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122 リウマチ熱と溶連菌感染後反応性関節炎

122 Rheumatic Fever and Post-streptococcal Arthritis リウマチ熱と溶連菌感染後反応性関節炎

ここでは最初にリウマチ熱(ARF)の話、次に溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)をとりあげます。

最初に両者を比較しておきましょう。リウマチ熱は見たことがありませんが、溶連菌感染後反応性関節炎は何例か見たことがある、というのが通常の感覚だと思います。

リウマチ熱と溶連菌感染後反応性関節炎の比較

両者の違うところ
・症状が出てくるのはPSRAの方が早い。
・リウマチ熱は小児(4-9歳)で15歳以上は稀、PSRAは8-14歳と21-37歳の二峰性のピーク。
・関節炎はPSRAが優位。リウマチ熱は関節炎は必須ではなく、1週間ぐらい遊走性の関節炎があり、2週間ぐらいで寛解する。PSRAは関節炎は必須で、しばしば対称性・持続性、平均持続期間は約二ヶ月。
・皮疹も違う。リウマチ熱はやや晩期で erythema marginatum(輪状紅斑/有縁性紅斑 下の写真)、PSRAの多くは結節性紅斑。

erythema marginatum

こう書いてみると両者はけっこう違います。症例報告でリウマチ熱と出ているものをみても、それはPSRAだろうと思うこともあります。ただ特に小児でRSRAを見た場合、それがリウマチ熱ではないのか、リウマチ性心疾患の予防として治療すべきなのか悩ましいところです。ここはリウマチ熱のあとに議論します。

では、ここからkelleyです。

キーポイント
・リウマチ性心疾患は、後天性弁膜症の原因として世界で最も多い疾患であり、流行国では心不全の1/4を占める。
・急性リウマチ熱(ARF)は、非治療のA群溶血性連鎖球菌咽頭感染に続いて発症する、環境因子や遺伝因子の影響を受ける免疫反応である。
・ARFは3歳以前に発症することはまれで、15歳以降に発症することもまれである。大部分の症例は4歳から9歳の間に発症する。
・主症状は:「遊走性多発性関節炎、心炎、輪状紅斑、シデナム舞踏病(小舞踏病)、皮下結節」があり、副症状に「関節痛、発熱、第1度心ブロック/PR時間の延長、炎症マーカーの上昇」がある。
・症状はA群溶血性レンサ球菌感染後約2~3週間で始まるが、小舞踏病は例外で4~6週間後に始まる。
・小児では炎症がより強くなる傾向があり、衰弱、発熱、心炎を示すことが多いが、成人では関節炎の発生率が高くなる傾向がある。
・自己免疫反応は体液性免疫反応と細胞性免疫反応によって媒介される。
※聞き慣れない心炎(Carditis)とは心臓の炎症を指します。リウマチ熱に関連する心炎は、リウマチ性心炎(rheumatic carditis)と呼ばれ、心膜炎や心筋炎、心外膜炎など心臓のさまざまな部位に炎症を引き起こします。

ケリー

はじめに

急性リウマチ熱(ARF)およびリウマチ性心疾患(RHD)は、A群溶血性レンサ球菌(GAS)感染症の治療を受けていない若年で感受性の高い人に発症する。本章では、病因を説明し、リウマチ熱の病態生理、診断、治療、予防について概説する。急性リウマチ熱は、溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)と区別する必要があり、PSRAについても最後に少しだけ述べる。

Rheumatic Fever and Rheumatic Heart Disease


N-Acetyl-D(+)-glucosamine

Pearl: A群β溶連菌は、細胞壁にN-アセチル-β- d-グルコサミンとラムノースが存在することが特徴で、リウマチ熱やリウマチ性心疾患の発症に関与する。

Comment: Group A is characterized by the presence of N-acetyl-β- d -glucosamine and rhamnose in the cell wall and is responsible for the development of ARF and RHD. 

・リウマチ熱は常にA群β溶血性連鎖球菌の感染が先行する。
・基礎知識として、レベッカ・ランスフィールドが1941年に溶連菌を細胞壁多糖の種類に基づいてA群、B群、C群、F群、G群に分類した。

マンデルの有名な写真

・さらに溶連菌は溶血度合いで、α、β、γに分けられる。
・βはしっかり溶血している(β-hemolysis = complete hemolysis),で、ここにA群β溶連菌やB群、C群、G群が含まれる。
※緑のαは Streptococcus pneumonia , Streptococcus viridans、溶血しないγはEnterococcus。
このA群は細胞壁にN-アセチル-β- d-グルコサミンとラムノースが存在しており、これがリウマチ熱やリウマチ性心疾患(RHD)の発症に関与している。
・主要抗原であるMタンパク質は、細胞壁から伸びる約450アミノ酸残基からなり、このN末端部分は細菌の抗原性の多様性を担うemm型を規定している。CDCによると世界中で、200以上のemm遺伝子型が存在し、その分布は地域によって様々である。
・emm1株がリウマチ熱およびリウマチ性心疾患全体の20%を占めている。興味深いことに、emm1株は溶連菌感染後の糸球体腎炎との関連もある。
・また、C末端半分の末端は、複数の繰り返し領域を含み約70%という高い保存性を示すため、ワクチンの標的になっている。

