ハンドドライヤーの稼働する日を信じて
世界的なウイルス感染症の拡大を防ぐため、外出自粛が求められる昨今。どうしても入用の物があって遠出する。
せっかくなので他の用事も済ませよう。買わなきゃいけないものをリストアップ。銀行にも寄って、散髪にも行こう。行動は効率的に。
2020年3月24日の午前中。久々に街の中を歩く。
道行く人の数は自粛前と変わらない……いや、学生やお子さん連れが多いので賑わっている気がする。今日は天気もいいし、お出かけ日和には違いない――なんていうのは不謹慎だな、きっと。
流れる人の中でぽつりぽつりと目につく営業時間短縮の張り紙。全店とは言わないけれど、早めに閉店する店舗が多く感じる。
「早く帰れてラッキー」「今月の給料が……節約しなきゃ」「この状態じゃ仕方ない」捉え方はそれぞれ。確実に言えるのは各店の売上減少。
いまさらだけど、世の中は不況へ進んでいる。
終わりに先が見えない。いつになったら元に戻るのだろう。「当たり前」が尊いものだと気づくのは、なんだって失ったあとだ。
「マスクの入荷は未定です」と言わなくていい日がくるのはいつ?
楽しみにしていたイベントが通常開催されるようになるのはいつ?
トイレのハンドドライヤーが稼働するのはいつ?
みんなが知りたいこと。だけど誰一人分からない。
政府は国民への現金給付案を検討しているようだけど、まだまだ先になるようだ。金額も決まっていない。そもそも決定事項じゃない。
当てにしない方がよさそうだ。だけどもらえるなら欲しい。それが本音。
オリンピックはどうなるのだろう。強行的に開催するのか、延期するのか、中止するのか……何を優先して結論を出すかが注目されている。どの未来も無傷じゃ済まないだろうから難問だ。
いち国民の意見を述べるなら、四年もの時間を積み重ねてきた選手と、そばで支えてきた関係者各位を優先した決定に落ち着いてほしいな。
このところ晴れ間が続いているけれど、気温は低いし風が強い。家の中にいる限りは平和に見える。見えるだけ。
先の予報ではこれから天気が下り坂、それからしばらく雨が続くようだ。
止むのは……いつなんだろう。
――なんて話を考えながら散髪の順番を待っていました。
翌日。オリンピックの延期が決定、現金給付は見送りの方向だと知り「昨日書いた記事に追記しなきゃ」とこの文章をつけ足しています。
タイミングが良かったのか、悪かったのか……。