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シナリオ・センター本科課題3『帽子』

感想

どうにか月1本ペースで書けないものか。

話を考えすぎて20枚で収まらなかったので、見せ場だけ描くのをやりたい。

あらすじ

アイドルが突然結婚宣言をしたら、ヲタたちは笑顔で彼女を見送ることはできるのか。 7人組の地下アイドル『レインボーハット』とそのヲタたちを描く群像劇。

『推し活レインボー』

人 物

蒔田蓮(21)  大学生
長谷川太陽(40)エンジニア
若林和樹(28) 家電量販店従業員
御子柴朱里(21)レインボーハット赤担当
結城さゆ(22) レインボーハット緑担当
三村瑛斗(31) レインボーハットプロデューサー

◯ライブ会場
   地下アイドル「レインボーハット」の
   ライブ会場。代表曲「推し活レインボ
   ー」が流れている。蒔田蓮(21)は
   長谷川太陽(40)、若林和樹(28)
   とともに最前列で帽子を振っている。
蓮N「これから話すのは、僕の推し活の話だ。
 アイドルグループ『レインボーハット』。帽
 子を振って盛り上がるパフォーマンスが特
 徴だ」

◯ライブ会場
   ライブ後の特典会。蓮は御子柴朱里(2
   2)とチェキを撮っている。
蓮N「僕の推しはこの子、御子柴朱里」
   朱里はチェキにサインを書いている。
朱里「いいなー親の金で大学行って」
蓮「ちょっと、言い方笑」
朱里「だってぇうちの親と大違いなんだもん」
蓮N「アイドルになりたくて家出したらしい、
 レイハ不動のセンター!」

◯居酒屋
   蓮、太陽、和樹の三人がライブ後に居
   酒屋で飲んでいる。
蓮N「レイハのヲタは、推しメンのカラーの
 帽子を被る。僕は朱里ちゃん推しなので赤
 色。カズさんは、結城さゆ推しなので緑色」
和樹「見てぇ俺とさゆちんのコレクション」
   和樹、自分と結城さゆ(22)が映っ
   たチェキを何枚も蓮に見せる。
蓮N「太陽さんは、箱推しなので虹色」
太陽「この帽子被って街歩いてたら、変人み
 たいな扱いされるんですよねぇ」
蓮N「二人とも僕が初めてライブに行った時
 から絡んでくれた、先輩であり友人だ」

◯ライブ会場
   ライブの終盤にさゆが喋っている。
蓮N「そんなレインボーハットに最大のピン
 チが訪れたのは、さゆちんのこの発言から
 だった」
さゆ「今日は、みなさんにご報告があります。
 私、結城さゆは、…結婚します!」
観客「え?結婚?」
和樹「さゆちん…?」
観客「相手は?」
さゆ「相手は、詳しくは言えないけど、私を
 ずっと支えてくれた人です」
観客「マジかよ…」
朱里「…まぁみんな、色々聞きたいことはあ
 ると思うけど」
   和樹は動揺し、突然大声で叫ぶ。
和樹「お、俺たちを騙してたってこと?」
さゆ「…騙してたっていうか、その、卒業す
 るから、私、嘘はつきたくないと思って」
和樹「…嘘だ、そんなの嘘だ!ねぇ!さゆ!」
   和樹、さゆに向かって帽子を投げる。
和樹「おかしいだろ!?」
観客「そうだ!ふざけんな!」
   他の観客も一斉に帽子をステージに投
   げつける。いくつかはメンバーの身体
   にあたる。会場は大荒れとなる。

◯SNS画像スライドショー
蓮N「結城さゆの結婚宣言は、ワイドショー
 で取り上げられるほどのニュースになった。
 朱里ちゃんがその後SNSに投稿した写真
 も火に油を注いだ。被っていた帽子に「F
 uck」と書かれていたからだ。SNSは
 炎上、コメント欄が閉鎖され、運営側は結
 城さゆの卒業ライブまで、帽子の持ち込み
 を禁止すると発表した」

◯ライブ会場
   レインボーハットのメンバーが「推し
   活レインボー」を歌っている。観客は
   誰も帽子を持っていない。結城さゆは
   欠席しており、和樹の姿も見えない。

