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ノギスの正しい使い方【現役機械設計者が教える】

ご安全に!
現役機械設計者の竹の子です。

今回は計測によく使われているノギスについて解説しようと思います。
今回ノギスについてお話ししようと思ったキッカケは、SNSでノギスの測り方が分からないという記事を見かけたんです。
最近はデジタルノギスで計測する機会が増え、確かにアナログノギスを使う事って減ったなぁと私自身感じています。
しかし、趣味や小規模で物作りされている方々の間では、アナログノギスは根強く使われ続けています。
私もアナログノギスは持ち続けています。
正直デジタルより、アナログノギスの方が好きなんですよね。
昔から同じ物を使っているので、愛着があるんだと思います。
そんなアナログノギスが無くなってしまわない様に、この動画で使い方からメンテンスまでご紹介していきます。

今回の記事は、YouTubeにも同様の内容で動画をあげています。

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今回ご紹介するのはこの4つの項目をご紹介します。



・ノギスの各部名称

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まずは、ノギスの各部分の名称をご紹介します。
ノギスは大きく分けて二つの部品で構成されています。
長い目盛りがついている部品が「本尺」、短い目盛りがついているのが「副尺」と呼ばれています。
本尺の目盛りの部分を副尺がスライドするようになっています。

画像のノギスの上下に飛び出している部分は「ジョウ」と言います。
それぞれ、上側のジョウが「内側用ジョウ」、下側のジョウが「外側用ジョウ」と言います。
内側、外側と別れているのは、後程4つ使い方でご紹介しますが、内径測定用と外径測定用とに、使い方が違うからです。

画像の右から細いものが飛び出していますが、これは「デプスバー」と言います。
副尺に繋がっていて、副尺がスライドすると、同じようにデプスバーが出てきます。

副尺の上側についているネジは「止めネジ」と言います。
副尺を固定したい時に、止めネジを締め、動かない様に固定します。
ノギスの保管方法で詳しく説明しますが、保管時は止めネジは緩めて保管するようにしてください。

副尺の下側についている、山は「指かけ」と言います。
名前の通りに副尺を動かす時は、この指かけに指をかけて動かします。

本尺についている目盛りの事をそのまま「本尺目盛り」と呼びます。
副尺についている目盛りも「副尺目盛り」と言います。
名前がそのままで覚えやすいですね。
副尺目盛りは「バーニヤ目盛り」とも呼ばれることがあります。
バーニヤとは、この目盛りの仕組みを発明した「ピエール・バーニヤ」の名前から取った物です。

ノギスの名称は以上です。
最近のノギスには各種ストッパーや機構がついた物もありますが、
ノギスの昔から変わらない部分の名称をご紹介しました。


・ノギスの4つの使い方


続いては、ノギスの使い方を4つご紹介します。
ノギスで計測する方法は、4つのやり方があります。
「外径」「内径」「深さ」「段差」この4つの計測方法です。
それぞれ詳しく解説していきます。

1つ目の測り方「外径計測
名称紹介の時に出てきた外側用ジョウを使います。
計測したい物を本尺と副尺の外側用ジョウで挟んで外径を計ります。
この計測方法では、二つの平行な面の距離や円柱形状の直径が計測できます。

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2つ目の測り方「内径計測
本尺と副尺の内側用ジョウを使って計る方法です。
計測したい面同士の間に内側用ジョウを入れ、押し付けて内径を計ります。
この計測方法では、二つの平行に向かい合う面の距離や穴形状の直径が計測出来ます。

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3つ目の測り方「深さ計測
副尺をスライドさせた時に出てきた、デプスバーを使って計る方法です。
計測したい面に向かって、デプスバーを入れて深さを計ります。
この計測方法では、底が平行な穴形状の深さを計れます。

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4つ目の測り方「段差計測
本尺と副尺の厚み部分を使って計る方法です。
階段の様に段差になっている平行な二面に、本尺と副尺を押し当てて計ります。
この計測方法では、階段状の平行な二つの面の距離を計測出来ます。

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これら4つの測り方がノギスでは出来ます。
4つ目の段差計測の方法を知らない方がいるかも知れないですね。

これらの計測をする際に気を付けなければならないことが二つあります。

1つ目は、直角にノギスを当てる事です。
計測する時は、必ず計りたい面に対して90度でノギスを当てなければ正しく計測が出来ません。
左右に斜めになったりしては、数値が大きくなります。
段差計測でも、同様に面に対して直角に当てるのを気を付けましょう。

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2つ目は、目盛りは真っすぐ読むです。
目盛りを見るときは目盛りに対して、真っすぐ見るようにしましょう。
斜めから目盛りを見ると、正しい数値が読み取れません。
必ず、真っすぐ目盛りを見て下さい。

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ノギスで計測する際は、この二点に気を付けて下さい。


・目盛りの見方


続きまして、ノギスの目盛りの見方を解説していきます。
この目盛りの読み方は初めてノギスに触れた方や、今まで定規でしか計測したことのない方には、どうして二つも目盛りがあるのか意味が分からないと思います。
安心してください。ばっちりしっかり教えていきます!

