M-1グランプリ2024を観て思ったこと <決勝>
今年のM-1決勝!マジとんでもなく面白すぎたので早速感想書きます。
と思ったんですがその前に、ここに触れないわけでにはいかないのでひとつだけ、今年のオープニング映像でまさかの島田紳助直筆のメッセージが出てきた演出は、素直におお〜って思いましたね。何だかんだ島田紳助がいなかったらM-1グランプリも誕生してないしここまで権威ある大会になってないし松本人志も審査員やってなかったと思うと、M-1における功績は偉大なので、こういう演出も素敵やんって思いました。
【決勝1stラウンド】
令和ロマン
いやこんなことある!?!?!?!?!?
ほんでネタおもろすぎるやろ!!!!!!!!!!
すみません決して感想書き始めの文調じゃないんですけど、ちょっとマジで、神様のいたずらやとしてもやり過ぎてる笑神籤によって、2連覇を狙う現王者が、2年連続でトップバターを引き当てられるという、めちゃくちゃおそろしいけどとてつもなく盛り上がる展開をいきなりブチカマしてこられて、シナリオなんてないのに良く出来すぎたシナリオすぎて震えました。
ほんでそんなとんでもない幕開けではじまった令和ロマンのネタがまたイカつい面白さで、準決同様くるまの「終わらせましょう」からはじまるワクワク感、ネタがはじまるとまた昨年の1本目を彷彿とさせるあるあるベースのしゃべくりで、苗字の出席番号順っていう誰もが経験してきた共感しやすいテーマだし、クラスの座席位置とか斉藤の漢字のパターンとかのあるあるを起点としたボケが見事に面白かったし(刀Yに対抗して銃Xとかおもろすぎ)、「保護者会で漫才してぇだろ」の盛り上がりも最高で、結果まさかの昨年に続き令和ロマンが、王者になっても最高のトップバッターを務めるという贅沢すぎるはじまりに、マジで拍手が止められなかったです。ネタも試合展開も初っ端からこんなおもろくていいんですか…
結果1番手とか関係なく高得点で、最終的に2位で最終決戦進出という見事すぎる好成績で、まぁこの高順位自体は予想できたものの、またトップバッターでこれを叩き出すのは、流石に想像できませんでした。しかもこのネタ、どうやら準々決勝のちょっと前に完成した新ネタらしくて、それが決勝トップバッターでこんなに爆発するネタにまで仕上げてきたのが半端なさすぎるし、しかもこのネタができたきっかけがラジオのメールから広がったトークがベースになってるっていうのが、とんでもないエピソードですよね。僕はよく、ラジオの神回のトークみたいなネタがしゃべくり漫才の理想形だと(家の中で独りで)言ってるんですが、まさにそれを地でいってるようなネタが仕上げられてきて、そらもう手ぇ叩いて大笑いするしかないです。
マジで面白凄すぎる漫才やった…もう誰も令和ロマンを止められへんのか…
あとこれはM-1決勝そのものには関係ないけど、決勝翌朝の情報番組行脚での優勝ネタ披露で、各番組の出演者の名前をアドリブでどんどん足してボケていくっていうとんでもない離れ業をやってて、マジシビれましたね…流石に各番組直前に軽く合わせたとは思うんですけど、それにしてもイカついことしてるし、ラヴィット!とか明らかにレギュラー陣以外の当日ゲストの名前とかも使ってて、それをぶち込めるくるまも順応できるケムリもエグすぎて、勿論盛り上がりも凄すぎて、震えまくりました…
ヤーレンズ
えマジでどうなってんの!?!?!?!?!?もう昨年の優勝準優勝が出るなんて、マジでとんでもないことが起こってる…
もしかしたらさっきの令和ロマンの勢いで点数とんでもないこといってまうかもと思ったら、実際点数自体は急に落ち着いた感じになって、意外と冷静な審査員陣は流石でした。
ヤーレンズは、準優勝した昨年が特に突き抜けて面白かったわけではなく、ここ数年ずっと決勝行っていいし行けば評価されるレベルで仕上がってて、そういう意味では今年も、準決勝まで観てきた限り一切衰えてなくて、本当に昨年くらいずっとめちゃくちゃ面白い仕上がりでした。それは裏を返せば、昨年からバージョンアップは出来ていないということでもあって、ただ中身がしっかり面白ければ今年はまだ審査員は評価してくれるだろうと思ってたけど、ここはあの令和ロマンの直後だったのが痛かったのか、めっちゃ冷静に見られて、明確に令和ロマンと点差ついちゃいましたね。令和ロマンも別に昨年と比べてめっちゃレベルアップしてるわけじゃないと思うけど、またトップバッターを引き当てたことが逆にバフを効かせてくれた感じで、その差がはっきり点数に出ちゃった感じですかね。
何かヤーレンズだけ急に側の感想ばっかりになっちゃいましたが、ネタはマジでめちゃくちゃ面白かったです。店の名前とかおにぎりにかけた曲名とか歌詞とか連発して、深追いしすぎて勘違いするところすきすぎて何回観ても笑っちゃいますし、本当しっかり聞かないと聞き漏らしてしまいそうになるくらい細かいボケが詰め込まれてて凄すぎました。
やはり1度優勝しかけてからその後決勝に出続けるのは、それだけ求められるレベルも上がってしまってマジで難しすぎるから、あと2回でラストイヤーというのもあるし、来年どうなるのか、キツいけど観る側としてはめちゃくちゃ楽しみですね。
真空ジェシカ
いやこの流れで3番手真空はやりすぎやって!!!!!!!!!!
