【自家製サッカー概論】61 ロングカウンター
なでしこジャパンが1位通過を決めました! 本当にスゴイ!
相手は強豪・スペイン。
ボールの周囲に人数を配し、寄せられても細かなパス交換でかわしていく、そのポゼッションは「上手い」の一言だ。
かなりの難敵だったはずだ。
そんなスペインとの対峙。その有効解はどこにあるのか。
カタールW杯でスペインを撃破した吉田麻也キャプテンのコメントに、そのヒントがある。
吉田選手は東京五輪でもスペインと対戦しており、その経験から次の様に語っている。
「(4バックは)なかなか難しいんじゃないかということで、3バック、ないしは5バックでしっかりはめに行って、後ろは我慢してというプランでやった」
5バックではめに行くプランで臨んだことを明かしており、それが有効だったことも明かしている。
なでしこも5バックで臨んだ。そして、しっかりと耐えた。
男子と違うのは、最終ラインが低かったことだろう。
そしてさらに、男子を上回ったのは、カウンターの破壊力だった。
「なでしこジャパンの戦い方というと、どんなサッカーをイメージしますか?」
そんな質問をすれば、聞かれた人ほぼ全員が「パスサッカー」と答えるのではないか。
だが、スペイン戦ではそんなサッカーはどこにもなかった。
5-4-1の守備ブロックで自陣に立て籠もった。
このサッカーを観た瞬間に(どこかでやられるんだろうな)と思った。
だが、凄まじい執念で跳ね返し続けていた。
そんな中で見せた、カウンターの破壊力。
なでしこ、というよりも、日本女子サッカーで、ここまで鋭いロングカウンターが出来るとは。
本当に驚きだった。
日本サッカーでは、相手DFやボランチのボールを奪ってゴールに結びつける「ショートカウンター」を戦術に組み込むことが多い。
だが、「相手を自陣に引き込んで、相手背後の広大なスペースを一気に駆け上がるロングカウンター」を活用するチームが少ない。
それを、なでしこジャパンが、ワールドカップという大舞台で実践して見せたのだ。
これは衝撃だった。
これが出来れば、「守備的でも得点も狙える」戦いが出来るのだ。
これは戦術の幅を広げる大きな勝利だったはずだ。
「自分たちでボールを運べるなら、つなげばいい。それが出来なければ守備ブロックを敷いてカウンターを狙えばいい」
そんな考えで臨める様になる。臨機応変とはこのことだろう。
カウンターが成功したのは、前線のポストプレーと攻撃陣の走り出しが大きな要因ではないか。
前線の選手の時間を作るプレー、2列目が走り出すタイミングを作ったプレー、そんな仕事が抜群だった。
このロングカウンターを何度か成功させられれば、なでしこの新たな顔になると思う。
そんなことを思わせる戦いぶりだった。
パスをつなぐのか、それともカウンターで狙うか。
なでしこジャパンの、次の戦いに期待が高まるところである。