Pearl: リウマチ熱を引き起こすのは限られた株である

・つまり、リウマチ熱を引き起こすのはA群β溶連菌のなかでも限られた株であり、それがA群の細胞壁のある蛋白のN末端にあるemm型が関連しており、おそらくその抗原反応と心臓への攻撃がクロスリアクションしている、というイメージである。
・リウマチ性心疾患は、リウマチ熱による心炎に伴う心臓弁損傷により引き起こされる後天性心疾患である。

Pearl: A群β溶連菌(S.pyogenes)未治療後の、リウマチ熱の発症リスクは0.3から3%である

Comment: The risk of ARF after untreated S. pyogenes pharyngitis in susceptible people ranges from 0.3% to 3%.
Acute rheumatic fever,Lancet 366:155–168, 2005.

・A群β溶連菌による咽頭炎未治療後のARFリスクは0.3%から3%である。参考文献の一つがLancet、国別のデータが載っていた。

※Table 1: Incidence of acute rheumatic fever: Annual incidence, 日本は0.5-1。

・感受性は個人の遺伝的背景に依存し、貧困が大きなリスクになる。
・低所得国では細菌が蔓延しやすい家だったり、医療や抗菌薬アクセスが悪いため、何度も溶連菌感染を引き起こし、それによりS.pyogenes株の多様性が高く、リウマチ熱の発症率があがっていく
・流行国で多いのがオセアニアで、特に先住民に多く、ついでサハラ以南のアフリカ中央部、南アジアとなっている。 ただ正確に診断されていないことを考慮すると、このannual incidenceは過小評価されていると推測できる。
・日本のデータでは年間5-10件の報告があり、小児10万人あたり0.5~1人の発症という計算になる。

Clinical Manifestations 臨床症状

kelleyには以下の12に分かれてかかれている。リウマチ熱、咽頭炎、関節炎、急性心炎、リウマチ性心疾患への以降、無症候性心炎、リウマチ性心疾患、小舞踏病、PANDAS(連鎖球菌感染性小児自己免疫神経精神障害)

①Acute Rheumatic Fever
②Pharyngitis
③Arthritis
④Acute Carditis
⑤Transition From Acute to Chronic Heart Disease
⑥Indolent Carditis
⑦Subclinical Carditis
⑧Rheumatic Heart Disease
⑨Sydenham’s Chorea
⑩Pediatric Autoimmune Neuropsychiatric Disorders Associated With Streptococcal Infections
⑪Erythema Marginatum
⑫Subcutaneous Nodules

臨床症状12つ

Pearl: リウマチ熱の大部分は4歳から9歳のあいだで発症する。

Commment: ARF is rare before age 3 years and infrequent after age 15 years, with the majority of cases occurring between ages 4 and 9 years. Inflammation tends to be more intense in small children, who often exhibit greater prostration, fever, and carditis, whereas adults tend to exhibit a greater incidence of arthritis.
・ARFは3歳以前と15歳以降ではまれであり、症例の大部分は4歳から9歳の間に発症する。小児では炎症が強い傾向があり、発熱、倦怠感、心炎を示すことが多いが、成人では関節炎が多い。
・症状はGAS感染後約2~3週間(平均18.6日)で始まり、舞踏病だけは通常4~6週目以降に生じる。

Myth: リウマチ熱で咽頭炎は必発である

Reality: Approximately half of streptococcus pharyngeal infections can be asymptomatic. Indian Heart J 66:64–67, 2014.

・溶連菌咽頭感染の約半数は無症状である。 コロナ感染と同じく不顕性感染がある、ということ。

Pearl:リウマチ熱の関節炎にNSAIDsは著効する

Comment: They typically respond well to NSAIDs. Other diagnoses should be considered if this pattern is not followed.

・関節炎は必須ではないが主症状のなかでも発症率は高い。1962年のケースシリーズでは10代の82%、および小児の66%に関節炎を認めた。罹患部位は、膝(76%)、足首(50%)、肘と手首(12%から15%)、肩関節(7%~8%)、指節関節(7%~8%)、腰仙関節(2%)、頚椎(1%)、胸鎖関節(0.5%)、顎関節(0.5%)。
各関節炎は数日続くが1週間は超えない。通常、NSAIDsによく反応するため、このパターンに当てはまらない場合は、他の診断を考慮すべきである。
・罹患部位はReactive arthritisっぽいが、遊走性で1週間で治るってことはあまりないので、やはりリウマチ熱の関節炎はしょぼいです。

Pearl: 僧帽弁はほぼすべての症例で侵され、これは乳頭筋を介した炎症細胞の浸潤が原因である

Comment:  The mitral valve is affected in almost all cases, which is attributed to the predominant migration of inflammatory cells through the papillary muscles. The tricuspid valve is also frequently affected, but rarely with significant clinical consequences. The aortic valve is involved in approximately 20% to 30% of cases.