マジで今年の笑神籤、いやそれを引く阿部一二三がおそろしく神がかってて、ちょっと今年のM-1を面白くし過ぎてる・・・・・・・・・・
何より、真空ジェシカのネタがエグいくらいおもろくてヤバすぎた…
マジで全部のボケがとにかく面白すぎるし手数もしっかりあるし、しかも手数優先で軽いボケが連発するみたいなことも一切なく、しっかり重たい笑いを連打してるので、まず僕らお笑いファンにはもう大満足の内容だし、でも兎に角ゴリゴリの大喜利ボケばっかりって感じでもなくて、軽い社会風刺みたいなボケとか、明らかに今まで真空ジェシカちょっとわかんないって思ってそうな層にも伝わりやすいお笑いも挟み込まれてて、でもそういうなのも別にウケるためだけに自分を殺して取り入れてるわけじゃなくて、あくまでも自分の中のおもしろのラインを超えてる中でいろんなパターンをやってるってだけな感じもして、兎に角、最強におもろすぎましたね。
個人的にはやっぱり逆ボケが好きすぎるので、ものまね芸人の武田よく寝た→貰い画像→ゆうじという人の3連がハンパなくおもろすぎましたね。逆って誰でも簡単に出来てある程度は確実に面白くなるもの凄いお笑いだと思ってるんですが、一定のレベルを上回る面白さ、それこそM-1決勝レベルのボケに仕上げるには何をどう逆にするかのセンスがめちゃくちゃ問われると思うけど、個人的には一定のレベルどころじゃない、めちゃくちゃシビれる逆ボケで最高すぎましたね。まず「武田よく寝た」はモノマネ芸人の名づけ方で逆を採用しがちというあるあるも乗っかってわかりやすくて、次に「貰い画像」っていうシンプルに意味を逆に変えてるだけだけど「貰い画像」という言葉の耳馴染みの無さがめっちゃ面白くて、その次の3つ目で「人という字」の意味じゃなくて順番を逆にして「ゆうじという人」っていう、逆のやり方から変えてきてそれでいて違和感ない日本語になってるという、3段オチの緩急としてもとんでもないボケになってて、ここは準決で観たときからマジで惚れ惚れするおもろすぎさです。
こんなおもろすぎる漫才を、令和ロマン→ヤーレンズの次というイカつい出番順をものともせず堂々と披露されたら、そら点数伸びんとおかしいでって思ってたら、ちゃんと伸びてくれてあの令和ロマンと1点差まで追い詰めてシビれまくりました。審査コメントも軒並み大絶賛で、結果ギリギリでも最終決戦にも進めて、本当に最高でした。4年連続4回目の決勝で初の最終決戦進出は、相当凄いことをしています。しかも決勝来てから1度も前年順位を下回らずに来てるから、相当イカついです。
マユリカ
ここで敗者復活のマユリカ!めちゃくちゃおもろかったんですが、流石にこの令和ロマンから真空ジェシカまでのグルーヴ感はもうひと段落の感じありましたね。
ネタは敗者復活とは違う、準決で披露してた同窓会のネタでしたが、こっちはこっちであだ名「うんこサンドイッチ」ていう強烈なキモワードが序盤から放り込まれて、あまりにもオブラートに包む気なくてめちゃくちゃわろてまいますね。ほんでその後に出てくる、うんこサンドイッチこと阪本がツルんでた田所と湯舟も、花壇のチューリップサラダにして食うてたりバカみたいにコーヒー飲むから1日10分しか寝られへんだり、エピソード全部キモくておもろすぎでした。校歌の歌詞が上海ハニーと全く一緒なのも、絶妙に言われるまで気づかん感じでめちゃおもろかったです。
ただ、結果的にこの時点で前3組に点数届かず、時間的にはあっけなく敗退となってしまいましたが、やはりただでは終わらないマユリカ、敗退決定してすぐに「大急ぎで負けに来た」て言えるのが、流石すぎましたね。あの厳しい敗者復活を勝ち抜いて決勝の舞台に戻ってきたっていうところにもっとプライドもって(それを表にも出して)いいと思うけど、すぐ負け顔見せる雑魚ムーブができるのも、芸人としては素晴らしい姿だと思いますし、これができるのがマユリカの何よりの強みだと思います。
終わってからマユリカは決勝このネタより敗者復活でやったネタのほうがよかったんじゃないかって言う人を結構見かけて、たしかに敗者復活のほうが「角刈りのポコチン」筆頭にワードの強さはより光ってたと思いますが、こればっかりは結果論でしかないし、僕的にはそもそも敗者復活と決勝で同じネタをやることのディスアドバンテージのほうが大きいように思うので、まぁ結果論でしかないっすね。
ダイタク
ラストイヤーで満を持しての初決勝!まさに集大成という感じで、めちゃ面白いし抜群の腕前でめちゃよかったと思ったんですが、思ったより厳しかったですね。
互いの日常の(双子ならではの)ファインプレーをヒーローインタビュー形式で言い合うっていうWボケスタイルで、また双子を軸とした新しい構成のネタでしたが、テンポも良いし掛け合いが抜群に上手いし勿論面白いし、しかも最初のくだりが「浮気を庇う」っていう、あの個人的に双子漫才の革命だと思ってる時刻表トリックのネタを彷彿とさせるエピソードだったり、互いにハズいこと言うみたいになって、これまた伝説の親父のボウリングのネタで出てくるフレーズ「言うな~」を言い合うっていうのだったり、ダイタクの集大成と思えるような要素が散りばめられてて、勝手にめっちゃアツかったです。
