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22 皮膚ループスの病態- Pathogenesis of cutaneous lupus
はじめに
皮膚エリテマトーデス(CLE)は、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴って発症することもあれば、単独で発症することもある。CLE病変はSLE患者の最大80%にみられ、しばしば全身性疾患の発症の最初の症状である。 皮膚病変は外観を損ない、治療も難しいため患者にとって精神的ストレスとなる。最近の研究では、インターフェロン(IFN)による interferon (IFN)-orchestrated epidermal cell death、境界部皮膚炎(interface dermatitis)、自己抗原曝露、細胞性および液性エフェクター機構の活性化という慢性的な病理学的サイクルが同定されている。ループス皮膚におけるIFNリッチな状態は、紫外線を含む環境トリガーに対する炎症反応を亢進させる。
本章では、CLEの疫学とサブタイプ分類の概説と、紫外線、薬物、喫煙というよく知られた誘因が皮膚の活性化に寄与するメカニズムについての最新情報が含まれている。さらに、細胞死、炎症の細胞メディエーター、IFNを含む様々なサイトカインがCLE発症に及ぼす影響についても論じていく。
Clinical considerations
Myth: interface dermatitis(境界部皮膚炎)はループスに特異的である
comment: This schema separates skin findings into those that are specific and those that are not specific, based on the presence or absence of the histopathologic finding of interface dermatitis. Within the LE-specific cutaneous lesions, he subdivided them into acute CLE (ACLE), subacute (SCLE), intermittent (ICLE), and chronic CLE (CCLE)
・エリテマトーデス(LE)皮膚病変の分類法として最も使用されているのは、James Gilliam 博士の分類法である。この分類法では、interface dermatitisの病理組織学的所見の有無に基づいて、皮膚所見を特異的なものと非特異的なものに分けている。
・interface dermatitis(境界部皮膚炎)は、表皮真皮境界部を中心とした病変で、かなり広範囲な疾患を網羅する病理用語である。
・境界部には、表皮基底層、表皮基底境界部、真皮乳頭、付属器周辺の間質が含まれる。基本的には、表皮基底層がターゲットになる。
※ではなぜ、境界部皮膚炎がループスに特徴とされているか。それは、ループス、特に皮膚ループス(CLE)では境界部皮膚炎が非常に高頻度で認めれ、ループスを疑った皮疹でこれを認めた場合は、抗核抗体などの血清学的検査を組み合わせると極めて診断価値が高いこと。さらにループスでは、境界部皮膚炎に加えて、基底膜に沿った免疫グロブリンや補体の沈着(lupus band test陽性)など、他の特徴的な所見も同時に観察されることが多い。つまりループスの皮膚病理での境界部皮膚炎の意味は大きい。
※境界部皮膚炎としては、他にも、多形滲出性紅斑(スティーブン・ジョンソン症候群も含む)、TEN、固定薬疹、ウィルス性発疹、中毒疹やある種の薬疹、などいろいろある。薬疹では好酸球浸潤の頻度が高い。
皮膚ループス(CLE)の特異的な所見から(LE-specific lesion)には
・ Interface dermatitis(境界部皮膚炎) • Keratinocyte death(角化細胞の死滅) • Dermal mucin(真皮ムチン)、がある
Pearl: レイノー現象、網状皮斑、脱毛などはループスに非特異的である
Comment: Raynaud's phenomenon, Livedo reticularis, and Nonscarring alopecia are nonspecific for lupus.
