【自家製サッカー概論】62 女子サッカーのスタンダードとは
なでしこジャパン、ノックダウンステージ1回戦を突破。
やりましたっ。見事8強です!
マッチレポートには監督や各選手のコメントが載っています。
「おおっ」と思わず声が出たのは宮沢ひなた選手の3点目。
スペイン戦をほうふつとさせる見事なカウンター。
ノルウェーも日本のカウンターを警戒していたはずである。
それでもカウンターを発動させたのは大きな収穫だと思う。
これから見る人たちは、「なでしこのカウンター」を期待する様になるのではないか。
欲を言えば、宮沢選手だけでなく、前線選手の誰もが「ゴール前に駆け出して」いく様になればと思う。
さて、ゲームを振り返り――。
対戦相手のノルウェーは、なでしこにとって難敵だったはずである。
その理由は、「高さ」である。
「空中戦」、ひいては「制空権」というのは、ノルウェー側にあったはずだ。
ノルウェーに簡単に放り込まれれば、日本はジリジリラインを下げざるを得ない。
試合前はそう思っていた。
それほど、日本女子にとって高い相手は厄介だったはずである。
だが、試合を通して、それほど怖さを感じなかった。
これは本当に意外だった。
その大きな理由は、なでしこの3バック、熊谷紗希選手、南萌華選手、高橋はな選手が、相手のロングボールを跳ね返していたからである。
特に、熊谷選手と南選手は空中戦でほとんど負けていなかったのではないか。
(失点はしたが、よく跳ね返していたと思う)
シンプルなロングボールをしっかりと跳ね返せる。
これは、本当に相手に流れを渡さないな、と改めて確信したのである。
日本選手が高さで負けない強さを身に付けたのはなぜか。
熊谷選手は海外でのプレーが長いが、それが大きいのではないかと思った。
DFが海外でプレーするなら「空中戦で弱い」というのは致命的な弱点になる。
タフな戦いの中で、「高さ」や「速さ」、「上手さ」への対応力を身に付けたのではないか。
ノルウェー戦の解説で、こんなコメントがあった。
「コンパクトにして、周りがカバーしてこぼれ球を拾わないといけない」
確かにその通りだが、海外では通用しないのではないか。
海外ではこう考えるだろう。
「(ロングボールを)跳ね返せないなら、跳ね返せる選手を連れてくる」と―。
「みんなでカバーし合う」は大事な考え方で、なでしこジャパンの柱だと思う。
だが、先ずは個人が強くタフに戦えなければサッカーにならない。
海外組は、そんな状況の中で戦ってきた。
これが今のなでしこジャパンの骨子の様に見えた。
他にも、「体をぶつけ合いボールを奪う」点では長谷川唯選手の働きは白眉だ。
これも、海外でのプレーで身につけたものだと思う。
日本女子サッカーはこれまで「対人で弱い日本選手は集団を作らないといけない」という考えでいたと思う。
だが、海外でプレーする選手が増えることで、「対人での強さ」を発揮する選手が現れる様になった。
これを、日本女子サッカーに浸透させなければならないと思う。
ロングボールをしっかり跳ね返す、体をぶつけてボールを奪う。一対一で仕掛けて圧力をかける、逆に一対一で相手ボールを奪う。
こうした個々の戦いでもっとたくましさを身に付けないと、「強さは養えない」だろう。
今回のワールドカップでのたくましい部分をWEリーグにどう還元していくか。
女子サッカー関係者は、そこに目を向けなければならないと思う。