順番的にも、全体的に場が一旦落ち着いた感じのある5番手でこの面白さと上手さが兼ね備わった漫才は結構高得点つきそうと思いましたが、別にそんなことなく、結果だけ見ると悔しさが残る感じでしたね。ラストイヤーだし本人らは充分やりきったという感じだったら申し分ないんですけど。
ダイタクといえば何よりも「双子」という大特徴がありますが、マジで敢えて語弊生みそうな言い方すると「双子から逃げてない」のが本当に凄くて、この双子縛りっていう枷にもなり得る要素としっかり向き合って、結果、特に現M-1がはじまって以降は毎年新たな視点・構成の名作双子漫才を生み落としていて、これは本当にめちゃくちゃ凄いことだと思います。勿論それらの珠玉の双子ネタが、1本でも多くM-1決勝という場で世に出ていれば最高だったんですが(それこそ親父のボウリングとかは敗者復活で結構世に広まりましたが)、こればっかりは仕方なく、それでも、一度も決勝に行けずに夢破れていく漫才師のほうが圧倒的に多い中で、こうしてラストイヤーに決勝の舞台に立てただけでも、充分一流漫才師として誇れる偉業だと思うので、今後とも面白い漫才を、見せ続けてほしいです。
そして、ザセカンド出るみたいなので、まだまだ決勝、優勝狙って、がんばってほしいですね。
ジョックロック
めちゃくちゃ面白かった!!決してこんな順位に落ち着くとは思えませんでした。
ジョックロックは何と言ってもこのツッコミのスタイルがいちばんの特徴で、正直このスタイルを受け入れられなければ厳しいんですけど、ちょっと今年の決勝に限っては、厳しいほうに傾いちゃいましたね。
確かに、漫才の審査、特にM-1の決勝においては、「掛け合い」を重視する審査コメントをこれまで何回も耳にしていて、それを考えるとこのツッコミは原則掛け合いを放棄したスタイルなので、審査員がここに拘ったら点数的には厳しくなりそうと思ってました。ただ、順位的には低かったものの案外掛け合いじゃないから点数低かったって感じの審査結果じゃなく、実際例年の9位よりは点数高めだったと思うので、あくまでも今年の中での相対的な順位って感じなのかもしれないです。だから絶対このスタイルはやめたらあかんし(本人一切やめるって言ってないけど)、あと聞くところによると結成当初は普通にツッコんでたけどある時客席に正面向いてツッコむようにしたらウケるようになったみたいなので、ジョックロック的にはこのスタイルがもう最適解なんだと思います。
個人的に、めっちゃ余計なお世話なんですが、ジョックロックのツッコミについて考えてみたときに、スタイルというよりツッコミのフレーズの観点で、もしかしたら初見だと伝わりにくさがあるのかもって、ちょっと思いました。まず大前提、フレーズはどれもめちゃくちゃ面白いです。それこそ終盤の紫ラッシュに対して「俺がカラーコーディネーターの資格もっててよかったー!」とか、この色ボケに対してこのツッコミ出せるのは相当面白いです。
ただ、これってツッコミはツッコミなんですけど、ボケを訂正・指摘するような素直なツッコミじゃなくて、思考的には何ターンか先進んだツッコミで、要は「この状況にツッコんでください」という大喜利の回答としてのツッコミなんですよね。ほんでジョックロックは、この大喜利的なツッコミを主に出していて、だからこそ、僕とか他のお笑い見慣れたライブの客や、それこそ大喜利やってる人なんかは、そういう何歩か先いった大喜利的ツッコミに理解があるから、すぐにめちゃくちゃ面白いって思えるけど、そういうのの造詣が深くない層には、受け入れるのにやや時間がかかるんじゃないかなと思いました。また、会話のキャッチボールとは少しズレたことしてるから、姿勢も相方向かずに正面向いて叫んだほうがウケるんだと思いました。
ただ僕は、これが決して漫才として間違ったツッコミだと思わないし、大前提面白いんだから絶対続けるべきだと思います。いきなり初手から全員にハマるのが難しいかもってだけの話だから。
ジョックロックは今年のM-1の間違いなく台風の目で、結成3年目とかながら特にこの1年は他の賞レースでも活躍したりM-1でも予選から爆ウケで堂々の決勝進出、全然決勝でも爆ハマりで評価されて来年めちゃくちゃ売れるifもありそうだったけど、やはりなかなか上手いこといかないっすね。
まぁでも、まだあと10回以上M-1出られるわけだし、このコンビ歴で決勝行けたことがとんでもない偉業なので、あくまでも初回はお披露目、2回目以降が勝負だと割り切って、前向いて進んでいってほしいですね。
バッテリィズ
めちゃくちゃおもろかったしめちゃくちゃハマった!!!!!!!
決勝のここまでの流れとして、序盤に大きい盛り上がりが続いて暫く落ち着いた空気になってたところ、ここでの爆ウケ爆ハネは観ててもめちゃくちゃ気持ちよかったし、それがバッテリィズだったっていうのがまた、最高!!