急性心炎のメモ
・心炎は心エコーをもちいるか否かで、報告データは15%から91%とばらついている。
・心炎は小児に多く重篤であり、炎症は心外膜、心筋、心内膜に及ぶことがある。
・軽症または無症状から、重症で急性うっ血性不全で死に至ることもあり、重症度も様々である。
・僧帽弁はほとんどすべての症例で侵され、これは乳頭筋を介した炎症細胞の浸潤が原因である。三尖弁も障害されるが臨床的に問題になることは稀である。大動脈弁は約20%から30%の症例で侵される。
・僧帽弁閉鎖不全症が弁膜症でもっとも多く、大動脈弁閉鎖不全症を合併することもある。
・腱索が破裂した場合は緊急手術の適応になる。
・弁膜炎を伴わない心筋炎は、リウマチ熱が原因ではない。
・心タンポナーデはまれである。

Pearl: リウマチ熱が寛解した患者であっても、弁の炎症は持続している

Comment: Samples from the valves and papillary muscles of patients with chronic RHD that are collected during valve replacement procedures often show variable degrees of mononuclear or lymphocytic infiltrates and sometimes Aschoff’s nodules, even in patients considered to be in remission clinically on the basis of laboratory results.
 Int J Cardiol 37:79–89, 1992

急性心炎から慢性心疾患への移行
・一部の患者の心筋と弁に局所的な炎症が残存することで、慢性のリウマチ性心疾患に移行すると考えられている。
・弁置換術の症例のデータでは、臨床的には寛解していると考えられる患者であっても、単核球やリンパ球浸潤を認められることが多い。
・リウマチ熱の罹患率が低い国では、手術が必要になるまで20~40年かかるのに対し、リウマチ熱の罹患率が高い国では、5歳未満の患者でも僧帽弁狭窄症になることがある。
・無症候性、不顕性心炎があるため、心エコーは重要である。

Peral: 多くのリウマチ性心疾患の患者は、急性リウマチ熱の診断を受けていない

Comment:  If the diagnosis is not established during the acute phase, rheumatic fever often remains undetected for many people until the first symptoms of HF occur. In South Africa, 82.5% of affected children were previously undiagnosed.
・リウマチ性心疾患は後天性の弁膜症の原因として世界で最も多く、流行国では心不全の原因の1/4である。
・急性リウマチ熱の診断がなければ、慢性リウマチ性心疾患は症状が出るまで無症状であり、症状がでてからはじめて診断される。南アフリカでは、リウマチ性心疾患に罹患した小児の82.5%が未診断であった。 
・だからこそ、急性期の「急性リウマチ熱」で診断し、しっかり治療しなければいけない。

Pearl: 舞踏病は他の症状よりでるのが遅く、一般的に溶連菌感染後6~8週間で発症する

Comment: In contrast to the other manifestations of ARF, chorea generally occurs 6 to 8 weeks after the streptococcal infection is sustained; however, a latent period of up to 8 months has been described.

シデナム舞踏病/小舞踏病- Sydenham’s Choreaについて
・くねくねと体幹と四肢が動く非律動性不随意運動である。
・シデナム舞踏病、 小舞踏病(chorea minor)とも知られている。
・情緒不安定、性格変化、筋力低下、微細運動能力の低下、協調性のない突発的、非リズミカル、無目的、ぎこちない運動を特徴とする神経疾患である。
・睡眠中に消失する
・手、腕、肩、足、顔面、体幹に症状がでて、しばしば片側により顕著である。
これは見たほうが早い。
Boy with Sydenham's Chorea | NEJM
なるほど、非リズミカル、ぎこちなく、左右対称ではない。
・1951年の1000人の患者シリーズでは51.8%、最近のデータではリウマチ熱の20%から30%に認める。女性の方が多い。にみられると報告されている。 25男性よりも女性に多くみられ、成人期の初発はまれであるが、この時期に再発することが多い。
・舞踏病のほとんどは2〜6ヵ月以内に自然回復するが、3年も続いたケースもある。長いな。

次に、ぱんだす!(PANDAS)
Pediatric Autoimmune Neuropsychiatric Disorders Associated With Streptococcal Infections
・溶連菌感染に伴う小児自己免疫性精神神経障害は、抗体が神経細胞に結合しドーパミンの放湿を誘導する。これにより、振戦、チック、強迫性障害などの行動障害を引き起こす、とのこと。
・溶連菌が強迫性障害を悪化させる???