下図右側、ループスにnonspecific lesionsのなかにあるのは
• Raynaud's phenomenon(レイノー現象) • Livedo reticularis(網状皮斑) • Palmar erythema(手掌紅斑) • Nail fold erythema and telangiectasias(爪囲紅斑および毛細血管拡張) • Vasculitis/vasculopathy(血管炎/血管障害) • Oral ulcers(口腔潰瘍) • Nonscarring alopecia(瘢痕を伴わない脱毛)
以下の表は大事なのですべて解説する
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さらに、Fig. 22.1の中身をみていこう
・LE 特異的皮膚病変の中で、急性 CLE(ACLE)、亜急性 CLE(SCLE)、間欠性 CLE(ICLE)、慢性 CLE(CCLE)に細分化される
ボックス一番左から
急性皮膚性ループスエリテマトーデス(ACLE)
Clinical: 一過性(数時間から数週間)、しばしば日光曝露に続く • 局所的な頬部紅斑(蝶形紅斑)または全身性の発疹(麻疹様) • 瘢痕を残さずに消退
Pathology: 表皮-真皮接合部に沿った表在性リンパ球・組織球浸潤、角化細胞の損傷
亜急性皮膚性ループスエリテマトーデス(SCLE)
Clinical: 乾癬様または輪状紅斑 • 光分布性 • 瘢痕はなく、1/2は色素沈着
Pathology: 過角化(鱗屑)、一部毛包栓塞 • 壊死した角化細胞
間欠性CLE(ループス腫瘍性/LET)
Clinical: 顔や上胸部に単発または多発の紫色または紅色、浮腫性の丘疹や斑状
Pathology: 表皮変化や毛包栓塞はなく、浅部および深部の血管周囲リンパ球浸潤 • 真皮ムチンが豊富
慢性皮膚性ループスエリテマトーデス(CCLE)
ループス深在性(LE profundus)- 皮下斑、1/2はDLEの上に発生、葉状脂肪織炎
しもやけループス(Chilblain LE)- 末梢、暗赤色から紫色の斑、寒冷で悪化、真皮の密な血管周囲リンパ球浸潤、血管内フィブリン沈着
円板状ループス(DLE)- はっきりと境界のある鱗屑性斑、中央の瘢痕化と色素沈着、顔面、頭皮、耳の軟骨部に多い • 真皮の密な血管周囲および付属器周囲浸潤 • 基底膜の肥厚
Pearl: 蝶形紅斑などの急性皮膚エリテマトーデスは日光曝露後に生じることが多く、病変は一過性で瘢痕化することはない。
Comment: Lesions of ACLE are transient (lasting a few hours to several weeks), frequently follow sun exposure, and resolve with occasional dyspigmentation but without scarring.
・代表的なものは蝶形紅斑と呼ばれる顔面の皮疹で、鼻唇溝には皮疹は認めないことが多い。
・SCLEは環状の、しばしば光線過敏性の発疹を特徴とし、ACLEよりも長期に持続するが、萎縮や瘢痕は残さない。SCLEも一般的に顔面を侵し、特に中顔面、体幹上部、上肢伸側部および手背を侵さない。
・CCLEは長期にわたり強い炎症を起こすため、ひどい瘢痕を残すことがある。CCLEの最も一般的なタイプは円板状LE(DLE)で、症例の90%以上を占める。
・DLEは通常、顔面、頭皮、耳に発現するが、より広範囲に発現することもある。
組織学的所見および炎症の程度は、皮膚エリテマトーデスのサブタイプに大きく依存する。ループスの特徴として、基底ケラチノサイト障害(空胞変性または境界部皮膚炎)、リンパ組織球性炎症浸潤、円板状病変では付属器周囲炎症、毛包閉塞、色素脱落、瘢痕化がある。
・ACLE病変では、真皮の変化は軽微であるが、境界部皮膚炎を伴う顕著な基底細胞障害がみられることがある。
・SCLEは一般に表皮変化とリンパ球浸潤を伴う。
・LE tumidus(CCLEの一種)では、表皮変化は認められないが、真皮ムチン沈着が顕著である。
※CCLEの代表的はDLEは、表皮から真皮にかけての萎縮、過角化、角化細胞の壊死、基底膜の肥厚などが特徴で、Chilblain lupus(凍瘡様ループス)は真皮深部のリンパ球浸潤と血管内のフィブリン沈着をを認め、寒冷部位で発生しやすい。
Epidemiology
Pearl: SLEを合併していない皮膚エリテマトーデス(CLE)は、全身性エリテマトーデスを合併しているCLEとほぼ同数である
Comment: Population-based studies indicate there are approximately as many patients who have isolated CLE without concurrent SLE as there are patients who have CLE associated with SLE.
Arch Dermatol. 2009;145(3):249-253, Br J Dermatol. 2011;164(6):1335-1341.
・isolated CLE、つまりSLEを合併していない皮膚エリテマトーデス、はSLEと疫学はかなり似ており、女性、特に出産適齢期に多い。
・複数の研究から、SLEを合併していないisolated CLEは、SLEを合併しているCLE患者とほぼ同数であると報告されている。
・アフリカ系黒人女性のCLE有病率は、アメリカ系白人女性の最大5倍であり、DLE(CCLEでもっとも多いもの) が多い。
Pearl: isolated CLEの多くが全身性エリテマトーデスに移行するが、その割合はACLE(90%), SCLE(50%)、CCLE(10%)の順に高い
comment: In one study, Swedish patients who presented with discoid lesions had a 10% risk of progression to meet criteria for SLE within a year. Numerous other studies have provided different estimates for progression of other types of CLE, with estimates up to 50% of SCLE and up to 90% of patients with ACLE developing SLE over time. In addition, a recent systematic review of other risk factors for CLE-to-SLE progression identified antinuclear antibody positivity, hematologic abnormalities at diagnosis, and nonscarring alopecia.