◯ライブ会場
   ライブ後の特典会。朱里がチェキにサ
   インをしながら、蓮と話をしている。
蓮「やっぱ帽子がないと盛り上がらないね」
朱里「あぁ、そうだね…」
蓮「…Fuckって、どういう意味?」
朱里「え?あぁ、あれねー笑」
蓮「さゆちゃんに対して?それとも、帽子を
 投げたヲタに対して?」
朱里「…どっちも、かなー。私はレイハをも
 っと盛り上げたいのに、こんなことで足を
 引っ張りあって、なんだかなーって感じ」
蓮「そっか…」
朱里「…言いたいことあるなら、言ってよ。
 時間ないよ」
蓮「…僕は、朱里ちゃんには、(タイマーが鳴
 る)ああいう写真あげてほしくなかったな、
 っていうか」
スタッフ「はい、お時間でーす」
   蓮、スタッフに押されて朱里から離れ
   る。朱里は悲しげな表情をしている。

◯居酒屋
   蓮と太陽が居酒屋で飲んでいる。
太陽「カズさん来なかったですね。連絡もと
 れないですし。…蓮くん?」
蓮「…やっぱり、帽子はダメなんですかね」
太陽「帽子ですか」
蓮「こないだのことがあったからって、帽子
 の持ち込みを禁止したら、もうレイハのア
 イデンティティがなくなるっていうか」
太陽「そうですね。私もそう思って、プロデ
 ューサーに聞いてみたんです」
瑛斗「え、太陽さん知り合いなんですか」
太陽「まぁ、少しだけ。でも運営としては、
 一部のファンがそういう行為に及ぶかもし
 れない以上、一律に禁止するしかないと」
蓮「そうですか…」
太陽「でも、蓮くんも同じこと考えてたなん
 て、嬉しいですね」
蓮「え?」
太陽「私は箱推しなので当然ですが、蓮くん
 もだんだん虹色になってきましたね」
   太陽は、自分が被っている虹色の帽子
   のつばを持つ。

◯蒔田家
   ワンルームアパートの一室。蓮がベッ
   ドに寝ながらスマホをいじっている。
   SNSには未だに朱里の画像が出回っ
   ている。蓮は何かを思いつき、太陽に
   メッセージを送る。

◯ライブ会場
   結城さゆの卒業ライブ当日。蓮と太陽
   が、入口で緑色の帽子を配っている。
蓮「お願いします!これを被ってください」
   そこへプロデューサーの三村瑛斗(2
 8)がやってくる。
三村「太陽さん、帽子はダメですって」
太陽「三村さん、お願いします。彼の意見を
 聞いてくれませんか」
蓮「あ、初めまして。えっと、僕は朱里ちゃ
 ん推しのただの大学生です。でも、気付い
 たら、これを作ってました」
   蓮は三村に帽子を渡す。(ここでは帽子
   の前面を映さないようにする)
蓮「ちょっとやり過ぎたなとか、このままじ
 ゃダメだって、絶対みんな思ってます。こ
 の帽子を投げる人なんて、絶対いないです。
 僕たちを、信じてくれませんか」

◯ライブ会場楽屋
   衣装を着たメンバーが待機している。
   さゆは不安そうに両手を握りしめてい
   る。朱里は声をかけることができない。

◯ライブ会場
   メンバーがステージに登場する。観客
   はみな緑色の帽子を被っており、そこ
   には「さゆちんありがとう」と書かれ
   ていた。さゆはその場に泣き崩れる。
観客「せーの!」
観客「さゆちん、今までありがとうー!」
   朱里はさゆの肩をさすり、声をかける。
朱里「さゆ、ごめんね」
さゆ「…ううん」
太陽「良かった…あれ、蓮くん?」
   太陽はあたりを見回すが、蓮はどこに
   もいない。

◯ライブ会場外
   蓮は遠くに和樹を見つけて駆け寄る。
蓮「カズさん!」
和樹「お、あ、おう、」
   和樹は蓮を避けようとするが、蓮は和
   樹の腕を引っ張る。
蓮「こっちですよ!」
和樹「や、俺はな、その」

◯ライブ会場
   蓮と和樹が会場に入ってくる。ステー
   ジ上でさゆが泣きながら話している。
さゆ「私は、みなさんを裏切ってしまって」
観客「そんなことないよー」
さゆ「みなさんの優しさに甘えていたなぁと、
 反省しています」
和樹「さゆちん…」
蓮「カズさんも、これ」
   和樹は蓮から帽子を渡される。「さゆち
   んありがとう」の文字が見える。
和樹「俺、さゆちんにヒドいことしたなって」
蓮「だからこそ、笑顔で見送りましょう」
朱里「さゆ、あなたいつまで泣いてるの」
観客「あはは」
朱里「タイトルコール、お願いできる?」
さゆ「はい。精一杯歌います!『推し活レイ
 ンボー』」
   『推し活レインボー』が流れる。観客
   はみな笑顔で緑の帽子を振っている。

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