にだいめが訊く 奈良 ちかみちらーめん ロングインタビュー 中編
どうも、たけちゃんにぼしらぁ麺のにだいめです。本日もにだいめが訊くを皆様にお届けしたく思います。
前回の対談内容はこちらから⇩
・日本を襲った大きな悲劇
にだいめ で、質問をさせていただきたいのですが、奈良に主戦場を移してからの大きい仕事って何でしたか?
若井 大きい仕事…… 仕事というかね、俺が一番印象に残ってるのは、屋台時代の事やねんけど、東日本大震災あったでしょ あれがあった時に炊き出しに行くことになんねんけど…… それに対する思いが自分のちかみちらーめんの歴史の中で一番デカい出来事だったかなぁ……
にだいめ ほう、詳しく訊かせてもらってもよろしいですか?
若井 ええよ
にだいめ よろしくおねがいします
若井 屋台でそんなに売り上げが良いってこともなく、ダラダラとらぁ麺屋をやっていたのよ で、あの震災が起こって、急いでテレビを見たらエゲツない事になってる訳でしょ
にだいめ 建物がね、グニャグニャになってましたからね……
若井 で、その数日後に様々なチャリティが始まるんやけど、そういうの見てて「俺、何か出来へんのかなぁ」って思うわけさ やっぱ、食べ物を商売にしてる以上さ、震災の影響で食べられない人が居る訳で
にだいめ なるほど
若井 で、そん時に「俺、屋台やってるから動けるやん」って、まず思ったんよ
にだいめ さっきの「動ける」というメリットの話に繋がる訳ですね
若井 そう 機動力あるし、東京大阪間なんてしょっちゅう車で走ってたから行けるやん、って軽い感じで考えてたんよ
にだいめ なるほど
若井 で、そっから思い立ったら動かないと気が済まない訳よ
にだいめ 若井さん、そういう気質がありますからね
若井 で、そこから支援団体とかないんかなぁって調べてたら一件あったのよ
にだいめ へぇー!
若井 炊き出しする避難所に間に入ってくれて紹介してくれる所が
にだいめ パイプラインな事を担ってくれる団体があった訳ですね
若井 そう で、こっちから大体これくらいの人数分は作れますっていうのを伝えて
にだいめ ほう
若井 で、そこから店の方では炊き出しに行くんで……、もしあれでしたら、義援金をお願いします……って店に張り紙をして……
にだいめ なるほど
若井 そしたら結構なお客様が「寄附をしたくても何処にどういう風に使われるか分からないから躊躇してたけど、若井さんには自分が寄付したお金の使われる道が明確だからこそ託したい」って応援してくれて、結果、結構な額が集まったのよ
にだいめ あー! なるほど! 支援団体の義援金の使い道ってどうしても見えにくい部分がありますからね けど、若井さんの場合ですと車で自ら被災地に向かいますからね!
若井 だから当時のブログには義援金の使い道は全て細かく書いたよ
(ちかみちらーめん ブログより引用)
にだいめ そういうのも明確化することによって、お客様の信頼も裏切らない様に心がけてた訳ですね
若井 そうそう 業者の方々にも色々と協力してもらったりしながら準備を進めていくのよ
にだいめ なるほど
若井 で、支援活動は5回やったんやけど、2回が現地での炊き出し 3回がお土産らぁ麺という形を取ったんよ
にだいめ ほう
若井 避難所から仮設住宅に移られた各ご家庭に発送していったんよ
にだいめ はぁー 凄いですね!
