ここが知りたい!さいたま市役所 本庁舎移転問題
ここが知りたい!さいたま市役所 本庁舎移転問題
(日本共産党さいたま市議団ニュースから転載)
今、さいたま市役所の本庁舎移転問題が取りざたされています。清水勇人市長は、6月議会を待たずに4月28日に「さいたま市役所の位置に関する条例の一部改正」の議案を図るため、臨時で議会を招集します。
市庁舎移転については市民に伝えられていない情報が多く、党市議団にも多くのお問い合わせをいただきます。そこで今回は、市庁舎整備検討特別委員である神田よしゆき市議にこの問題について聞きました。(聞き手:とばめぐみ市議)
Q.なぜ、今、市庁舎の移転なのですか?
神田:市の新庁舎整備基本構想では「合併協定書に基づいて検討、現庁舎の目標使用年数60年を勘案して令和13年度(2031年度)に移転する」としています。現市役所が使用できなくなるわけでもなく、移転の理由は、合併協定書と将来を見据えたまちづくり、浦和と大宮の2都心を一体的に発展させることにねらいがあります。
Q.合併協定書のポイントを教えてください。
神田:合併協定書では「将来の新市の事務所の位置については、さいたま新都心周辺地域が望ましいとの意見を踏まえ、新市は、交通の事情、他の官公署との関係など、市民の利便性を考慮し、将来の事務所の位置を検討するものとする」とされています。これは、合併の最終段階で大宮市を引き留めるために市役所について大宮市の主張を取り入れた、妥協の産物です。そのため、合併協定書によって移転先が決められたものとは言えません。
Q.総予算はどのくらいになりますか?
神田:市が費用として出しているのは、市役所本体の建設費221億円です。しかしこれは概算で、実際にかかる経費は1.5~2倍にふくれあがる可能性があります。その他にも、駐車場も含む周辺整備、現庁舎地の跡地活用には、新庁舎建設と同程度の事業費が考えられ、それらを合わせると500億を超える予算になることが予想されます。
Q.市民への説明は十分だと思いますか?
神田:市民への説明は、基本構想をつくるときにタウンミーティングや意見募集を行い、基本構想ができたあとには、議会決議に基づいて自治会や各区での説明会、近隣住民への説明会などが複数回開かれた程度で、極めて不十分です。説明会でも、市民から「メリット、デメリットが分からない」「なぜ、今、移転建て替えなのか分からない」などの声が寄せられたと聞いています。
Q.臨時議会が開かれますが、そこで話し合われる内容は何ですか。
神田:臨時議会は、急遽4月28日に行われることになりました。議案は市役所の位置を決めるもので、現在の浦和区常盤から大宮区北袋1丁目603番地に改めるとしています。議決には議員の3分の2の賛成が必要で、議決されれば移転建て替えを認めることになります。
Q.なぜ現在地での建て替えではだめなのでしょうか。
神田:市は、現在地での建て替えがだめな理由に、大規模な仮移転が必要だから、建物の形状の制約があるから、などを挙げていますが、実際には十分な検討を行っていません。移転建て替えありきの立場で進めている、と言わざるを得ません。
Q.市庁舎が移転した場合、跡地はどうなるのですか。
神田:市は跡地の活用を含め、浦和区のまちづくりの検討をはじめ、移転までには計画を具体化するとしていますが、まだ何も決まっていません。
Q.共産党さいたま市議団はどんな姿勢で議論に臨みますか。
神田:党市議団としては、今、市役所の建て替えが必要なのかという点をはじめ、移転建て替えにどのくらいの財政支出が伴うのか、跡地の活用の展望はあるのか、現庁舎地での経済的な打撃をどうするのか、移転先で民間施設とセットとなることで市役所の役割に支障はないのか、などを明らかにすることが必要だと考えます。最終的には巨額な財政支出をこの時期に進めることに市民の理解が得られるかが焦点になります。その点をしっかり議論する考えです。