはそういった事情もあります。
注意点として、鉄獣共通効果で召喚したモンスターは蘇生制限に引っかかるのでこのカードで素材にできません。
先攻展開の段階でフェリジットかベアブルムのどちらかは正規召喚するようにしてください。
強いですが、1枚につきベアブルムとシュライグのEX2枠を使うので1枚採用が限度です。
【素早いアンコウ】
【素早いビーバー】
【素早いモモンガ】
いわゆる「素早い」ギミックです。
スプリンドの効果でアンコウを落としてアドバンテージを稼ぐのですが、スプライト展開の中で獣族の墓地肥やしができる点が大きいです。
基本は全部デッキの中にいてほしいカードなのですが、仮に手札に来た場合はモモンガはケラス特殊召喚のコストにしても良く、ビーバーも通常召喚でレベル2を2体並べられます。
アンコウは1枚採用でも良いかもしれません。
それで手札に来てしまった場合はスプリンドでキットを墓地に落とせば墓地はきちんと肥やせます。
「獣、アンコウともに1枚までなら手札に来てもギミックは成立する」という考えからアンコウ2枚、獣3枚の採用です。
EXデッキ
スプライトモンスターは別の記事で紹介したため、効果は割愛します。
【ギガンティック・スプライト】
いつも通りの使い方ですが、リクルートの優先順位だけ書いておきます。
キット>ブルー>グレニャードの優先順位です。
2枚採用したいけど枠の都合で1枚。
鉄獣スプライトはEXがパンパンです。
【スプライト・スプリンド】
素早いギミックの項でも書きましたが、このデッキでは素早いアンコウか、もしくはキットを墓地に落とします。
スプライト展開の中で墓地の獣族・獣戦士族・鳥獣族を肥やせるのは大きなメリットですが誘発受けが悪く、無効妨害には注意してください。
リンクマーカーが自分側には左下にしか向いておらず、リンクマーカーの向きが重要なこのデッキではフィールドに残すと邪魔になることがあります。
出すなら左側のEXモンスターゾーンに出してリンク先にマスカレーナを立て、ギガンティックの素材にしてスプリンドをどけた後右側のEXモンスターゾーンにエルフを立てて右側で鉄獣展開をするなどの工夫が必要です。
最大展開の動画で実践してるのでそちらを参照してください
【No.29 マネキンキャット】
効果はもちろんですが、「素材指定の緩い獣族エクシーズモンスター」という所に価値があります。
鉄獣共通効果で「獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターしかL素材にできない」縛りがついていても雷族のスプライトを獣族に変換し、リンク素材にできます。
墓地に落とせば疑似リンク召喚のコストにもできます。
②の効果も展開に役立ちます。
相手の墓地にうららがいれば①の効果で相手のうららを蘇生してこちらは②の効果でキットを特殊召喚でき、2軸縛りを付けずにギガンティックのような動きができます。
【戦華盟将-双龍】
主にケラスの鉄獣共通効果で出します。
フリーチェーンのバウンスはティアラメンツ、炎王、ユベルなどの効果を起動させずに除去することができるため強力です。
また、相手に効果の対象に取られたカードや効果処理待ちの魔法罠をコストでリリースすれば無駄なく1除去可能ですが、鉄獣の抗戦でモンスターを並べるために敢えて自分フィールドのモンスターをリリースすることもあります。
鉄獣スプライトではエルフの真下に出して2体ともピットナイト・アーリィとリンク状態になるように配置してください。
鉄獣共通効果でしか呼び出せず、蘇生制限をクリアできないため使いきりになります。
【ピットナイト・アーリィ】
効果については純構築で解説したのでこのデッキでの役割について解説します。
最も大事な仕事は「先攻展開でベアブルムを墓地に落とすこと」です。
展開の最後にベアブルムとケラスの2体を素材にリンク召喚し、盤面を整えながら無効妨害を構えるのですが、大抵この時点でスプライトの2軸縛りがついているためアポロウーサが出せません。
鉄獣スプライトではアポロウーサの代わりにアーリィを立てると思ってください。