・CLEはSLEの初発症状であることが多い。
・ACLEでは90%、SCLEでは50%の患者が時間の経過とともにSLEを発症すると推定されている。
Expert Rev Clin Immunol. 2020;16(8):829-837.
・ある研究では、円板状病変(discoid lesions)を呈したスウェーデン人患者が1年以内にSLEの基準を満たすように進行するリスクは10%であった。 discoid lesionsとは、CCLEで認めるdiscoid lupus erythematosus (DLE)のこと。
Arch Dermatol. 2009;145(3):249-253
・CLEからSLEへの進行の危険因子は、抗核抗体陽性、診断時の血液学的異常(※)、非瘢痕性脱毛症がある
Front Immunol.2022;13:866319.
・血液学的異常(※)とは、ANA (p=0.02), SLICC immunologic criteria (p=0.002)。SLICC….オタクな基準。
SLICCのImmunological Criteriaを復習
1. ANA above laboratory reference range
2. Anti-dsDNA above laboratory reference range, except ELISA: twice above laboratory
3. Anti-Sm
4. Antiphospholipid antibody: any of the following
5. Low complement
6. Direct Coombs test in the absence of hemolytic anemia
※つまり免疫学的にループスっぽい動きをしていれば全身性(SLE)に移行しやすい、という普通なこと。
Peral: CLEでは日光曝露によりアポトーシスを起こしたケラチノサイトが自己抗原を露出し、自己抗体と結合することで、補体が活性化され、表皮の炎症が亢進する。SLEのような光過敏性疾患では同量のUVBに対してアポトーシス率は健常対照の2〜4倍である。
comment: In CLE, apoptotic KCs expose autoantigens that bind autoantibodies, leading to complement activation and increased epidermal inflammation.
※ここでのキーワードは、アポトーシスとインターフェロン(IFN)
・光線過敏症は、紫外線に対する過敏症でCLEやSLEの特徴であり、SLE患者の60〜80%にみられる。光線過敏症の病態はまだ解明されていないが、紫外線に対する異常な炎症反応とアポトーシス反応が関与している。
・SLE患者の皮膚におけるUVBの炎症促進作用は、おそらく非病変部位にさえ存在するIFNリッチな環境に起因している。SLE患者の正常皮膚のケラチノサイトはIFNκとIFN応答遺伝子を高濃度に発現している。
※インターフェロンκとは主にケラチノサイトが発現しているもので、免疫応答や抗ウィルス作用に関わっている。自己免疫疾患にも関連しており、乾癬やアトピー性皮膚炎での研究も進んでいる。
・SLEのケラチノサイトは、健常人のそれと比べ、UV照射後により強固なI型IFN反応を示す。
・SLEのケラチノサイトはIFN依存的に樹状細胞(DC)を活性化し、これが生体内でUVBを介した炎症反応を増幅する。
・紫外線暴露後は、組織学的には「角化異常ケラチノサイト」または「日焼け細胞」と呼ばれるケラチノサイトのアポトーシスを急速に引き起こされる。SLEのような光過敏性疾患では誇張され、同量のUVBに対してアポトーシス率は健常対照の2〜4倍である。
・CLEでは、アポトーシスを起こしたケラチノサイトが自己抗原を露出し、自己抗体と結合することで、補体が活性化され、表皮の炎症が亢進する。
※まとめると、SLE患者のIFNリッチなケラチノサイトは、日光過敏による健常人によりはるかに多いケラチノサイトがアポトーシスを引き起こし、IFN依存性のpDCも活性化した環境下で、自己抗原・自己抗体が反応し、補体が活性化されている、という流れとなる。
Pearl:薬剤性ループスで最初に認識されたのは1945年のスルファサラジンであり、もっともリスクが高い薬剤はプロカインアミドとヒドララジンである
comment: The first recognized agent was sulfadiazine in 1945. To date over 100 medications from more than 10 categories have been implicated, with procainamide and hydralazine regarded as having the highest risk.