マジでバッテリィズのこのスタイルホンマにおもろくて、一昨年の準々決勝に(昨年の敗者復活でもやってた)『北海道』のネタを観たときに面白すぎて衝撃を受けましたが、今年ようやく決勝に来れて、マジでエースのツッコミというかボケというか、ズレてるけど正論ともとれる魂の叫びが全部ハマって、最高のアホフレーズ「全部聞き取れたのに」もバッチリ決まって、勿論ウケるとは思ってたけどここまで大爆発するのは予想外で、めちゃくちゃ最高すぎました。
バッテリィズの漫才は、エースがボケじゃないところにツッコむことでそれ自体がボケになってるという意味ではオードリー的でもあり、創作的なボケが一切ない純粋な会話のやりとりの中で常人には思いつかない正論で笑かされるという意味ではブラマヨ的でもあり、過去M-1で名を馳せた漫才スタイルのエッセンスが垣間見えながら、でもそれらとは被ってはない独自のスタイルに辿り着いてて、すみません分析っぽいゴタクを並べましたが要は唯一無二のもの凄い面白い構造になってて最高で、これが遂に世に知れ渡って、大絶賛されたのが、めちゃくちゃ嬉しいですね。
結果、今年も圧倒的強さで2連覇ムードも漂いつつあった令和ロマンを優に上回る爆裂高得点で一気に1位に躍り出て、マジで大会として面白い展開になりましたね!今年のM-1は序盤の決勝経験者だけが活躍して終わるみたいなあっけないことは決してなく、いつかまだ世間的にはバレきってないない初決勝組が掻き回す瞬間が来ると期待してたけど、それが7組目でバッテリィズとは!あの令和ロマンをここまで捲くるとは!
令和ロマンは昨年間違いなく主人公で、今年だって令和ロマンが主人公になる漫画もあるはずだけど、王道少年漫画だったら令和ロマンは最強の敵で、バッテリィズが、エースが完全に主人公になるでしょう。どっちの漫画も今年のM-1だからめちゃくちゃ面白いでしょう。
ママタルト
ここでママタルト!!!!!!!!まーちゃんごめんね!!!!!!!!!
まずはせり上がり大成功で登場前からウケてる!!!!!!!!!!ネタもめちゃくちゃおもろすぎる!!!!!!!!!!
でも、結果10位なんて・・・・・・・・・・ウソやろ・・・・・・・・・・
すみませんママタルトがめちゃくちゃすきすぎて爆裂に応援してるので個人的感情抜きには何も言えないんですが、こんなにずっと面白くてようやく決勝に来れて、実際ネタ自体は間違いなくめちゃくちゃ面白くて、ボケがちゃんと大鶴肥満だからこそのニンに合っててめっちゃ面白いし、檜原さんのツッコミは最高のワードチョイスとたとえ力がイカつくておもろすぎるし、あのみんな大好き「子どもが車道に」⇒「子どもが歩道に」のくだりのように、アホでおもろくてあったかい魅力が詰まってるのに、それが10位なんて、悲しすぎるぜ……
でも、自分を殺して極力客観的視点で決勝のママタルトを振り返ると、少なくとも今年の決勝では、ていう前置きだけはどうしても添えさせていただくけど、やっぱり檜原さんの最初のツッコミは正直内容に対し声量デカ過ぎかもって思ったし、バッテリィズがあんだけ爆発した直後に王道漫才コントというネタのスタイルとしての栄えが控えめだった分、檜原さんの檜原さんにしかできないツッコミや大鶴肥満の前回り受け身みたいな、ママタルトの中での派手めな要素がウケないといけないんだけど、まだちょっとそれが歓迎ムードになるほどは決勝の場に2人のキャラが浸透してない感じがあって、相対的に他の組と比べて落ち着いてしまって、審査的にも点差を作るポイントになってしまった感はあったかと思います。
ジョックロックでも書きましたが、ママタルトのツッコミも、長尺に限らず全体的に、何歩か先進んだ視点の大喜利的なツッコミなので、勿論檜原さんはツッコミも大喜利もしぬほど面白くて、何なら僕的には今年M-1出てる全ツッコミの中でも1番といってもいいくらいなんですけど、やっぱり客観的に見て思うのは、ツッコミとしての面白さを追求してるが故にあまり標準の言葉選びをしないし、たとえツッコミも独自の視点があって最高だけどそこに至る過程を観る側で補う必要はあるし、高度なことしてはるからこそコアなお笑い好きや同業者にはめちゃくちゃ刺さるけど、一般的にはその面白さ伝わるのにちょっと時間かかるかも、て思うこともあります。実際、まだママタルトが結成浅くライブシーンの中心的存在じゃなかった頃、ママタルトが今とそんな変わらないめちゃ面白漫才してたのにあんまウケてなかったりとか、それこそ初めてM-1の3回戦出たときに僕客席にいたけど、やっぱり今と遜色ないくらいボケもツッコミも面白かったのに何でみんなもっと笑わんのってくらいウケ量が見合ってなかったり、今じゃ考えられないアウェイを感じる瞬間もかつてはありました。
それでもやっぱり、グレイモヤとか伝わる場所ではずっとウケてたと思うし、友達とはいえ粗品がだいぶ昔にアメトーークの「このツッコミがすごい」的な企画で檜原さんの名前挙げたり、今年M-1決勝行くより前から、あの麒麟川島が自身のラジオにママタルトをゲストで呼んで檜原さんの長尺ツッコミをフィーチャーしたコーナーをやったり、わかってる人はわかってるし認めくれてるので、やっぱり勿論本人らはやめる気更々無いと思うけど、マジで檜原さんの長尺ツッコミは、出来る限り永遠に続けてほしいです。僕は本当に、檜原さんの独自の視点でめっちゃセンスあるたとえとかしてるのにめっちゃ長くて声デカいっていうムダも兼ね備えたツッコミが最高に面白いと思ってますし、そう思ってる人もめっちゃ多いはずです。
いつか檜原さんのツッコミが、それこそ『一電』が一部お笑いファンおよび同業者の間で席巻したときの、何倍もの幅広い層にハマりまくるときが来ることを、本当に願っています。