Erythema Marginatum 輪状紅斑は最初にだした写真のとおり。
・シェーグレンの環状紅斑(Erythema annulare)と違うのか、という疑問をもつのはおそらく俺だけではないが、違うもの。

皮下結節

https://www.jpeds.com/article/S0022-3476%2819%2930532-3/pdf

・786人の患者のデータでは1.5%のみで、リウマチ熱で最も頻度の低い症状である。
・リウマチ熱の皮下結節は、関節リウマチのように骨表面や腱の近く(肘、膝、足首、アキレス腱、後頭部)に好発するが、RAより小さく(数mm-2cm)、通常は1~2週間以内に消えていく。

遺伝子について
・リウマチ熱やリウマチ性心疾患の発症リスクには遺伝子が関与している。
・発症率の高いアボリジニのHLADQA1 および DQB1 のアミノ酸残基の変異と IGH (免疫グロブリン重鎖) 遺伝子セグメント のアレル (IGHV461∗02) がリスクかも、という報告がある。Nat Commun 8:14946, 2017.
・Table122.1は各国の研究での遺伝子解析のHLA-DRB1 Allelesのデータ。
・Table122.2は心臓に炎症が起きることに関わる分子たち。それぞれいろいろ研究されているようだが、ここでは割愛する。

遺伝子

Immune Mechanisms and Disease Manifestationsについて

Pearl: リウマチ熱とリウマチ性心疾患の発症には免疫複合体と抗原分子模倣とエピトープ拡散(Molecular Mimicry and Epitope Spreading)が関わっている

ここは一般的な免疫学の解説です。
・免疫複合体の生成は、抗原と特異的抗体との相互作用によって起こる。この免疫複合体があることにより貪食細胞による貪食効率があがり敵を効率的にやっつけることができる。
・Molecular Mimicry and Epitope Spreading(分子模倣とエピトープの拡散)
分子模倣機構は、微生物と宿主(患者)に類似(または同一)の抗原があることによるメカニズム。これにより、①微生物が免疫から回避できる、②交差反応によって感染後にできた自己抗体が、自己抗原を認識する。

リウマチ熱とリウマチ性心疾患の病態生理

※ 関節炎、舞踏病、リウマチ性心疾患で共通して出てくる抗原は、A群の細胞壁にあるN-アセチル-β- d-グルコサミン

関節炎:A群β溶連菌の細胞壁多糖(おそらくNアセチルグルコサミン)と細胞膜成分の成分またはM蛋白にたいする抗体と対応抗原が反応し、免疫複合体を形成して補体が活性化されて一過性の関節炎が引き起こされる。Ⅲ型アレルギーはSLEと同じ。上に出てきた免疫複合体+Molecular Mimicryのなせる技。

Pearl: シデナム舞踏病は溶連菌に反応する自己抗体が、患者のガングリオシドを認識し、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIによるシグナル伝達を媒介し、神経細胞からのドーパミン放出を誘発することによって生じる。

Comment: The pathogenic mechanism leading to the development of Sydenham’s chorea was clarified by investigators. These investigators showed that antibodies from the sera of patients with chorea bind to neuronal cells. They also identified gangliosides as autoantigens that cross-react with N-acetyl-β- d -glucosamine, the major cell wall streptococcal antigen, and showed that autoantibodies mediate signal transduction by calcium/calmodulin-dependent protein kinase II, triggering dopamine release from neuronal cells.
Autoimmunity 39:21–29, 2006.
・舞踏病患者の血清からの抗体が神経細胞に結合することが判明した。
・抗体が対応する抗原は、連鎖球菌の主要な細胞壁抗原であるN-アセチル-β-d-グルコサミンと交差反応する自己抗原となるガングリオシドも見つかった。
・そして、自己抗体がカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIによるシグナル伝達を媒介し、神経細胞からのドーパミン放出を誘発する。

Pearl: 心筋と弁の心臓組織タンパク質と、A群溶連菌のN-アセチル-β-d-グルコサミンとの類似性が、自己免疫反応の原因である。

・リウマチ熱患者の血清抗体は、連鎖球菌の細胞壁にあるN-アセチル-β-d-グルコサミンと、心筋の心筋ミオシン、弁のトロポミオシン、ラミニンの特定領域を同時に認識する。また出てきた、交差反応性の自己抗体。
・これでVCAM-1やICAM、インテグリンP-セレクチンなどが発現し、CD4+およびCD8+T細胞が心臓に浸潤していく。
・心筋の主要抗原は心筋ミオシン。in vitroで心臓組織タンパク質ヒトライトメロミオシン(LMM)や連鎖球菌M5ペプチド、僧帽弁由来タンパク質に対する反応性があることが分かった。
・弁膜炎も同様にN-アセチル-β-d-グルコサミンに対する抗体が、弁に存在するラミニンとの交差反応性を示す。
つまり、心筋と弁の心臓組織タンパク質のN-アセチル-β-d-グルコサミンとの類似性が、おそらく自己免疫反応の原因である。
J Infect Dis 183:507–511, 2001.