※プロカインアミド: クラスIAの抗不整脈薬、ヒドララジン:直接作用型血管拡張薬(direct-acting vasodilator)で現在はあまり使わない。妊娠のときの特殊なケースとかに使うのかもしれないが。
・薬剤性ループスの機序は、DNAメチル化を調節することによるクロマチンアクセシビリティへの影響に関連していると考えられる。
※クロマチン・アクセサビリティーの文脈について考えてみる。これはおそらく薬剤がDNAメチル化に関与することで、クロマチンの構造が変化する。それにより様々な遺伝子発現に影響を引き起こし、自己免疫反応が引き起こす、ということがいいたいのだと思う。エピジェネティクスの復習を以下のnoteでしましょう。
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※リウマチ科医師として気をつけたいのは、TNF阻害薬です。
Pearl: 喫煙の増加はCLEの増加に関連する。
Comment: It is well recognized that there is an association between smoking and CLE, and increased smoking positively correlates with CLASI activity
・喫煙とCLE の間に関連があることはよく知られている。ヒドロキシクロロキンの有効性を阻害するという研究もある。
・病態生理学は明らかではないが、おそらく煙に対する炎症反応、好中球の活性化およびNETosis、細胞ストレスおよびアポトーシスが関与していると考えられる。
※何でもかんでもつなげるのは強引な気がしますが、炎症を引き起こす喫煙がSLEにいいわけもなく、わかりやすい解説を添えて禁煙めていきましょう。
これはかなり先、52章のPrinciples of therapy, local measures, and NSAIDsの患者に説明すべきこと、のLifestyleのところ。
・良く寝て、良いものを食べて、運動して、美肌を意識して、タバコはやめましょう。、という結構普通にいいことばかり。俺も全部しているから一緒にやろうと、患者さんには伝える。特別なことではないんだよと。
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Pearl: DLEの病変に男女差はない
Comment: In male and female patients with SLE, DLE lesion frequency is not significantly different between males and females (18% vs. 24%, P = 0.13), whereas ACLE occurs with nearly double the frequency in female patients with SLE. 64 The role of sex hormones as a contributor to CLE remains debated.
・先ほど書いたようにCLEにも女性が多いのだがこれは病変のサブタイプによる。
・DLE病変の頻度は男女間で有意差はない(18%対24%、 P=0.13)が、ACLEは女性が男性の2倍の頻度である。 Biol Sex Differ. 2019;10(1):60.
・最近の研究で、性ホルモンの影響とは無関係に、CLEと転写補因子vestigial-like family member 3(VGLL3)の関係が指摘された。VGLL3は表皮の主に核内にあり、マウスVGLL3を皮膚で過剰発現させると、重度のループス様の皮疹とCLEと似ている皮膚遺伝子発現プロファイルを引き起こした。 JCI Insight. 2019;4(8):e127291.
Microbiome マイクロバイオーム
※一定の区域に生息する細菌叢、微生物叢全体を意味する
Pearl: Ro60と同じ蛋白を発現する微生物がSLE/CLE患者の皮膚に認められる。
Comment: Anti-Ro antibodies are frequently associated with CLE, and recent data support potential molecular mimicry in driving anti-Ro immune responses. Commensal organisms that express Ro60 orthologs have been found on the skin of healthy control and SLE/CLE patients, and T cell specificity to these microbes can be found in patients with SLE.
・これは衝撃
・CLEとマイクロバイオームの研究はいくつか報告されている。
・抗Ro抗体(SSA抗体)はCLEとしばしば関連している。その病態と関連しているかもしれない興味深い報告としては、Ro60オルソログを発現する常在微生物が健常対照群とSLE/CLE患者の皮膚にみられ、SLE患者ではこれらの微生物に対するT細胞の特異性がみられる、ということである。
※Ro60オルソログとは、Ro60(SS-A抗原)と相同な構造や機能を持つタンパク質を指す。
・SLEの抗Ro60+患者血清は、常在菌のRo60タンパク質を認識し、Ro60+オルソログ株でコロニー形成すると、マウスで抗Ro反応が誘導される。
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Pearl: typeⅠIFN環境は皮膚バリア形成を阻害し、黄色ブドウ球菌に対するケラチノサイトの接着性を増加させることにより、黄色ブドウ球菌のコロニー形成を促進する。
comment: Intriguingly, a high type I IFN environment may promote S. aureus colonization by inhibiting barrier formation and promoting increased adhesiveness of KCs to S. aureus.