すみませんマジでママタルトははっきり気持ち入れて応援してるのでどうしても感想も長すぎてしまったんですが、本当にマジで僕自身めっちゃ勝手ながら、来年見とけよって思ってます。今年いくら決勝最下位やろうがそんなん関係なく、来年も準決まで爆ウケ且つイチデカで決勝に戻ってきて、今度こそ最高のボケとツッコミで審査員を絶賛させてくれることを、心から期待しています。
エバース
マジでめちゃくちゃ面白すぎる!!!!!!!!この最高傑作の漫才を決勝でやってくれて本当に嬉しい……
エバースは今やM-1出場者の中でもいちばんくらい注目度の高い組だと思いますが、そんなプレッシャーにも負けず決勝に残ったことがまず凄すぎるし、そこで披露したこのネタ、もうみんな観たのでわかると思いますが、完成度マジでえげつない!初恋の女性と15年後に再会を約束した日が2/29だったから15年後2/28と3/1どっちに待合せ場所にいけばいいのかっていう導入の時点で、これは相当面白い漫才がはじまりそうっていうワクワク感があって、それに対する町田の「流石に末締めだろ」の台詞で一気に心掴まれる、明確にツカミがなくても本ネタの最初の1ターンで完璧に掴むっていうしゃべくり漫才のはじまりとして理想的すぎて最高。その後の展開もずっとしゃべくりで面白く、おかしな展開になっていくんだけど過程の理屈に強引さがなく、自然な流れの会話なのにずっとめちゃくちゃ面白すぎて、クライマックスでの町田の「好きな男を待ってるときの女くらい顔見たらわかるわ」のパンチラインも最強で、マジで最初から最後までずっと面白すぎる完璧で最高のしゃべくり漫才でした。
このネタ、確か2年前の準々決勝で負けたときにもやってて、僕含め予選ネタ動画欠かさずチェックするタイプのM-1オタクは皆そのときこのネタで完全にエバースを覚えたかと思いますが、そんなエバースのとんでもない面白さを最初に認識したといってもいいこのネタが、こうして決勝の舞台でめちゃくちゃウケまくったこと、本当に嬉しいです。
ネタがあまりにも良く出来ていることは揺るぎないとはいえ、終盤に無骨なしゃべくり漫才っていうのはなかなか点数伸びにくいかもとか考えましたが、そこは審査員も流石にわかってて納得の高得点で、結果惜しくも最終決戦には残れなかったですけど3位と1点差の4位で、改めて世間にエバースの実力を充分知らしめられたと思います。ただ、勿論この漫才のポテンシャルとしてはもっと上位を狙えたと思うので、3位真空ジェシカと1点差、2位令和ロマンとも僅か2点差で負けたってのは、全然悔しがっていいと思います。
いずれにせよ、今年の出来で更に注目度は増しに増したと思ますが、まだまだ同じくらい戦える面白ネタをまだまだ温存してるはずなので、本当来年以降また堂々と優勝候補として決勝戻ってきてほしいです。
トム・ブラウン
決勝1stラウンドのトリがラストイヤーのトム・ブラウンという、あまりにも良く出来た香盤に今年の笑神籤の神がかりっぷりを再認識しつつ、はじまったトム・ブラウンのM-1ラストパフォーマンスは、まさにトム・ブラウンの漫才の究極形とも言うべき、説明不要の大暴れっぷりで、とにかく圧倒的に滅茶苦茶で、わかってはいたけど、笑うしかなかった・・・・・・・・・・
スタイル的には昨年の敗者復活と同系統ということになるけど、このネタに関してスタイルとか構成とかをあれこれ語るのがいちばん野暮だし何の意味もないと思うので(そこできちんと元の良さを壊さない範囲で言語化できる人が本物だと思うものの)、僕は何も言えません。ただ、めちゃくちゃおもろいことしてるし、ボケというかみちおが確定の銃殺含めずっと意図の不明な暴れ方してるのも、ツッコミの布川も前半はまだ具体的にツッコミ入れてるけど後半「ダメー」しか言わんくて完全にツッコミ放棄してるし、そもそも前半もツッコミ1回じゃ足りなすぎるし、マジで次元が違うお笑いをやっていた…
ただ、こんな滅茶苦茶なことやっておきながら、それがお笑いファンだけでなく同業者一般視聴者、どうしようもない大人から無垢な子どもまで幅広い層で虜になっている人が出てきてるんだから、本当「お笑い」って何が良くて何がダメかわかんないし、面白いなぁて思いますね。
そんな滅茶苦茶なネタでも等しく審査されるのが大会というものですが、高得点・低得点が面白いようにバラけた結果の6位という、こんなにも賛否両論を数値で見たのはじめてかもしれないくらい、ある意味いちばん綺麗な結果に落ち着きましたね。でもこれがこのネタに対するウソのない評価なんだと僕は勝手に思ってます。こんな滅茶苦茶だけど確かにおもろいっていう漫才に対し、とても真似できないおもろさという点で高得点つける審査員と、少なくとも漫才の評価軸からは逸れているという点で高得点はつけない審査員が両方いて、どっちの審査も正当だと思うので、これでよかったと思いますし、こういう結果含め、決勝の場で披露された意義はあったと思います。
勿論本人らは優勝狙ってたと思いますが、結果はどうあれめちゃくちゃ凄いことを成し遂げたことには違いないと思うので、誇っていてほしいですね。トム・ブラウンのラストイヤーの勇姿を、僕たちは忘れない…
【1stラウンドが終わって】
まさかのトップバッター令和ロマンからはじまった怒涛の1stラウンドでもう充分満足度エグいところですが、ここからいよいよ最終決戦!この4年で着実に順位を上げて満を持して決勝2本目に挑む真空ジェシカ、いよいよ2連覇が現実味を帯びてきた令和ロマン、そして今年の決勝1本目の爆ハネで一気に優勝争いに食い込んできたバッテリィズ、今年のあの激戦1stラウンドを勝ち上がったとんでもない3組の戦い、どう転んでも激熱すぎるぜ………
【最終決戦】
真空ジェシカ
いやちょっと・・・・・・・・・・
おもろすぎるやろ!!!!!!!!!!