検査

・リウマチ熱を診断するためには、①溶連菌感染の証明、②炎症反応の持続、③リウマチ熱に特徴である、心炎・関節炎・舞踏病などがないかをみていきます。

①溶連菌感染の証明は以下の3点
・咽頭培養:リウマチ熱の75%は陰性。
・迅速抗原検査:感度は65-90%、特異度95%以上。抗原検査陰性でも咽頭炎は除外できない。
・ASO( 連鎖球菌抗体検査)とADNaseB: ASO は感染後1 週間で上昇し始め、3〜5週間でピークに達し、約6〜8 週間後には下がり始める。抗体のピークは通常、リウマチ熱の2-3週ごろでありリウマチ熱患者のではASO および ADNaseB の力価はそれぞれ 80% および 85% の確率で上昇する。
ASOは2週間後に2回目の採血(ペア血清)を確認する

Myth: ASOはA群β溶連菌に特異的である

Reality: Increases in ASO occur not only in response to GAS infections but also in infections with groups C and G streptococci and other bacteria such as bacillus, Clostridium tetani, and Listeria monocytogenes .
・ASOの増加は、GAS感染だけでなく、C群およびG群連鎖球菌や、バシラス、 破傷風菌、 リステリア菌 などの他の細菌感染でも上昇する。
・溶連菌感染の発生率が高い地域ではASOが高値の人が多いため、最近の感染を判定するために2週間後に2回目の採血(ペア血清)を確認する必要がある。

心電図:心電図異常は患者の約21%で認められる。頻脈と PR 間隔の延長は心筋炎を疑い、稀に3度の房室ブロックを来たす。ST上昇は心膜炎を疑う。

心エコー:
・潜在性心炎の有病率はゼロから 53%と差があり、おおよそ有病率は16.8%。Nat Rev Cardiol 9:297–309, 2012.
・潜在性心炎がある場合は、一部の患者では長期的に炎症が持続する。弁病変は5年後も患者の 30%で持続し、潜在性心炎と診断された患者の半数は、その後 2 年間に心炎が持続または悪化する。
・以下はドップラーの所見

リウマチ弁膜炎を疑うドップラー所見

 日本語にしました

病的僧帽弁逆流(以下の4つの基準をすべて満たす)
・少なくとも2つの視野で確認
・少なくとも1つの視野でジェット長が2 cm以上
・最高速度が3 m/sを超える
・少なくとも1つのエンベロープで全収縮期ジェット
病的大動脈弁逆流(以下の4つの基準をすべて満たす)
少なくとも2つの視野で確認
・少なくとも1つの視野でジェット長が1 cm以上
・最高速度が3 m/sを超える
・少なくとも1つのエンベロープで全拡張期ジェット

リウマチ弁膜炎を疑うドップラー所見

分類基準

2015年に改訂された基準では、低リスク集団と中等度から高リスク集団の2つの異なる基準がある。

Revised Jones Criteria

日本はlow-risk populationsなので、そこを抜き出した日本語の基準

Revised Jones Criteria 低リスク地域の基準
A 先行するA群β溶連菌感染の証拠(必須)
B 主症状:心炎(心エコー)、多関節炎、小舞踏病、有縁性紅斑、皮下結節
C 副症状:多関節痛、発熱(≧ 38.5℃)、赤沈≧60/hr and/or CRP≧3.0、PR時間延長(心炎にかかわらず)
診断①初発時は 主症状2項目、または主症状1項目+副症状1項目
  ②再燃時は、①+副症状3項目

最大の鑑別は「溶連菌感染後の反応性関節炎(PSRA)」
・PSRAがJones Criteriaを満たさない場合でもリウマチ熱と同様の対応をすべきという人もいれば、RSRAは予防が不要な良性疾患という人もいる。Mayo Clin Proc. 2000;75(2):144. 
ガイドラインの結論は
●PSRAとリウマチ熱の関係はまだ不明であるがJones基準を満たす患者はリウマチ熱であると考えるべき
●Jones基準を満たさない患者でもPSRAの診断前に他のリウマチ性疾患を除外すべきである。
詳しくは、もっと下でPSRAのところに書きます。

Primary Prophylaxis 予防

Pearl: 小児の咽頭痛の15-30%、成人の10%はA群β溶連菌(GAS)のものであり、GASを適切に抗菌薬治療することによりリウマチ熱の発症の可能性を大幅に下げることが出来る

comment: Adequate treatment of streptococcus pharyngitis greatly reduces the likelihood of the subsequent development of ARF. Nevertheless, streptococcus cannot be differentiated from other pharyngeal pathogens on a clinical basis, cultures take days to provide results, and RSAT lacks sensitivity and adds costs. The majority of sore throats are viral in origin. Fifteen percent to 30% of sore throats in children and 10% in adults are estimated to be due to GAS.
Curr Cardiol Rep 15:343, 2013.

