【自家製サッカー概論】96 インテンシティの持続
先月末、川崎FとFC東京の多摩川クラシコの中継があった。
結果は川崎Fが3発大勝。川崎の勝利への飢餓感が際立った感じだった。
サッカーで「インテンシティ」という言葉がよく使われる。
ネットで調べると、綴りは「intensity」で、これは名詞で「感覚や現象などの『強烈さ』『厳しさ』『強さ』『強度』を表すほか、行為などの『激しさ』『真剣さ』といった意味でも使う」とある。
川崎Fから、この「インテンシティ」を強く感じたのである。
ここまで3連敗していた川崎F。
それ以上に、ACLの負け方だ。到底納得できるものではなかった。
ホーム等々力で、山東泰山相手に2-4で敗戦。16強止まりとなったのである。
失点の多いチームなので点を獲られるのは仕方ないにしても、この負け方はどうなのだろう。
ましてやホーム。2点差つけられての敗戦は納得できないだろう。
ここから調子を落としたと言ってもいいのではないか。
それが、多摩川クラシコで「意地を見せた」試合を繰り広げた。
この試合を観て強く感じたのが「Jクラブもこれだけ『インテンシティの高い』試合ができる」点だ。
これは川崎Fに限らず、今話題の町田もそうだと思う。
Jリーグでも、気持ちぶつかる激しい試合が繰り広げられる。
そこで次なるポイントは、「インテンシティの強い試合を連続で出来るか」だと思う。
川崎は、快勝の次の試合が重要になるだろうし、町田は快進撃が止まっても強さを維持できるかが注目点となるだろう。
サッカー論と言えば、戦術論が幅を利かせることが多い。
それも大事なので否定はしないが、この「インテンシティ」に着目した議論を活発化させてもいいのではないかと思う。
アジアカップでの日本代表の敗戦についても、日本選手の手落ちを指摘する以上に、相手選手の「インテンシティ強度」を考えた方がいいのではないかと思う。
よくあるのが、「相手は中2日で、しかも延長戦を戦っているので日本の方がスタミナ的には有利です」みたいな時に、思った以上に相手が落ちないことがある。
こんな時に、相手選手の“この一戦にかける意気込み”が出て来るのである。
本当は限界に来ているのだけど、それを見せずに粘り強く戦う。
戦術を超えた部分が出て来るのだ。
こうした点に、もっと着目してもいいのではないか。
そして、先述した通り、「Jリーグでも、そんな『インテンシティの高い試合』がある」のである。
そして問題は、各チームはそれを毎試合維持できるか、という点だと思う。
これが海外なら、ビッグクラブがインテンシティを維持して毎試合戦っていると言っていいだろう。
なぜなら、相手は毎試合「決勝戦みたいな気持ち」で挑んでくるからだ。
そんなのを相手にして確実に勝利する。強者の絶対的な自信を感じるのである。
Jリーグでは、なかなか“ビッグクラブ”というのが存在しない。
だが、こうした「毎試合決勝戦みたいな戦い」の中で、インテンシティを養っていかなくてはいけないと思う。
それが、ACLの激戦で求められる強さに繋がるのだと思う。
フィジカル的な強度はもちろん、精神的な部分も含め、インテンシティの高いゲームを増やし、どうやって、それを維持する術を身に付けるか。
メディアも含め、戦術論に偏る“日本のサッカー観”を変えていく必要性を強く感じた次第である。