横向きのリンクマーカーも優秀で、相手ターンにリトルナイトやシュライグの着地点になります。
【鉄獣戦線 徒花のフェリジット】
設定上キットのお姉さんだそうですが、一部界隈では「姐さん」と呼ばれているんだとか。
展開のつなぎとなるLINK2で、「サーチしたケラスを①の効果で特殊召喚する」「自身とキットでベアブルムのリンク素材になる」という役割を持ちます。
ここでベアブルムを正規召喚するのがミソで、鉄獣の抗戦によるシュライグのリンク素材にベアブルムを混ぜると空けるメインモンスターゾーンが3つで済みます。
したがって、ナーベルでサーチしたケラスはフェリジットで特殊召喚するまで手札に残してください。初手で自引きしたケラスは召喚してOKです。
②は手札交換ですが、返しのターンに備えて手札誘発を引き込める可能性があり重宝します。
【鉄獣戦線 塊撃のベアブルム】
フェリジットとキットでリンク召喚します。
ピットナイト・アーリィの素材として墓地に落ちて②の効果で鉄獣の抗戦をサーチするのが仕事です。
サーチ後は『「トライブリゲード」モンスターしか特殊召喚できない』縛りがつくのでほとんど展開の最後に出します。
この段階までスプライト・スターターを温存している場合は忘れないようにチェーンする形で使用してください。
①の効果はこのデッキではまず使用しません。
鉄獣初動の展開で、下級鉄獣を帰還させて共通効果で双竜を立てるための効果だと思ってください。
その場合手札コスト2枚で下級鉄獣と双龍を立てる2:2交換になるので、状況に応じてコストに見合う価値があるか判断してください。
【鉄獣戦線 銀弾のルガル】
相手ターンを無事凌いだ3ターン目に共通効果で出し、フィニッシャーのアクセスコード・トーカーに繋ぎます。
疑似リンク召喚の墓地リソースも、前のターンに鉄獣の抗戦を使っているなら豊富にあるはずです。
自身が獣戦士族のため着地後にシュライグの除去が起動します。そのまま共通効果を使った下級鉄獣モンスターとリンク素材にしてアクセスコード・トーカーの攻撃力を5300までパンプアップさせましょう。
シュライグの打点3000+5300=8300でリーサルまで届きます。
リーサルの手段はスプライト側でもシャドー・モスキート、ガンマ・バーストと豊富なうえ、アーゼウスのような後手からのまくりには貢献しづらいため採用候補によってはアクセスコード・トーカーと一緒に抜いてもいいかもしれません。
【アクセスコード・トーカー】
上記の説明通りルガルを経由して出します。
鉄獣スプライトは地属性のルガル、炎属性のベアブルム、闇属性のマスカレーナ、風属性の双龍と属性も豊富で破壊効果のコストにも事欠きません。
【鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ】
このデッキのエースモンスターです。
着地時の対象を取らない除外が強力で、フィールドに維持できれば他の獣族・獣戦士族・鳥獣族が着地する度に(でも名称ターン1効果)除外効果が発動します。
②の効果を展開に使うため2枚採用とする構築もありますが、枠の都合で1枚採用です。
採用候補・不採用カード
拮抗勝負や三戦の才などの汎用カードは、明確な理由がない限り環境との相性で入れ替えているので割愛します。
【クシャトリラ・フェンリル】
相手の墓地の増殖するGを使ってマネキンキャット②の効果で呼び出します。
素引きしても強いカードですが、増殖するGを通してしまった時点でリトルナイト着地の方が相手にドローさせる枚数が少なくて済むため不採用としました。
【ダイナレスラー・パンクラトプス】
【戦華の義-関雲】
マネキンキャット②の効果を当て込んで地属性のダイナレスラー・パンクラトプスや風属性の戦華の義 ー 関雲を入れる場合もあります。
いずれも素引きで後手まくりに使え、パンクラトプスはバックにも触れる点、関雲は獣戦士族である点が優れています。
【炎舞-「天璣」】
フラクトールをサーチする以外に役割がなく、フラクトールとの重ね引きが弱いため不採用としました。
初動の安定感をフラクトールに依存する純構築であればこのカードを1枚、フラクトールを3枚とする感じでしょうか。
