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【CoC】まだ間に合う!コンテストシナリオに向けた持論

タイトル通りの記事です。まだ間に合う!
この記事は新クトゥルフ神話TRPGシナリオコンテスト2023にて奨励賞を取った自分が、実際にどのようにしてシナリオを書いたのか解説していく記事です。コンテストに応募しない方でもシナリオ書くときの参考になるんではないかなーと思います。

また、今回は実際に受賞したシナリオを引き合いに出しつつ解説していきます。なので前回の記事よりもいくらか踏み込んだ内容で解説できるんじゃないかな~と思っています。

また、その都合でこの記事は『蠢く偶像、らぶ』のネタバレをこれでもかと詰め込んだ内容となっています。プレイする予定がある方は以下の記事を読むのをやめた方が良いかと思います。

▼前回の記事はこちら。読んどくと理解度が上がるかもしれません。

▼受賞作品はこちら。引き合いに出しつつ解説していきます。(無料)

シナリオコンテストで大事な要素

先に申し上げておきますと、自分はバリバリの理論派です。
シナリオコンテスト2023についても2022年に受賞したシナリオを全て分析して、どんなシナリオを書けば評価されやすいかについてひとしきり研究しました。詳しくは前回記事を参照していただければと思いますが、

・プレイして面白い
・文章がわかりやすい
・人目を惹くタイトルである
・舞台と歴史と神話生物がきちんと噛み合っている
・原作小説のリスペクト
・挑戦する意欲

この六つの要素について特に重視して書きました。
実際に『蠢く偶像、らぶ』はかなりインパクトのあるタイトルに出来たと思います。タイトルについては自分は最後につける派です。タイトルに『、』をつけるべきかどうかずっと悩んでいた記憶があります。シナリオコンテストの締め切り1時間前まで悩んでましたね。

また、舞台と歴史と神話生物についてもかなり意識して絡ませました。バーチャルライバーという特性上、ネットを舞台にさせたくなってしまうのですが、そこだけになってしまうとシナリオを楽しめる人が最近のネット文化に触れている人だけになってしまいますからね。公式シナリオである以上は一人でも楽しめる人が多い方が良いだろうなと言うことで、地元の伝承成分を中心に組み立てました。

また、作中に出てくるバーチャルライバー達の名前なのですが「倉々木らぶ」「平豆ヒルト」「小川ダレス」「日向ぴたせ」「フリッカーP」
……どこかで聞いたことありませんか?

そうですね!クトゥルフ神話、およびクトゥルフ神話TRPGを創り上げてきた偉大なる先人の名前をもじったものになります。本当に恐れ多すぎる所業なのですが、これには明確な狙いがあります。シナリオの題材にかなり若い人向けのバーチャルライバーを扱っているわけですから、そのぶん昔からクトゥルフ神話TRPGを遊んでいる人がニヤリとできる要素を入れたかったんですよね。若いプレイヤーがバーチャルライバーについて教え、ベテランプレイヤーがその名前の元ネタとなった人物について教える……そういった交流が生まれたらいいなという自分の願いでもあります。

まさか「平豆ヒルト」の名前が出た時点でヘイゼル・フィールド=今回の事件の黒幕にたどり着ける人はいないとは思いますがいたら教えてください、固い握手を交わしましょう。平豆ヒルトが操作されるあのくだりは現代におけるゴーストライティングのもじりでもあります。えへへ。


シナリオの分析ってどうやるん?

ここからはもっと踏み込んでいきましょう。
前回の記事で選評を読め!と書いたかと思います。選評を読みながらシナリオを分析することでより精度の高い分析が可能だからです。

が、現在選評は見れません。理由はカドカワ様へのサイバー攻撃によってクトゥルフの公式サイトもダウンしたからです。現在復旧中とのことで首を長くして待ちたいところではありますが正直、選評を見れないのはかなり痛手ではあります。

ここに自分の作品への選評だけ残っているのでこれを手掛かりに分析していきましょう。なんで自分の作品への選評だけ残ってるかって?