すみません計11本目の感想の書き出しのテンションじゃないんですけど、あまりにもおもろすぎて、個人的に初見だったのもあって、衝撃的すぎました…こんなイカつすぎるネタ隠し持ってたんすか(準決までで1回もやってないので)…
「長渕のコンサートに行こうとしたら間違えて隣の会場の、ピアノがデカすぎるアンジェラアキのコンサートに行ってしまった」という導入から意味わからん過ぎてワクワク止まらんかったし、どうやらピアノがだんだん大きくなっていってそれに会場から押し出されたという状況に対しガクが「僕ならピアノ大きくなってるの指摘できる」て言い張って、ここで漫才コントに入るっていう、今具体的に文字にしてもずっと何やってんのって感じで、そっからも完全にモンスターみたいなアンジェラアキが会場徘徊したり、静かすぎて隣の長渕の音漏れが薄っすら聞こえてきたり、前奏はダレテガミ明美が弾いてたり、マジで状況としては意味わからん過ぎるけど、とにかくずっとありえんくらいおもろすぎた…
やっぱり僕は、お笑いにおける“ムダ”の部分がめちゃくちゃすきなので、アンジェラアキが徘徊するくだりの異様な長さ、とても4分間の漫才で競う大会の決勝とは思えない息を飲む時間がたっぷりあって、めちゃくちゃシビれました。ほんでそういう時間のあとにどういうボケかツッコミが来るんやっていうワクワクがどんどん募る中、薄っすら長渕のとんぼが聞こえてきて、それが隣の長渕コンサートの音漏れってわかったときの割れんばかりの大爆笑、あまりにも気持ち良すぎて、もうシビれまくりでした…
結果、この後の令和ロマンもバッテリィズもめちゃくちゃ面白くて、最終審査は1票のみで3位という順位になりましたが、今年のとんでもなく盛り上がってレベル高すぎる中でしっかり上位3組に残り、こんなにもえげつない2本目を披露してくれただけでもめちゃくちゃ最高でしたし、マジで、1本目みたいな王道ストレート漫才コントから、2本目みたいな大胆な構成のダイナミックな漫才まで、幅を見せつつ中身のボケがどれも強面白すぎるっていう、とんでもないことを成し遂げてて、順位以上に最強漫才師でした。
ラストイヤーまで確かあと3回くらいだと思いますが、絶対優勝してほしいし、してくれると信じてるし、何なら来年優勝してその後も出続けてほしいです。
令和ロマン
令和ロマンも2本目マジでめちゃくちゃおもろすぎる……どうなってんねんマジで………
まず2本目でがっつり漫才コントにスタイル変えてきたのもしれっと凄いけど、戦国時代にタイムスリップっていうファンタジー設定で、そういうエンタメ作品のあるあるみたいなのを散りばめた展開になんのかなと思ったら、ケムリがただただ硬かったり、知ったかする爺とそれにドン引きする武将たちだったり、結局ケムリが気を遣って熊猿ということになったり、攻めてきた敵軍が2.5次元テイストだったり、めちゃくちゃ面白いギャグ漫画みたいな展開で、ホンマにずっとめちゃくちゃおもろいことをやり続けてて、一応準決で観たネタではあったけど全然腹抱えて笑いまくった…
僕的にこのネタの凄いのは、タイムスリップ設定なのに一切歴史上の人物ないしそれをオマージュした登場人物が出てこないところだと思って、普通だったらそういう実在したものと絡ませるのがタイムスリップの醍醐味だと思うのに、あくまでも全員オリジナルキャラで、敵軍に至っては2.5次元みたいなキャラっていう戦国時代の真裏みたいな存在にしてるのが、めっちゃ自由な発想で作られてるって感じがして、凄すぎって思いました。しかもここまでオリジナルな戦国時代を描くなら、普通は漫才としての設定をそういう漫画とかアニメを考えてきたっていうのにしそうなところを、あくまでも「タイムスリップ」の設定にしてケムリ本人をその世界にぶち込んでるのが、マジで凄いと思います。
あと、これは準決を観たからこそ言いたいんですが、最後熊猿が覚醒して戦闘に加わるシーン、このネタのクライマックスともいうべきめちゃくちゃ盛り上がったくだり、準決のときはやってなかったです。もしかして準決から決勝までの間にこんなデカいくだり追加したん?!てだいぶビビったけど、どうやら令和ロマンの振り返り配信を聴く限り、元々このくだりはネタにあるにはあって、ただ準決では微妙に4分超えてタイムオーバー手前の警告音が鳴ったらノイズになるからと敢えてカットしたらしく、それはそれでイカつい判断をしてて、そらこんだけ状況に応じてやり方変える考えと判断ができる奴2連覇するわって思いました。こういうエピソードがサラッと出てくるのがホンマに凄すぎる…
結果はもう何回も触れてるからここで言うけど、令和ロマン優勝!!2連覇!!流石に誰にも出来ない偉業すぎる!!マジでエグえげつなイカつい!!おめでとうございます!!
