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さいたま市役所のAI活用改革 ~ゆとりある職場づくりを目指して

12月2日、さいたま市議会12月議会の本会議で一般質問に登壇しました。
質疑の報告をシリーズでご紹介したいと思います。
今回は、AIを活用したさいたま市役所の業務効率化についてです。

◼︎はじめに

私は、AIの利活用で業務効率化をできる可能性を強く感じています。
そこでまずは、自身がAIに関する知識を有していないと説得力がないと思い、今議会の一般質問に向けて勉強を行い、AIに関する資格を2つ(生成AIパスポート、G検定)取得しました。
その上で、今回、さいたま市役所内でのAI活用の提案をさせていただきました。

私は、行政における生成AIの核心は

行政職員一人ひとりの業務量をAIの力を借りて適切に削減し、その削減によって生まれた時間を、AIには代替できない住民との深い対話や、きめ細やかな行政サービスの設計、地域社会の未来を構想する取り組みなどに振り向けること

にあると考えています。
このミッションを達成するには、ブルシットジョブ(人間でなくてもできる仕事)をAIに任せることが必要です。

◼︎現状の活用状況と今後の展開方針

質疑では現在の活用状況から将来的な展望、さらには実装における課題や解決策まで、幅広い観点から議論を交わしました。

現状、本市では令和5年度にAIの実証的な利用が実施され、その結果を踏まえて安全かつ的確な活用のためのガイドラインが策定されました。
令和5年11月からは、このガイドラインに基づいて庁内での利用が開始されています。

特筆すべき点として、生成AI活用にあたっては事前研修の受講が義務付けられており、個人情報・機密情報の漏えいや著作権侵害、回答の不確実性などのリスクについて、職員の理解を深める取り組みが行われています。

現在の主な用途としては、文書作成の補助や検索情報の出典確認などでの活用が明らかになりました。

また、今後の展開は、市は生成AIの適切な活用により業務効率化を図り、それによって生み出された時間を市民の相談対応や業務改善に充てることで、市民サービスの向上につなげていく方針が示されました。

◼︎生成AIの本質的価値と活用アプローチ

AIは新しい技術のため、議場にいる方々(市幹部、議員等)の中にも、イメージしづらい状況があるのではないかということで、私は生成AIの本質的な価値と活用のアプローチを下記の資料を基に説明しました。

説明中、清水市長が頷きながら聞いていたのが印象的でした。

市の回答によれば、AIの活用アプローチについては、現在職員へのアンケートを通じてこれらすべての用途での活用が確認されており、特定の領域に限定せず、様々な場面での活用を推進していくとのことです。

◼︎AI導入における組織的課題と改革の方向性

大きな組織において、AI導入が進まない障壁の調査では、以下の業務プロセスの壁組織文化の壁が指摘されています。

これらはAIの課題というより使う人間側の問題です。

私がAIの活用で達成すべきミッションのためには、これらの障壁を取り払う庁内改革が必要だと訴え、以下の庁内改革を提案しました

市は、AI活用における障壁を取り払う努力の必要性を認め、私からの提案を「庁内における生成AIの事例の共有」と「生成AIを活用できる人材の登用・育成」という2つの観点から有意義な取り組みとして評価できると答弁しました。

私からの提案を受け、今後の具体的な取り組みとして、まずは職員の利用率向上を最優先課題と位置付け、各所属での活用事例を収集・横展開することで、より実践的な利用促進を図る方針が示されました
さらに提案したコンテスト開催については、今後その効果と必要性を検討していくとしています。

人材面では、民間企業等の実務経験者を「DX推進アドバイザー」の任用を進めること。
さらに、DX推進本部のデジタル人材ワーキンググループにおいて、庁内横断的な視点での研修方法を検討していく方針が示されました。

◼︎まとめ

本質疑を通じて、さいたま市における生成AI活用の現状と課題、そして今後の展望が明らかになったと感じます。
AIはまだまだ、新しい技術で自治体によってもユースケースを模索している状況です。
しかし、使いこなせれば確実な業務改善の効果が期待できるAI活用に乗り遅れる訳にはいきません。
さいたま市発の取り組みを全国に広げていく」そんな気概で進めていってもらいたいと思い、今回質問を作成しました。

何よりも、忙しすぎる労働者が出す成果ではなく、ゆとりを持って働く労働者がいる職場の成果が市民のためになると信じて、引き続き取り組んでいきたいと思います。

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