嬉しすぎてスクショしたからだよ!
恥ずかしいこと言わせないで!

選評の生き残り

ここで見るのは作品のどこが評価されていてどこが評価されていないかです
+(プラス要素)
・プレイヤーの興味を引くテーマ選び
・クトゥルフ神話への結び付け
・しっかりした作品の骨組み
・キーパーへの丁寧な説明
・はじけた展開

-(マイナス要素)
・キーパー情報とプレイヤー情報が整理されておらず、分かりにくい

こんな感じですね。
自分は一つにつき1点。差し引き4点、として計算しています。
ここで大事なのはシナリオを書くうえで審査員の方々が見ている部分を明示してくださっているということです。ここで出た要素については気を付けて書けば必ず審査員の方は分かってくれるという証左でもありますね。

文章については気をつけて書いたつもりだったのですが改めて読み返すと顔を覆いたくなる箇所もあってほんと、その通りだと思います。さて、これらを踏まえたうえで一つずつ要素を見ていきます。

・プレイヤーの興味を引くテーマ選び

まず、自分がなぜバーチャルライバーを選んだ理由は単純で、現代日本を象徴する題材であることに他ならないからです。現代日本を舞台にするからには現代日本を舞台に死体ですからね。そこでネタ帳を見返していたら『Vライバーを画面の向こうで演じているのが神話生物だったら……』というネタがあったのでそれを拾ってきた形になります。これについては『あなたが今一番興味あるもの』を題材にするといいんじゃないかなーと思います。あ、もちろんクトゥルフ神話TRPGの次にね。そういった熱量というのはちゃんと伝わるものです。自分はVt]uberになろうとした時期があってVroidやLive2Dで肉体を作ってFacerigで動かしたりした時期があったのでそれが生かせた感じですね。Vtuberならえるえるが好き。

・クトゥルフ神話への結び付け

ここに触れてくれたの嬉しいですね!まさに今回のシナリオコンテストに向けて意識したところです!地域伝承とクトゥルフ神話の結び付けですね。非常に意識したとこなので自分のシナリオ研究に手ごたえを感じました。

ミ=ゴの写真に映らない特性を我ながらよく活かせたと思います。他にも、ミ=ゴについては公式シナリオへのリスペクトを多分に入れております、こういうファンがニヤリとする要素はなんぼあっても良いですからね。公式シナリオを遊んでおくとその辺の引き出しも増えますしおすすめですよ!

また、シナリオの舞台についてなのですが、2022年のシナリオコンテストで大賞取られた方が行ったことのない場所を舞台にしたとnoteの記事で仰っていてそれにめちゃくちゃ勇気をもらったのを覚えています。自分も滋賀県に行ったことが無いのですが、おかげでこの地域を舞台にする決心がつきました。行ったことのない場所を舞台にしようとしている方につきましてはこの記事を見て勇気を与えられたらなと思います。

・しっかりした作品の骨組み

このシナリオの骨組みについて分解していきましょう
このシナリオは以下の流れに沿って進行していきます。

・導入:友人とのRP、探索者の事件に関わる動機付けを与える
・探索:シナコンにおいて3~4カ所であることが多い。
・核心的な探索:当シナリオでは生ライブがここにあたる。
・敵のアジトへ:ラストダンジョンの舞台説明
・クライマックス:戦闘処理が主(本作はさらにチェイスを入れた)
・結末:エンディング

これは2022年度のシナコン受賞作品に多くみられたものであり、ここさえ外さなければ後はアイデア勝負に持ち込める部分でもあります。自分はうごらぶについて、ガッチガチにこの骨組みをあてはめました。理由は『生ライブで情報を引き出す』『チェイスを入れる』という部分がかなり挑戦的な部分であり、これに加えて他の部分の骨組みまで変えてしまうと展開がしっちゃかめっちゃかになりそうだなと考えたからです。新しい要素を入れるのであれば、それと同じくらい道標として分かりやすいテンプレ要素を入れる必要があると自分は考えていますが、この辺のバランス感覚については人それぞれかとは思います。