このカードでVSパンテラをサーチする構築もあるようです。
【スケアクロー・ライトハート】
鉄獣の共通効果で出せるリンク1です。
鉄獣モンスター初動の展開で使います。展開パターンの潤沢な鉄獣スプライトでは不要と判断して不採用です。
【召命の神弓-アポロウーサ】
フラクトール初動だと最終盤面に3素材ウーサを立てるのですが、鉄獣スプライトではだいたいスプライト展開で2軸縛りがつくので不採用です。
【転生炎獣アルミラージ】
通常召喚したナーベルやキットをリンク素材として墓地に落としてケラスをサーチできます。要は妥協展開の補助です。
鉄獣初動に誘発をもらった際の貫通札にもなりますが、このデッキではスプライトがその役割を担っています。
妥協展開にEXの枠を割くより後攻のまくり札に枠を割きたく不採用としました。
展開ルート&戦い方
鉄獣スプライトの展開は非常に難しくパターンが無数にあるため展開ルート選択の仕方から解説したいのですが、情報量が膨大になるため解説を別に用意する予定です。
この記事ではとりあえず「このくらいの盤面が作れる」程度の感覚で観てください。
通常展開
レベル2×2体でこの盤面になります。
キットかブルー(もしくはジェット)が絡まないと盤面にキャロットが立たず、返しの拮抗ライスト羽根帚のケアができません。
最大展開
キットかブルー(もしくはジェット)が絡めばこのような展開になります。
鉄獣初動
スプライトの絡まない初動です。
覚えなくてもOKです。
何故かというと下級鉄獣+ハンドコスト1枚という動きをデッキに組み込むとEXデッキにスケアクロー・ライトハートと転生炎獣アルミラージを入れる必要があるためです。
この妥協展開のためのEX2枠は後手まくりのアーゼウス、シャドー・モスキート、もしくはフィニッシャーの銀弾のルガル、アクセスコード・トーカーと争う事になり、今回のサンプルレシピでは採用していません。
そのため、動画の中でこの記事では不採用としていたカードが出てきます。
「不採用となったカードはこういう使い方をするために入れるんだ」くらいの感覚で観てもらえればOKです。
鉄獣縛りの中でスプライト展開をするときはマネキンキャットで獣族に変換するとディスアドですがリンク素材にできます。
また、スプライトの2軸縛りは特殊召喚のみなので実はフラクトールが通常召喚できます。
覚えておくといいでしょう。
こうしてみるとナーベルから動くのが一番弱い事が分かりますね。
ケラスだけ双龍が立つのは展開終盤まで召喚権を温存できるためです。
キットとフラクトールはキャロットが立ちますが、これは展開序盤でキットに触れるためです。
おまけでフラクトール+ハンドコスト1枚の初動です。
これも覚える必要はないですが、アポロウーサが入ってる構築を見かけたらこういうことだと思ってください。
知っておくと古いリストや動画を観る際に必要な情報とそうでない情報の見分けがついて便利です。
要は展開の最後にピットナイト・アーリィを立てるか、3素材アポロウーサを立てるかの違いです。アポロウーサを立てるならギガンティック・スプライトが使えなくなります。
したがってEXデッキの枠も考慮するとアポロウーサは入れる余地がない、という事になります。
また、ベアブルムの項で触れた①の効果もこういうときに使うものだという見本になれば幸いです。
まとめ
鉄獣スプライトはとにかく展開が難しいです。
この記事を書くにあたっていくらかwebに出回っている情報にも目を通しましたが、手札の組み合わせと展開ルートだけ載せた情報やリストだけ載せた情報が多く、中にはそもそも間違っている情報もありました。
調べてみると古い環境やカードプールから導き出されたらしいものが多く、情報が更新されていないものや純鉄獣の延長で考えられたであろうものが出回っているのではないかと感じました。
この記事では初めて鉄獣スプライトを触る人向けに、よく見る採用カードでもできるだけ今の環境とカードプールに沿った内容になるようリストをまとめたつもりです。
皆さんのご参考になれば幸いです。
ではまた。