・CLE病変に黄色ブドウ球菌は他の膠原病や健常対照と比較して多く存在している。typeⅠIFN環境は皮膚バリア形成を阻害し、黄色ブドウ球菌に対するケラチノサイトの接着性を増加させることにより、黄色ブドウ球菌のコロニー形成を促進する。J Invest Dermatol. 2020;140(5):1066-1074.e4.
※これおめちゃめちゃ興味深い!
ここからはインターフェロンのマニアックな話になっていく
The importance of interferons、インターフェロンの重要性
・CLEが強いIFNシグネチャー(※)を持つことは、よく知られているが、CLE病変でIFNが上昇するのかについては、まだ結論にはいたっていない。最初にケラチノサイトがINFリッチ(IFN産生に寄与している)と書いたが、それ以外の細胞もIFN産生をしている可能性が高い。正常皮膚には存在しないが、形質細胞様DC(pDC)はCLE病変に豊富であり、SLEに見られる核抗原や自己抗体の免疫複合体のようなtoll様受容体(TLR)刺激後のI型IFN産生に大きく関与している。
※しばしばでてくるIFNシグネチャー:SLE や皮膚筋炎(MDA5など)などの自己免疫疾患で見られるものでで、I 型インターフェロン(IFN)と呼ばれる免疫調節因子や、I 型インターフェロンの影響を受ける遺伝子群の発現が上昇する現象。
皮膚エリテマトーデスにおける免疫細胞集団、好中球、T細胞、NK細胞、B細胞などの役割が書いてありましたが、割愛します。ごめんなさい。
病因の解明が治療をどう変えるか
Myth: 全身性エリテマトーデスの他の臓器を治療することで、皮膚病変も治癒する
comment: many patients have refractory skin lesions, even when their systemic disease is well controlled. Understanding CLE pathogenesis and drivers that instigate disease is critical to propel effective therapy development.
・現在までのところ、CLEそのものの治療法として米国食品医薬品局(FDA)が承認した治療法はない。患者の約50%はSLEの薬剤が奏効するが、多くの患者は全身疾患が十分にコントロールされていても、皮膚病変は難治性である。
・つまり、CLEの病態を理解し、疾患を誘発する因子を解明することは、効果的な治療法の開発につながる。
Pearl: CLEの治療薬として、抗I型インターフェロン受容体1抗体であるアニフロルマブは効果的である
comment: Recent trial data show treatment with anifrolumab, an FDA-approved monoclonal antibody for moderate to severe SLE that targets the type I IFN receptor, results in robust improvements in CLE skin activity scores. N Engl J Med. 2020;382(3):211-221
・I型インターフェロンはCLEにおいて重要な役割を担っているため、IFNシステムとI型IFN受容体に関連するJAK/STATシグナルに作用する新規治療薬は注目されている。
・最近の臨床データでは、IFN受容体を標的とするモノクローナル抗体であるアニフロルマブにより、CLEの皮膚活動性スコアが著明に改善することが示された。
Myth: JAK阻害薬はCLEに有効であり、今も使用は拡大している
comment: Oral JAK inhibitors are being investigated in SLE, and initial reports showed some benefit in CLE skin lesions, however the systemic use of these drugs may be limited by hematologic side effects, such as anemia and thrombocytopenia.
Drug Saf. 2018;41(4):357-361.
・期待のJAK阻害薬だが、初期報告ではCLEにある程度の効果がみられたが、貧血や血小板減少などの副作用の問題で今後使用の制限される可能性がある。
・TYK2を標的とすることはより特異的で有効なアプローチである可能性があり、SLEとCLEにおいて関心が高まっている。複数のTYK2阻害剤がSLE、CLE、その他の炎症性疾患や自己免疫疾患に対して臨床試験中である。
※TYK2(Tyrosine Kinase 2)は、JAKファミリー(Janus Kinases)に属するチロシンキナーゼ。
・その他のターゲットとしては、IFN産生pDCで、具体的にはpDCが高レベルで発現しているCD123。
※抗CD123(IL-3Ra)抗体は急性骨髄性白血病で試験されている。
・白血球の発達に影響を与える転写因子イカロスとアイオロスの分解を促進するセレブロン調節因子であるイベルドマイド(Iberdomide)の最近の第II相試験では、IFN遺伝子シグネチャーの減少がみられたが、ベースライン時にシグネチャーが高い患者においてのみであった。 これもNEJM。N Engl J Med. 2022 Mar 17;386(11):1034-1045.
IFN界隈の戦いは続くのである。
皮膚ループスは、SLEの病態を学ぶ導入としてはとてもよいと思いました。ありがとうございます!