ノギスには本尺目盛りと副尺目盛り、別名バーニヤ目盛りがあると言いましたが、これらの組み合わせで、ノギスでは0.05mmの単位まで計ることが出来ます。

目盛りの見方_05

画像_01

まず、計測したい物に当てた時、副尺目盛りが動きますよね。
一番最初に注目してもらいたいところは、副尺目盛りの0の箇所です。
画像_01で言うと、6mmを少し過ぎたところに0がありますね。
ここで分かるのは、6mmとちょっとあるという事です。
次に注目してもらいたいのは、副尺目盛りと本尺目盛りの線がピッタリ重なっているところを探して下さい。
画像_01では、副尺目盛りの2の線が本尺目盛りの線とピッタリ重なっていますね。
これは、0.20mmという事を表しています。
最初に見た6mmと合計して、計った物の大きさが6.20mmという事が分かります。

必ず順番に見て下さい。
最初は副尺目盛りの0の線がどこにあるか、
次に副尺目盛りと本尺目盛りの線が重なる場所を探す様にしてください。

目盛りの見方_06

画像_02

それでは、次の画像を見ていきましょう。
画像_02では、副尺目盛りの0は、4mmを超える所にありますね。
次は重なる線を探します。
重なる線は副尺目盛りの6の1本前の線ですね。
これは、0.55mmを表しています。
画像_02から読み取れるのは、4.55mmという事が分かります。

目盛りの見方_07

画像_03

それでは、最後は皆さんだけで読み取ってみて下さい。
これが出来れば、ノギスの目盛りなんて怖くないです。
答えは、記事の最後に書いておきますね。
答え合わせをしたかったら、見てみて下さい。


・メンテナンス


最後に、ノギスのメンテナンスを解説していこうと思います。
ノギスは計測ツールなので、日々のメンテナンスがとても重要になります。
一度狂うと、二度と正しい計測は出来ないと思ってください。

ここでは、日常的なメンテナンス方法を4つご紹介します。

1つ目は、汚れを毎回ふき取ることです。
ノギスは使ったら、毎回綺麗に布で汚れをふき取って下さい。
小さな鉄粉や手アカなどがついていると錆びる原因になります。
最適なのは、防錆油を付けた布で拭く事です。

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2つ目は、副尺のスライドにムラがないかの確認です
副尺は精度よく製作されています。
少しの錆や汚れで、滑りづらくなります。
もし、滑りづらいときは、油をさしましょう。

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3つ目は、ジョウを閉じた時に、しっかりジョウが閉じるか、また目盛りがあうかの確認です。
ジョウは物がよく当たるので傷付く事があります。
傷が付いて、バリや凹みになるとしっかりジョウが閉じなくなります。
バリはしっかり取っておきましょう。
また、その時に本尺目盛りの0と副尺目盛りの0がぴったり合っているか確認しましょう。
もし、合っていなければノギス全体が歪んでいる可能性があります。

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4つ目は、デプスバーが本尺とピッタリ合っているかの確認です。
これは、3つ目の時に一緒に確認すると良いです。
画像の様に飛び出していたり、控えていたらデプスバーが曲がっている可能性があります。
デプスバーは穴に突っ込む使い方をするので、よく曲げやすいです。

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ジョウが傷だらけで閉じないや、デプスバーが曲がっている様でしたら、残念ですが買い替えましょう。
これらの4つのメンテナンスは使う前や使った後に毎回必ずやりましょう。

また、保管するときは防錆油を薄く塗り、止めネジを緩めて、ケースに入れて保管します。
湿気の多い場所や温度変化の大きい場所には極力置かないようにしましょう。

・まとめ

以上がノギスの正しい使い方のご紹介となります。
ノギスは昔から製造業を支えてきた、とても優秀な計測ツールです。
手軽に円柱の直径を測るにはぴったりの道具です。
計測ツールは正しい知識を持って、正しい使い方をしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


目盛りの見方 画像_03 答え:3.85mm

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