Pearl: コスタリカでは全ての咽頭痛症例にたいして抗菌薬を使うことで、リウマチ熱の新規症例を94件から4件に減少させた、と言われているが事実はそうではないかもしれない。

comment: This policy was instituted in Costa Rica in 1970, and the number of new cases of ARF fell from 94 new cases in that year to only 4 in 1991.
 prevention of rheumatic fever in Costa Rica, J Pediatr 121:569–572, 1992.
・この戦略が取られていないヨーロッパや米国でもリウマチ熱は減っており、コスタリカによる事象は抗菌薬だけでなく住宅環境、教育、医療へのアクセスなど、他の社会経済的要素の改善によるものだ、という指摘もある。
・逆に、ニュージーランドは、高リスク群にたいする積極的な治療を試みたが、リウマチ熱の発症は下がらなかった。これはおそらくは不顕性感染があるからで、ということ、または感染しても病院にいかなかったことが原因と考えられる。
・つまりは溶連菌を疑った場合は病院にいって検査して治療しましょう、ということ。

modified Centorスコアの復習
体温38度以上(+1)
咳嗽がない(+1)
前頸部リンパ節腫脹•圧痛(+1)
扁桃の腫脹•浸出物(+1)
年齢15歳未満(+1)
年齢45歳以上(−1)

溶連菌抗原迅速キットで陽性となる確率
0点:2〜3%
1点:4〜6%
2点:10〜12%
3点:27〜28%
4点:38〜63%

ACP(アメリカ)だと
・ centor score2〜3点で迅速抗原検査を行う。
・4点で治療する。
ESCMID(ヨーロッパ)は0-2は検査なし、3-4が検査あり。
・このcentorスコアの運用もガイドラインによって異なる。

・年齢15歳できっているのはリウマチ熱が15歳以降で発症しないことと合う。特にリウマチ熱のハイリスク、4-9歳前後はしっかり治療することが望ましいことを考えると、小児科で多めに検査または治療してしまうのは仕方ないような気もする。

IDSAの診療ガイドラインはcentor scoreがでてこない。それのまとめ。
https://academic.oup.com/cid/article/55/10/1279/324779?login=false#210136797
・A群β溶連菌咽頭炎の検査は、ウイルスを疑う状況(例えば、咳嗽、鼻漏、嗄声)の場合は行わない。
・急性リウマチ熱は3歳児以下ではまれであり、溶連菌を疑わない場合はA群β溶連菌咽頭炎の検査は3歳児には適応されない。ただし年上の兄弟が感染しているなど、他の危険因子がある3歳児は検査を考慮してもよい。
・治療後の咽頭培養や抗原検査のフォローアップはルーティーンでは不要だが、特別な状況の場合は考慮しても良い。
・感染患者の無症候性の家族に対する検査は推奨されない。

リウマチ熱を意識したガイドラインということが分かる。

Acute Rheumatic Fever Treatment

リウマチ熱の治療

溶連菌の除菌が基本。治療効果を証明するデータはないが、溶連菌がいないことにより、リウマチ熱を引き起こす溶連菌が蔓延しないようにする意図もある。家庭内の接触者も検査を受け、無症状であっても治療をすべきである。
治療:長時間作用型ペニシリンGベンザチンの筋肉内投与。アドヒアランスを考慮した、とのこと。

Myth: リウマチ熱の急性心炎にはペニシリンとステロイドが有効である。

comment: The extent of acute cardiac involvement is probably the most important event in determining the long-term morbidity and mortality of rheumatic fever. Nevertheless, currently no effective therapies alter the natural history of the disease. 93 A review of 170 articles concluded that aspirin was not beneficial in the treatment of acute carditis. 

  • Circulation 11:343–377, 1955.

  • The treatment of rheumatic carditis: a review and meta-analysis, Medicine (Baltimore) 74:1–12, 1995.

急性心炎の治療:
・有効な治療薬はないがステロイドは使われることがある。
・自己抗体ができて心臓を攻撃しているという機序であれば、除菌とステロイドは有効な気がするがその有効性は研究ではでていないようだ。
・ステロイド治療研究の大半は1950年代と1960年代に行われたもので、心エコー検査が利用できるようになる前のものであった。1995年の130以上の研究が参加したメタアナリシスでは、治療後1年目の病的な心雑音の予防において、ステロイドはサリチル酸に優位性はなかった。このメタアナリシスは異質性が高いので、効果がないとはいいきれない。

ステロイド vs サリチル酸の比較の図

・Forest plotをみるとそれなりに異質性が大きいこともわかる。
・推定オッズ比は0.78であり、ステロイドにじゃっかん有利だが、95%CIは0.39から1.55と幅広い。ここでも、1つの研究を取り除いても全体的な結果に大きな変化はない。
・コクランレビューでも同様の結論。
・その結果、ステロイドは今まだ急性心炎の治療に広く使われている。効きそうな気がしますがなぜでしょう。
・IVIGの59人のRCTで効果はなし。Circulation 103:401–406, 2001.

