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与野中央公園5000人アリーナ反対討論/2024年12月議会

さいたま市議会12月議会の予算委員会で、与野中央公園5000人アリーナの債務負担行為に関する補正予算議案に反対討論を行いました。以下全文を掲載します。

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日本共産党の竹腰連です。会派を代表して、補正予算162号に反対の立場で討論を行います。

コンサルのいいなりで膨れ上がる予算は適正か

与野中央公園は、長年にわたり市民の憩いの場として、そして地域コミュニティの中心としての整備が待ち望まれてきた公園です。

しかし、今回の議案には、この公園に建設される(仮称)次世代型スポーツ施設の債務負担行為が含まれています。

この議案で示された債務負担額は131億円です。
これは当初示された52億円から実に2.5倍もの大幅な増額となっています。
質疑では今回の債務負担行為と条件と同じくした場合の当初予算額は77億円であると示されたものの、それでも増額した金額は54億円にのぼります。

その理由として執行部は、物価高騰・坪単価の上昇、市民利用の床転換費用などを挙げています。

しかし、私が、基本計画が示された2023年5月から今議案の提出が行われた2024年12月までの期間の物価高騰分を、建設工事費デフレーターと国土交通省の建設工事費調査のデータを基に分析すると、物価高騰分の上昇金額はせいぜい、4.6億円〜6.2億円程度の増額に過ぎないことを示しました。

この点を指摘し、それ以外の要因をさらに聞いていくと、答弁では「今年4月に行った企業との個別対話で指摘された点を踏まえて増額した」ことが明らかになったのです。

議会で必要な予算を議論せずに、企業やコンサルに言われるまま、70%もの予算を増やすことは議会制民主主義を軽んじてはいないでしょうか。

事業の実現可能性への懸念

さらに重大なのは、企業との個別対話で、この計画に対して厳しい意見が相次いでいることです。収支構造に関する意見を抜粋してご紹介します。

「現在の卓上の計算が黒字でも収支通りにはならないと思います。特に建設費は大阪万博、IR、半導体工場の影響を受けると感じる」(イベント企画)

「我々の試算では、収入超過は厳しいと思っている」(設計会社)

「コロナ以降の物価エネルギー価格の高騰により採算の見通しが立たなくなってきている。そのため、収入超過を想定するべきではないと考える」(指定管理会社)

「人件費をはじめ運営、維持管理費や水光熱費が上昇しており、到底黒字は見込めないと考えている。収支見込みも妥当ではなく、多くを見込むことは難しい」(金融機関)

企業との個別対話資料より抜粋

これらは単なる懸念ではなく、事業の実現可能性自体を問う警告と言えます。

質疑では、要求水準書は変えていないとの認識が示された中で、収支構造の前提は変わっていないことが明らかとなり、予算を増やして建設はできたとしても、収益の黒字化には大きな課題があることには変わりありません。

加えて、今後も物価高騰による予算増、軟弱地盤の改良によるコスト増は建設会社が負担する、赤字を補填するロスシェアリングの導入はしないとの明言があった中で、参画企業には大きなハードルがあります。

しかしながら個別対話を一回しただけで、54億円もの予算を増やした本市ですから、当然今後も同じように何とか企業に参画してもらうために金額を積むなどの対応が懸念されます。

一回、走り出したら、問題があっても突き進むと言う姿勢は、市民にとっても不利益ではないでしょうか。計画の再考が必要です。

こうした対応が、多くの市民が望んでいるという前提条件ならば、ここまで否定するものではありませんが、反対している市民が中央区に多くいるという事実は明らかです。

その証拠として、企業との個別対話では反対する市民への対応や対策を求める意見が複数出されています。
また多くのマスコミでも報道されています。というか、中央公園周辺を歩けば可視化すらされている状況です。

市民利用への影響

では、今回のアリーナ建設で市民利用に不利益はないのでしょうか。そんなことはありません。

例えば、与野体育館の代替施設であるサブアリーナをメインアリーナ利用者が同時利用できることが明らかになりました。

この併用利用が可能となれば、これまで休日に与野体育館を利用していた団体は、サブアリーナを利用することができなくなります。

与野体育館の利用率は毎年95%を超えているにも関わらず、さらなる利用制限につながるのです。

また、利用料金についても大幅な増額が懸念されます。

現在、与野体育館は競技場を全日利用した場合は1万4240円の利用料ですが、私が市に求めた類似施設の利用料金によると、横浜BUNTAIの体育館利用は全日で、2万8600円、条件によっては30万8000円に上ります。

今後、料金については提案企業が「類似の施設を参考に提案する」とのことですが、これは利用料の大幅増額につながりかねない状況です。

さらに、駐車場の有料化も否定されていませんでした。

現在、与野中央公園の駐車場及び与野体育館の駐車場は無料ですが、有料化されれば、公園利用やサブアリーナ利用の市民にも新たな費用負担が生じます。

これらが連続して行われることで、これまでの市民利用の割合は減るにも関わらず、負担は増えることになります。

そして忘れてはならないのは、現在議論している債務負担行為は税金で、市民が負担しており、追加の予算が必要になれば、それを支払うのも市民だということです。

専門家からの指摘と提言

口では市民のための施設だと言っていますが、果たしてそれは事実でしょうか。

先ほど述べた個別対話で、「到底黒字は望めない」と警告した金融機関は、市へのコメントで次のように述べています。

「興行利用を望むのであれば、1万人程度の規模が必要であり、立地環境から(軟弱地盤等で)難しいと想定されるため、規模をコンパクトにして市民利用中心の事業にする必要があると考える」

「周辺住民にご理解いただくためには市民利用中心の事業に方向性を変えることも検討が必要かと思慮いたします」

企業との個別対話資料より抜粋

この企業はアンケートで参加想定が代表企業、想定する役割がファイナンシャルアドバイザリー、SPC管理となっているので、メインの金融機関になることが想定され資金調達にも影響が出るのではないでしょうか。

そうした専門家からの重要な指摘を一顧だにしない姿勢は大きな問題です。

この企業が指摘するように、黒字化が難しい5000人アリーナを建設するのではなく、規模をコンパクトにして市民利用中心の事業にするべきです。

与野中央公園の将来を誰が決めるのか

様々なリスクを抱え込みながら、企業からも市民からも懸念の声が上がっている本計画は、債務負担行為の設定ではなく、白紙撤回こそ相応しいと考えます。

そもそも、これまでこの計画については中央区の5人の議員が協力しながら、市民との議論を真摯に重ねてきました。そこに市が主体的に関わってきたでしょうか。市長が説明に来たでしょうか。

私たちは少なくとも与野中央公園の将来を真剣に考えてきた自負があります。

だからこそ、与野中央公園を市民が真に誇れる公園にするため、私たちは全力を尽くしてきました。
市民不在のまま、トップダウンで与野中央公園の未来を決めてしまう本議案には、断固として反対を表明いたします。

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