漢文の海で釣りをして【第12回】躓いたら問え、いまがその時か。
「天時に非ざれば、十尭と雖も冬一穂(いっすい)を生ずること能わず」
≪訳≫尭のような聖人が十人かかっても、冬に穀物を作るようなことは、天の時機に合っていないのでできない。
≪出典≫『韓非子』功名篇
尭(ぎょう)というのは中国の伝説の聖人です。
実在したかどうかはさておき、ひとつの究極の理想的な人物としてよく名前を挙げられる人物です。
春に種を蒔き、秋に収穫する穀物。
これは天の時に合うからこそのこと。
加えて後世の朱子学的な言い方をすれば、それは穀物自身が備えている「理」に合致しているから、種は芽を出し、実を結ぶのです。
天の時に背き、冬に種を蒔いてしまっては完璧超人である尭が十人集まったところで芽を出させることは出来ません。
溢れんばかりの力量も発揮する時機を見極めなければ台無しになってしまいます。
凡人でも時機さえ見極めることができれば、時機を見誤った完璧超人に勝てるかもしれません。
(時機を見極めるということは簡単ではありませんが…)
ともすれ、思ったように事が進まない原因は時機にあるかもしれません。