「気候危機打開に向けてさいたま市の取り組みを強化せよ」 シリーズたけこし連の代表質問
2月9日の本会議で代表質問を行いました。質問では4項目に渡って質疑を行いましたが、本日は「気候危機打開」について質疑した内容を報告します。
現在、気候危機への不安が若者を中心として世界中に広がっています。さいたま市も昨年5月に「気候非常事態宣言」を発出しましたが、肝心の取り組みが不十分です。質疑では市の抱える問題点を指摘し、改善を求めました。
■環境省が示す、気候変動の影響
環境省は「産業革命以前と比較し気温上昇を1.5℃に抑えられなかった場合」の2100年の天気予報を示した「未来の天気予報」を発表しました。
この天気予報によると、2100年の日本の夏は日本列島が沖縄以外すべて40℃を超えることが示され、さらに襲来が予想される台風も従来規模の数倍にあたる「スーパー台風」が当たり前になるとしています。
■さいたま市の掲げる「第2次環境基本計画」の問題点は
さいたま市は気候危機打開のため、2030年までに取り組むべき目標値などを示している「第2次さいたま市環境基本計画」を掲げています。この計画の問題点を3点指摘し、緊急の見直しを求めました。
問題点1「CO2排出削減目標が低い」
問題点2「再生可能エネルギー導入目標が低い」
問題点3「エネルギー削減目標が示されていない」
■日本共産党の「2030戦略」を示して
私たち日本共産党は、昨年9月に本気で気候危機を打開するための提案「気候危機を打開する日本共産党2030戦略」を発表しました。
この提案は市計画や国の目標値などと比較すると高い目標を掲げていますが、私たちはこれをやり切らないと気候危機は打開できないと考えています。
今後、市計画を見直す際には「ここを目標にしてほしい」と求めました。
市の答弁は「国の目標値を目指す」に留まりましたが、今の取り組みのままでは、2050年にカーボンゼロを達成したとしても2100年の気温上昇は2.3℃になるとの報道もなされています。国の目標値が低いという認識を持って、それを上回る取り組みを行うことを市に求めました。
■さいたま市でもできる取り組み強化を提案
目標を上方修正だけしても、実効性がなければ「絵に描いた餅」です。本市でも実践できるCO2排出量削減の取り組みを提案しました。
気候危機打開のために提案①
「ソーラーエネルギーを最大限活用する取り組みを強化すべき」
あまり知られていませんが、さいたま市は年間日照時間が2148時間と大都市の中でも非常に長く、全国有数の「晴れの国」です。そんな本市の特色を活かし、ソーラーエネルギーを最大限活用することは重要です。
例えば横浜市では市内の小中学校の屋上に太陽光パネルと蓄電池を設置し、学校に必要な電気を賄いつつ、余剰電力を他の公共施設に送電する取り組みを始めました。横浜市は、この取り組みでCO2排出量を2割削減できるとしています。
横浜市の取り組みを本市でも実施することや、すべての公共施設にソーラーパネルを設置することを求めました。
加えて、耕作放棄地などの農地にソーラーパネルを設置するソーラーシェアリングの取り組みを推進することを求めました。
気候危機打開のために提案②
「ゼロエネルギーハウス(ZEH)ゼロエネルギービルディング(ZEB)の推進」
ZEH・ZEBとは年間消費エネルギーと同等のエネルギーを生み出すことができる建物のことで世界では、こういった建物を増やす取り組みが進んでいます。
例えば、独フライブルクでは消費エネルギーの4倍のエネルギーを生み出すゾンネンシフ・ソーラーシティを建設し、注目されました。
あるいは、米マサチューセッツ州ケンブリッジでは全建物を2040年までにZEHにする計画をたて、2020年以降に新設する建物についてはZEHにすることを義務づけています。
さいたま市でも、ZEH・ZEBを普及を推進する抜本的な取り組みを求めました。
気候危機打開のために提案③
「CO2排出量を市民に可視化するライフサイクルアセスメントの実施を」
ライフサイクルアセスメント(LCA)とは事業やサービスの環境負荷を定量的に把握し、可視化する取り組みです。
さいたま市でも公共事業を実施する際にはLCAを義務化して、市民にCO2排出量などの環境負荷を可視化していくことを求めました。
■最後にひとこと
今回は、気候危機打開に向けての取り組みについて報告しました。質疑の中で求めた項目や提案した点については市も「実施する」と明言する場面もあり、いい質疑になったと思います。
同時に、市の取り組みで課題に感じたのは「国の目標設定に合わせて計画を変更する」と答弁したことです。現在、日本政府の気候危機への対応は、CO2排出削減目標が低いことや取り組みが不十分であることが国際会議などでも指摘されています。本気で将来世代のことを考えるなら、国を上回る取り組みが必要です。
2100年、私の息子は78歳です。彼が安心して住むことができる地球を手渡すために、引き続きこの問題に取り組んでいきたいと思います。