後はお約束の展開であっても、自然な流れになるよう見直してみることです。倉野耕太が死んだ後に彼の家を探すことになるのですが、『無断で死んだ友人の家に訪問するのは如何なものか』と考えるプレイヤーもいると思います。なのでこのシナリオでは倉野耕太に鍵を投げ渡させることで友人の自宅訪問を無断ではなくしています。こういった気遣いを


・キーパーへの丁寧な説明

18000字。シナリオコンテストの文字数上限がだいたいこのくらいだったと記憶しています。本当にこの文字数がかつかつで、登場人物のステ―タス表記を最低限にしたり、口調をフランクな口調に変えたりしつつ1字ずつ削っていく作業でした。自分のシナリオはピッタリ文字数上限です。

その中でどうしても削ることが出来なかった400字があります。
それが以下の文章です。

キーパーはこのシナリオをプレイする前にバーチャルライバー(以下、Vライバー)について知っておくことが望ましい。Vライバーとは2DCGや3DCGで描画されたキャラクターを用いてインターネットメディアで活動する動画投稿者や生放送を行う配信者の総称である。このシナリオでは特に生放送中の配信者にコメントと共に金銭を送ることができる投げ銭と言われる文化や、カメラで人間の表情や顔の角度を読み取り、画面内のキャラクターに同じ表情をさせるフェイストラッキング技術が重要となる。キーパーは可能であれば事前に動画サイトなどでVライバーの動画を見るなどして実態を掴んでおくと良いだろう。

蠢く偶像、らぶ

ここでキーパーは倉野の話を通してプレイヤーにVライ バーについての知識を伝えよう。特に投げ銭文化やフェイ ストラッキング技術について理解してもらえると今後のシナリオ進行が非常にスムーズになる。

蠢く偶像、らぶ

前の記事にも書きましたが、新しいものを書くときはそれだけ言葉を尽くして説明する必要があります。そこを選評で評価していただけたのは嬉しいですね。そして、こういうぶっちゃけもしています。

警察に通報した場合、死体と言い切れない奇妙な胴体の扱いについて警察は困り果てることとなる。キーパーは探索者が動き辛くならないよう警察の捜査は最低限に留めよう。

蠢く偶像、らぶ

・キーパーが望むのであれば、倉々木ラブの引退イベント を発生させても良い。このイベントは蠢く生首に追い越された首無し像を持たない探索者が手持ち無沙汰になること を防ぐ狙いがある。イベントを起こすのであれば早い方が良い。手持ち無沙汰になりそうな探索者に対し、キーパー は以下の描写を読み、倉野しずえの元に行くよう促そう。

蠢く偶像、らぶ

キーパーは何を望んでいるかというと『キーパーが楽しい事』『プレイヤーにセッションを楽しんでもらうこと』ですので、そのためであればこういうぶっちゃけはどんどんしちゃってよいと思います。シナリオはキーパーに向けて書くもの、ですからね。

・はじけた展開

これについてはシナリオ本文を読んでいただければと思います。
はじけ……ハジケ

自分はハジケリストだった……?

まとめ

はい!という感じでたけのこーたって人が書いたシナリオを元にシナリオを分析してみました!(手前味噌)こんな感じでいろんなシナリオを分析してシナコンの参考にしていただけたらなと思います!もっかい貼っときますね

▼前回の記事はこちら。読んどくと理解度が上がるかもしれません。

▼受賞作品はこちら。良かったら遊んでね(無料)


おまけ。最後にシナコンに送り付けた地図はこんなんです。
(実際に添付して送っています)

自分の100%全力地図ねこれ

もちろん地図が整っているに越したことはないのですがこんなクオリティの地図でも受賞できはした、ということで是非勇気を持っていただけたらなと思います。

それでは良いTRPGライフを~!ノシ

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