リウマチ熱の治療例:
・プレドニン(1~2mg/kg/日から最大80mg/日まで、1日1回または分割投与)で開始、 2〜3週間の治療後、投与量は毎週20〜25%ずつ減らしていく。World Health Organ Tech Rep Ser 923:1–122, 2004
・ステロイド中止後はアスピリンやNSAIDsを続ける。

Secondary Prophylaxis- 二次予防

Myth:溶連菌の除菌後の再発は少ない

reality: Patients with rheumatic fever are at a high risk for recurrences and progression of the severity of manifestations following a new GAS infection. Because streptococcal pharyngitis is often asymptomatic, prevention requires continuous anti-microbial prophylaxis rather than treatment of acute GAS pharyngitis episodes. Continuous administration of benzathine penicillin G (BPG) reduces the chances of a new streptococcal pharyngitis in 71% to 91% of cases, the chances of a new episode of ARF in 87% to 96% of cases, and the severity of RHD and its associated mortality.
・リウマチ熱患者は、新たな除菌後の溶連菌感染の再発や重症化のリスクが高い。再感染も多いしコロナイゼーションも多い(ハイリスク群は)。
・溶連菌性咽頭炎はしばしば無症候性であるため、予防には咽頭炎エピソードの治療よりもむしろ継続的な抗菌薬予防が必要になる。ベンザチンペニシリンGの継続的投与により、溶連菌性咽頭炎を新たに発症する確率は71%~91%、リウマチ熱を新たに発症する確率は87%~96%減少し、リウマチ性心疾患の重症度とそれに関連する死亡率は減少する。 
Indian Heart J 35:139–146, 1983.
J Pediatr 115:146–150, 1989.
・二次予防の有効性はアドヒアランスに完全に依存する。1790人の患者を対象とした国際的な前向き研究では、新たなリウマチ熱の発作率は、コンプライアンス遵守患者の0.45%であったのに対し、非遵守患者では11.5%であった。 オーストラリアのアボリジニーコミュニティのリウマチ熱患者の5人に1人しか、予定量の80%以上を服用していない。服薬コンプライアンス不良の理由としては、注射の痛みと回数が多いこと、治療期間が長いこと、患者の社会経済的・教育水準が低いことなどがある。
 Lancet 337:1308–1310, 1991.
 Med J Aust 197:133–134, 2012

Pearl: 重症例はペニシリン治療を30歳から40歳まで行う。

comment: In a review of data from the 1993 to 1999 Auckland (NZ) Acute Rheumatic Fever Register, only five recurrences occurred after the age of 30 years. Data from the Northern Aboriginal Territory of Australia showed that only approximately 1% of 259 ARF episodes recorded between 2005 and 2009 occurred after 40 years of age. Therefore, 30 and 40 years of age were considered the most reasonable cutoffs to cease secondary prophylaxis for patients with severe carditis in NZ and AU, respectively. In both countries, exceptions are made for individual circumstances warranting continuing prophylaxis (e.g., patients wanting to reduce even a small chance of a recurrence).

・治療はリウマチ熱の再発リスクがなくなるまで。
・ニュージーランド:心疾患がないか軽度の症例では、21歳までの予防薬維持は安全で有効、とのこと。
・オーストラリアの北アボリジニー州のデータでは、2005年から2009年の間に記録された259のリウマチ熱エピソードのうち、40歳以降に発症したのはわずか約1%であり、ニュージーランドでは30歳、オーストラリアでは40歳が重症心炎患者の二次予防を中止する最も妥当なカットオフ値と考えられた。
 RHDAustralia (ARF/RHD writing group), National Heart Foundation of Australia and the Cardiac Society of Australia and New Zealand: The Australian guideline for prevention, diagnosis and management of acute rheumatic fever and rheumatic heart disease,ed 2, Casuarinas NT, Australia, 2012, Menzies School of Health Research, pp 1–136.

溶連菌感染後反応性関節炎

ここはKelleyは比較的あっさりまとめてあるため、Kelley外の情報を多く拾っていきます。

Pearl: 溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)はリウマチ熱の不完全版か別疾患かは不明である

Comment:  Another disputed question is whether post-streptococcal reactive arthritis (PSRA) should be considered an atypical and incomplete form of ARF or a separate disease. 

Curr Opin Rheumatol. 2010 Jul;22(4):437-42.

