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vol.3『労働者の賃金相場はどのように決まるのか?』

■今週の課題図書

『じつはよく知らなかった経済のことがスッキリわかる本 ―不況対策から国際情勢まで! おもしろく教える経済塾』/石川秀樹著

■「じつはよく知らなかった経済のことがスッキリわかる本 ―不況対策から国際情勢まで! おもしろく教える経済塾」を読んでの学びや感想

これまで、「雇用」を労働法という観点でしか見てこなかったが、著書を読んで、経済とも一体不可分であることを学ぶことができた。
例えば、経済と雇用の関わりでいうと以下のような説明があった。
「社会の商品やサービスの生産量(GDP)が増える→雇用が増える→企業の売上が増える→社員の給料が増える→消費が増える→生産量が増える・・」
このように、雇用が増えるということが、景気を良くするためには重要な要素であり、生産と雇用というのは一般的には比例することがわかった。このことを知って政府が失業率を気にしていることに合点がいった。
また、経済学的な視点だと、「労働」も商品であり、需要と供給の関係で説明ができるという。こういった考え方はこれまでの自分にはなかった視点だったので面白かった。

著書を読んで

■今回の「問い」

【問い】
経済学的な観点でみると、労働者の賃金相場はどのようにして決まるのか?

問い

今回は経済学的なお話。上記の感想にもあるように、サラリーマンの労働力は「商品」。であれば、その「労働力」の値段(=賃金)も経済学的に説明できるのでは、というのが今回の問い。

■はじめに

人の年収ってどうしたって気になっちゃいますよね。
例えば、日本のサラリーマンだと年収1000万円とかもらっていると聞くと、「高いな」っていうのが個人的な感覚です。たぶんこれは、暗黙的な共通感覚だと思います。

でも、その年収の高い・低いのラインってどうやって決まるんですかね。

以前、求人広告の会社でセールスしてた頃、社長さんと話す機会が多くあったんですけど、

「社長、求人広告に掲載する給料どうします?」

って聞くと

「相場かそのちょっと上くらいで。」と大抵返ってきます。

つまり、世の中のサラリーマンの給料ってのは大体「賃金相場」によって決まっているわけです。案外いい加減なものですよね。

課題図書に賃金相場が決まるメカニズムが本に紹介されてたので、本記事ではその内容を共有できたらと思います。

ということで本題入っていきましょうか。

■日本の平均給与の現状

前回記事で日本の給与はあがっていないという内容をお伝えしましたが、改めて最新の平均給与をお伝えしておくとこんな感じ。ここ最近では、微妙に上がったり下がったりを繰り返してますがほぼ横ばい。

国税庁「令和3年度 民間給与実態統計調査」より

要は、現代では400万円くらいが現在の賃金の「相場」ってことになりますね。それと比べたら「1000万円」って高いよねって意味で、その額を聞くと、日本人は「給料良い」っていう共通認識を持つわけです。

余談ですけど、今現在アメリカだとマクドナルドのアルバイトでも1000万円くらい稼ぐみたいですね。国や地域によってこの相場は全然違うもんなので驚き。

■「相場」の決まり方

では、一般的には、モノの「相場」ってのはそもそもどのように決まるのか?

一般的な市場では、需要量と供給量の均衡がとれた点で価格(=相場)が決まる。つまり、供給量(売ろうとする商品の量)よりも需要量(買おうとする商品の量)が少ないと、商品が売れ残るので市場価格は下がり、 需要量(買おうとする商品の量)よりも供給量(売ろうとする商品の量)が少ないと、商品が足りなくなるので市場価格は上がる。

これと同じ原理で、労働市場においても、需要量(採用人数)と供給量(就職希望者の数)によって、賃金相場がきまるんですね

また、1700年代に活躍したアダム・スミスさんなどを代表する古典学派と呼ばれる方々によると、「商品の価格が上下することによって、需要と供給が等しくなり、経済は常にハッピーな状態(=売れ残りゼロ)になる」と考えられていました。

■失業が起こるメカニズム

当時の古典学派の学説を正しいとるすならば、労働市場においても供給量(就職希望者の数)が増え続けたら売れ残りはいずれはゼロになる、つまり完全雇用が達成される、ということになる。

でも、実際はそうではなかった。

1920年頃には、世界恐慌の影響で失業率が25%にもなったらしいです。(日本の直近の失業率は2.6%)

そこで登場したのが経済学者のケインズ先生。

ケインズ先生によると、労働市場においては、放っておいても売れ残りはゼロにならない(=失業は自然にはなくならない)と唱えた。

なぜなら、モノと違って労働者の賃金は一定までしか下がらないから、というのがその説明。その背景としては、従業員は賃金が減ることでやる気をなくす。そうなると生産性が下がるので使用者は一定以上賃金を下げたがらないためだと説明されてました。

その流れから、失業率を下げるためには政府が公共事業などをつくりだして「有効需要」を意図的に作り出すことで解消していきましょう、という流れが出てきた。その流れがあって、あの有名なルーズヴェルト大統領によるニューディール政策が行われたということですね。

■まとめ

まとめると以下のことがわかりました。

・賃金相場は需要量(採用人数)と供給量(就職希望者の数)によって決まる

・1900年頃までは、一般的な市場では価格が上下することによって需要と供給が等しくなり、売れ残りは常にゼロになると考えられていた

・ケインズ先生によると、労働市場では、一般的なモノと違って労働者の賃金は一定以上下がらない

話は少し逸れてしまいましたが、労働市場における賃金相場は、一般的な相場とは少し違って独特な動きを見せる。そのため失業が起こるのだということがわかった。経済学的な視点はこれまであまり学んでこなかった視点なので新鮮でした。
引き続き、失業については理解を深めていきたいトピックだなと思いましたのでまた書いていきたいと思います。

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