バッテリィズ
こんだけもの凄いネタ2本観た後のバッテリィズもまたエグいくらいおもろい!!1本目の勢いを決して衰えさせず、何ならその勢いを更に加速させる面白さで、完全に会場を味方につけるハマりっぷりでイカつかったです。
1本目の『偉人の名言』に続き『世界遺産』ていう、いかにもエースというアホには伝わらんテーマ選びがまた最高で、案の定エースはサグラダ・ファミリアを工事現場とか、タージ・マハルで知らん奴の墓参りとか、常人ではない視点で、アホだけどあながち間違ってるとも言い難い視点で世界遺産を新たに定義づけしていくのが抜群に面白く、めちゃくちゃ笑いまくりましたね。ほんでタージ・マハル⇒ピラミッドと“墓”が連続して嫌になったエースが「大阪にないんか?」て聞いてきたときの、寺家の「あるにはあるんやけど…」で濁しながら、機転利かせて大仙“公園”と言ったところでエースが公園に異常に食いついてしまって、オマケに鍵穴と聞いて更にテンションあがって、結局それがお墓だとわかって一気に崩れ落ちるこの一連の流れ、あまりにも完璧すぎる流れだし、勘の良い人は最初の「大阪」でもうオチに気づいてクスクス笑いが起こり、大仙公園→鍵穴とヒントが出るにつれ徐々にそのクスクスが大きくなっていって最後大爆笑っていう、客席巻き込んでヒートアップしていく感じが1本目にはない盛り上がりで、イカつかった…
あと1本目との違いでいうと、ツカミのエースアホエピソードを健康診断の問診票に変えてて、1本目の名前書けば受かる高校落ちたのはめちゃ強いけどこれだけじゃないエピソードの豊富さ、それが漫才のツカミのバリエーションになってるのが、めっちゃ良かったですね。
マジで最終審査どうなるかわからんかったけど、結果令和ロマンと実質1票差で準優勝!勿論あと一歩で優勝逃した悔しさはあるはずやけど、マジでめちゃくちゃ凄いし、何よりめちゃくちゃ面白かったし、今年のM-1をめちゃくちゃ盛り上げて面白い大会にした立役者だし、最高すぎました。
しかもしっかり世間がバッテリィズの虜になってて、エースは根っからのアホで明るく元気な良い人ってのが伝わってくるし、それを支える寺家という謎すぎる存在が気になる人も(僕含め)続出しているみたいなので、2025年一層飛躍してくれそうで、めちゃくちゃ楽しみです。
【観た後に思ったこと】
昨年令和ロマンが最少芸歴でトップバッターで優勝っていう、これだけで充分偉業を成し遂げたのに、今年史上初の2連覇、しかも2年連続トップバッターで優勝って、本当にめちゃくちゃ偉業すぎます。もしかしたら複数回優勝は、今後出てくる可能性はありそうかなって思えるけど、連覇っていうのは、マジで後にも先にも、令和ロマンしかいないんじゃないかなって思います。それだけまず昨年の優勝が凄いことだし、そこからのこの1年で、漫才の面白さと腕前を更に強化して、予選の客層含めお笑いファンから今年のM-1エントリーを煙たがられることなく、寧ろ連覇するところ見たいとすら思わせる立ち振る舞いは、マジで令和ロマンにしかできなかったと思います。
特に「お笑いファンから煙たがられない」という点については、もしかしたらくるまなりのイメージ戦略みたいなのがあってそれがうまくいった、ということがあったのかもしれないけど、少なくとも僕の印象では、令和ロマンが今年M-1連覇という目的達成のためにガチガチに戦略的に芸能界を動いてきたっていう感じはそんなになくて、それこそよく言われる「仕事選んでる」とか「テレビあんまり出たくない」みたいなのも、実際そういう思いもあったとしても、別にそこまで戦略的・打算的な話じゃなくて、ただただ好きな楽しいお笑いの仕事をしたいっていう純粋な願望であって、そしてその延長にM-1連覇があった、ぐらいのことなんじゃないかなって思ってます。これは僕が令和ロマンを好意的に捉えてるだけかもしれないけど、僕的にはそれくらいなもんだとしか見えないです。
あと単純に、今年も昨年くらい、いやそれ以上に、漫才がマジでめちゃくちゃ面白かったってのが、何よりも2連覇に値する事実で、これがホンマに凄すぎましたね。そもそも昨年時点で準決ネタをやらなかったってのがあったのに、それを今年に持ち越さず、まぁそのネタはABC決勝1本目でかけてたけど、それでいうとABC優勝を決めた2本目のネタも全然M-1にかけることなく、M-1に向けた新たな勝負ネタを用意して、それが昨年以上に面白いって思わせてくるところまで仕上げてくるんだから、そらもう優勝、2連覇するべくしてしましたね。
本当の本当に、令和ロマンは現役最強漫才師といっていいと思います。マジでM-1とともにお笑いオタクをやってきた者として、こんな歴史的瞬間を目の当たりにできたことは、この上ない喜びです。