(被災者の方々からの寄せ書き)
若井 それが俺のらぁ麺という人生の中ですごくおっきな出来事かなぁ
にだいめ やはり現場を見られた時は胸が詰まりましたよね……
若井 いや、もうね、俺が行ったのは5月の中頃やったけど 俺が支援しに行った名取市はもうね……、本当にすごかったね…… もう何にも無かったし うーん……、言葉にならないとはこういう事なんやって思ったね……
にだいめ 確かに…… そして未だに傷は癒えてないですものね……
若井 そうやね……
にだいめ しかも誰のせいにも出来ないから難しい問題なんですよね……
若井 そう、本当にそう……
にだいめ それが皆んなの心を悪戯に蝕んていくような…… だからこそ、少しでもその人たちを少しでも救う……、または楽しんでもらえる様に若井さんは行動した訳ですものね
若井 まぁ、何も出来ない歯痒さを持つよりも自分だからこそ出来る何かをやった方がええなって思ったんよ
にだいめ たけにぼは東日本大震災時はまだマスターは存命していました
若井 あー、そうかそうか
にだいめ 東日本大震災は人々の心に強烈な印象を与えた出来事が故、僕自身もつい最近の事のように感じてしまいますが2011年の出来事です その2年後に私の父は他界します
若井 なるほど
にだいめ なので、2011年のたけにぼの主導権はマスターでした そして当店も東日本大震災に対しての行動を起こすのですが、内容は至って単純で「ただ単に募金箱を置いて、義援金を集め、そして寄付する」ってだけなのですよ けど、そんなことって正直、誰でも出来ることじゃないですか 問題はその先な訳じゃないですか
若井 そやねんな
にだいめ だから、若井さんのお話を訊いて思った事は「うちらは飲食業界にいながらも、何処か他人行儀な支援策しか出来なかった」ってことを悔やんでしまいますね……
若井 なるほどな
にだいめ まぁ、マスターも歳でしたし、行動力が下がるのは致し方ないですが、けど、もう少し我々も何かもう少しやるべき事をやるべきだったなぁって反省に至るようなお話でしたね……
若井 俺に関しては行ける状態であったから……
にだいめ けど、これは行動力の問題ですよ バイタリティがないと絶対に出来ないですよ
若井 まぁ、確かにねぇ……
にだいめ 言葉にすることって誰でも出来ますけど、それを表現することに皆、苦しんでるから「ストレス」って溜まると思うんですよ
若井 あー、なるほどなぁ
にだいめ そこを実行した若井さんには改めて尊敬の念を抱きます
・世界を襲う大きな悲劇
にだいめ で、今度はコロナ禍ですよ まず、関西のコロナ禍の影響をお訊きしてもよろしいでしょうか?
若井 影響ねぇ…… 影響はハッキリ言うと「ある」よ 緊急事態宣言が出る4月7日までは前年度よりもいいんちゃうかな? って感じやったのよ
にだいめ 4月7日までですか 僕らは「志村けん」さんが亡くなった4月1日から調布の飲食店はほぼ活気がなくなりましたね
若井 あら、そう
にだいめ 若井さんのところは7日からなのですね
若井 はっきりと出たのは、そう 7日からかな
にだいめ なるほど そこから全く来なくなった感じなのですか?
若井 いや、全くではない お昼のピーク時はちゃんと並ぶこともあった それ以外のアイドルタイムのお客様が来なくなって、それが徐々に徐々に侵食してく感じ
にだいめ うちはですね、4月1日から昼間のピーク時はまぁ、御来店はあるのですが、勢いはほぼ二分の一です そこから20時までの営業なのですが、絶望的な内容ですよね 若井さんに分かりやすく説明するならば「マスターが亡くなる直前後のたけにぼ」ですかね(笑)
若井 なるほどね
にだいめ まぁ、けど、今は事態が事態ですので、仕方がないと思える部分もあります 3密っていうのが今のテーマですからね けど、御来店していただけないと、我々も生きていけなくなくなります
若井 やっていけなくなるからなぁ……
にだいめ ここの温度差が飲食店は本当に難しい状況なんですよね
若井 せやなぁ
にだいめ 新型コロナウイルスの対策は何か実施されておりますか?
若井 うちは今は通販のみ
(ちかみちらーめんの通販商品)
(たけにぼ × ちかみちらーめん)
にだいめ なるほど 因みに現在のちかみちらーめんの通販の受注方法はメールのみですが、いつかはサイトなどは設営されないのですか?
若井 従業員とかいれば、そういうのも考えられるけど、今の段階ではコロナが落ち着いたら、通販は一旦、辞める『かも』しれない けど、まだ細々と続けるかもしれない 今回の通販は有難いことに結構良い反響があるからね
にだいめ なるほど
若井 けど、続けるかどうかはまだ今はちょっと答えが出せないかなぁ
にだいめ 通販で注文してくださる方々って本当に優しい方が多いですよね
若井 ホンマ、そうやなぁ
にだいめ お客様も大変な状況なのに「頑張ってくださね!」とか「いつもより多く注文させてもらいました!」とか
若井 その一言添えてくれるのがねぇ!
にだいめ 励みになりますよね そして申し訳ないって思うのですよ 大変なご家庭が多い最中でも、気を使ってくださる方が多くて……
というわけで、今回はちかみちらーめん若井オーナーとの対談の中編をお届けしました。東日本大震災の悲劇と若井オーナーの決断と行動は私自身にも胸に響くものがありました。さて次回はまたマスターとの思い出話へと戻ります。色々と公式では語られなかった内容が盛りだくさんです。乞うご期待ください。