【自家製サッカー概論】55 足元へのスルーパス 補筆
ネット動画の発展で本当に多くのゴールシーンを視聴できる様になった。
お蔭で「これ、共有したい!」なんてものも出てくるのである。
要は、動画サイトの戦略にまんまとはまった訳だ。
その中でも“これ”である。
「【オランダ×イタリア|ハイライト】プライドを懸けた激闘はキエーザのゴールで決着|UEFAネーションズリーグ 3位決定戦|2022-23 」(DAZN)
89分のワイナルドゥム選手のゴール。
ワンタッチで相手の背後のスペースに潜り込み、それで勝負あり。確実に決めている。
以前に「スルーパス」には二通りあると書いた。
一つは、「ボールをスペースに送り込む形」。
そしてもう一つが「足元にもらい、スペースに持ち出す形」である。
この形に衝撃を受けたのが、次のゴールだ。
「Spain v Italy: UEFA EURO 2012 final highlights 」(UEFA)
41分のジョルディ・アルバ選手のゴールである。
走り込むアルバ選手の足元へのスルーパス。それをスペースに持ち出した。それで勝負ありである。
今見るとオフサイドを疑われるゴール。だが、その形は素晴らしいと思う。
スペースとそこでプレーできる時間が減少していく現代サッカーで、この足元へのスルーパスは有効だと思う。
このスキルは、いわば「ワンタッチで相手をかわす」というものだ。
だが要点は、「喰い付いて来た相手をトラップでかわす」のではない。
「自らのパスとトラップでスペースに切り込んでいく」のである。
つまり、「自発的なプレー」である。
相手は関係ないのである、……と言うと、言い過ぎか。
だが、相手もあるが、自分から仕掛けていくプレーであることには違いない。
「ボール保持」を行うチームは、こうしたプレーも積極的に検討してもよいのではないかと思う。
最近はカウンター合戦も増え、縦に速いサッカーがトレンドとなっている。
さらに、両サイドを広く持ち、そこから持ち込む、或いは、広げたことでできた隙間を後ろから追い抜いていくプレーが増えた。
「ポケット」という考え方も浸透してきて、そこに走り込む場面も増えている。
そんな時に、この「足元へのスルーパス」や「ワンタッチでスペースに切り込む」プレーを繰り出せれば、いいアクセントになると思う。
これは「前代未聞の斬新なプレー!」という訳ではもちろんない。
だが、日本サッカーが先行して、こうしたプレーを浸透させられれば、少しはサッカーをリードできるのではないか。
様々なプレーを深めていく作業。こういうのも活発化していけばいいと思う。