そんな歴史が動いた今年のM-1グランプリ、第20回大会でしたが、もうひとつ大きい転換期ともいえる、審査員の新体制について、こちらも個人的には、終わってみたら全然めっちゃよかったと思ってますね。
審査員個々の、10組への点数のつけ方については、細かく見ると所々なるほど〜と思う部分もなくはないものの、やっぱり人数9名ていうのが、最初はちょい多いかもって思ったりしたけどこれがなかなか絶妙だったのか、それぞれの点数のバタつきが良い感じに均されて、相対的に順位づけするならまぁ今年はこうなるんかなってところに上手いこと着地したように思います。競技の審査員としては現役のプレイヤーで固めすぎっていう意見に対しては、決勝観る前の感想でも少し触れたけど、やっぱり僕は、お笑いの賞レースというものが芸人の最先端・最前線のお笑いを「確かに面白いものである」と権威を乗せて世に伝える媒体であってほしいと思ってるので、それができるのは今年の審査員みたいな、歴代王者や過去のM-1で名を轟かせた現役漫才師、世間から圧倒的支持を得ていて実力もある現役プレイヤーしかいない(松本人志以外では)と思ってるので、マジで今年の9名は理想にかなり近いと思ったし、その考えは間違ってないと思ってます。
中でも個人的には、これは僕だけじゃないと思うけど、若林がめっちゃ良い審査してくれてて嬉しかったですね。内心どういう思いであの場に来たのか、どんな思いで採点してたのか、そういう若林自身の主観的な部分は正直生放送中の審査コメントだけでは見せてもらえなかったけど、敢えて主観的な感想を避けていたのか、若林のコメントはヘンに我を出さず客観的でめっちゃ的確で、審査員としてはめっちゃよかった印象ですね。僕はオードリー信者でもリスナーでもないけど、若林は来年以降も審査員にいてほしいと思いました。
あと、僕はやっぱりどうしても笑い飯が一番好きな漫才師なので、哲夫の審査は特に気になって、リアタイ中はそこばっかり観てましたが、ちょっとやっぱり、優しさが出すぎててちょっと上手いこといってないかもっていう印象は正直ありました。やっぱり1組目の令和ロマンに90点は、基準点にしてもだいぶ低めにいきすぎちゃったっすね。別に1組目に基準点で90点つけること自体は何も悪くないんですけど、今年の場合はやっぱり令和ロマンの1本目めちゃくちゃ出来良かったんで、ここを90点基準にしたら下位をもっと80点台前半とかにしないとバランスおかしくなるところを、たぶん哲夫は優しいから、あと自分が9回決勝に出てそのしんどさがよくわかるからかなのか、最低点でも88点までつけてて、結果90点前後に集中しすぎる感じになって、正直ちょっと厳しかったっすね。真空ジェシカの審査コメントでたぶん照れ隠しでごちゃごちゃ言うてはりましたが、本当はもっと点数高くつけたかったはずやし、何なら令和ロマンも点数修正したかったんじゃないかと思います。
ただ、いちファンとして言いたいのは、哲夫はどう考えても実績的にも実力的にも充分審査員に値する存在だし、何よりめっちゃお笑いのことを考えていて明確な持論をもってる人だし、笑い飯の漫才は哲夫の独特の着眼点と発想力がなければ生まれてないことも考慮すると、やはりM-1の審査員になくてはならない存在だと思うので、マジで今後とも継続してほしいです。きっと本人も今年絶対しまったって思ってるはずで、次あれば絶対照準合わせてきてくれると思うので、僕が言えた立場じゃないんですが、マジでよろしくお願いします。
勿論この2人以外の新審査員も、山内はKOCやABCで審査員経験積んでるだけあって安定して的確だしコメントも上手いし、柴田のはっきり点差つける審査もめっちゃ良いと思うし、石田は流石の分析力と説得力で文句ないし、各々が各々の役割を果たしててめっちゃよかったと思います。あと新審査員じゃないけど、ともこもともこにしかできない観点をずっともってて、いてほしい存在ですね。
ここに至る経緯は必ずしも意図的というわけではなかったにせよ、新体制の審査員のもと、令和ロマンが2連覇という前人未到の偉業を成し遂げて終わった今年のM-1グランプリ、何だかんだ面白くならないことは絶対ありえないとは思ってたけど、まさかここまで、大会として面白すぎるものになるとは、想像できませんでした。
今年も、この大会に関わった全ての方々に最大限の感謝の意を表し、長すぎた感想をようやく締めさせていただきます。
今年もめちゃくちゃ面白いM-1グランプリを、ありがとうございました!!!!!!!!!!
来年も、楽しみにしてます!!!!!!!!!!