・両者を比較した図、再掲載。大事なことは怒涛の反復。

歴史から。Rheumatology 43:949–954, 2004.
・Friedburg1959年25歳以上の成人における連鎖球菌感染後のリウマチ熱が、小舞踏病や有縁性紅斑よりもはるかに頻繁に関節炎を認め、さらに心炎は稀であることを記録した。そこでFriedburgは成人のリウマチ熱は小児のリウマチ熱とは異なる、「A群溶連菌感染後の心炎を伴わない非変形性発熱性多発性関節炎」と定義した。 
・さらにサリチル酸に対する反応性がよいことも定義に含めた。
Friedburg CK. Rheumatic fever in the adult: criteria and implications. Circulation 1959;19:161–4.
・少し経過して1982年、GoldsmithとLongは腸炎関連の反応性関節炎との類似性を強調した。小児の溶連菌感染後の関節炎は、左右対称性の強い関節炎で、アスピリンに対する反応は不良であり、HLA-B27関連反応性関節炎に類似していた。つまりそもそも溶連菌感染後反応性関節炎という用語は小児に適用されたものであった。

そもそも反応性関節炎なのか?
・名前の通り溶連菌感染後反応性関節炎は溶連菌感染後に生じる反応性関節炎と考えられている。反応関節炎は一般的には消化器疾患やクラミジアなどの性感染症が多いが、呼吸器系(クラミドフィラ肺炎)の関与もありうるため、溶連菌感染後の関節炎を反応性関節炎と考えることが自然である。
・ただ一部はリウマチ熱かもしれないと推測できることもあり、その区別が難しい。そもそも溶連菌感染後反応性関節炎の報告例も少ないためその定義すら一般的には受け入れられていないことは、リウマチ熱の比較を難しくしている。

・リウマチ熱とは別だ、という根拠
相違点
年齢:リウマチ熱は主に4-9歳、PSRAは8~14歳と21~37歳にピークを持つ二峰性の年齢分布である。
潜伏期:リウマチ熱は感染後の2-3週間後、PSRAでは約10日後。
※PSRAのほうが早いとのことだが、反応性関節炎とすると1-4週間後ぐらいでいいと思うので本当に10日前後なら、反応性関節炎にしてはやや10日は早い印象がある。
関節炎:リウマチ熱は必発ではなく1-2週で自然寛解するが、PSRAの関節炎は必発で平均持続期間は約2ヵ月、その後も数年以上続く場合もある。つまりPSRAのほうがより重度。
心炎:PSRAは心炎ない。
治療反応:NSAIDsはリウマチ熱に劇的に効くが、PSRAはそこまででもない。
J Clin Rheumatol 16:3–6, 2010

・Friedburgの指摘通り一番違うのは年齢と関節炎の強さですね。臨床的には心炎ありなしが大事。

関節炎はどんな分布か?
・26名の患者の後ろ向き研究では関節分布は以下の通り。反応性関節炎って感じなので、反応性関節炎と捉えてよさそう。

かなり反応性関節炎っぽい

・26名の患者を含むレトロスペクティブシリーズでは、多発性腱炎、腱鞘炎、および蹄炎がPSRAでよくみられる症状であり
・NSAIDsの反応性も反応性関節炎では効かないというのも少し違和感があります。そうともいいきれない。効くこともあれば効かないこともある。

PSRAの一部にリウマチ熱が含まれるという懸念から、PSRAもSecondary Prophylaxis、つまり長期間の抗菌薬投与が必要、という意見が出てくるのは自然なことです。

溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)に二次予防の治療は必要か?

・PSRAの小児を対象とした3件の心エコー検査に基づく研究では、合計76例中6例で心病変を認めた。
成人のPSRA患者では、2つのケースシリーズで75名において、抗菌薬なしで9年間追跡で心エコー検査によるスクリーニングで弁膜症異常は認められなかった。  PSRAに関する現在の文献は主にアメリカと西ヨーロッパの患者を対象としているため、結論は世界の他の地域の患者には当てはまらないかもしれない。
・WHOのリウマチ熱ガイドラインでは、「溶連菌性上気道感染症後の関節炎患者は、Jones基準を満たす場合、リウマチ熱とみなすべきである」と述べている。
・NZとAUのガイドラインは、リウマチ熱の診断を高リスク集団であっても診断することはまれであるため、低リスク集団では慎重に行うべきであると勧告している。これらの国では、PSRAと診断された患者のうちリウマチ熱発症のリスクが高い患者は、少なくとも5年間は二次予防を受けるべきである。低リスクの患者は少なくとも1年間はこの治療を受けるべきである。弁膜症がないことは、抗生物質を中止する前に心エコー検査で確認すべきである。

まとめるとlow-risk populationsの日本における、溶連菌感染後反応性関節炎への長期抗菌薬の適応は

  1. 以下の基準を満たした場合はリウマチ熱として行う

低リスク基準

2 ただし心エコーも皮疹や皮下結節を、誤って陽性にしてしまうとすぐに基準を満たしてしまう。低リスク集団においてはリウマチ熱は極めて稀のため、慎重に基準を適応すること。低リスク地域で成人における溶連菌の持続感染/再感染は稀、リウマチ熱も稀、心炎発症も稀。

3 もし治療をする場合は1年間、ペニシリンの投与を行うこと。

以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました!おっす!


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