政府のケア労働者賃上げ措置(9000円)が適用されない保育士が生まれる理由は
岸田政権の肝入り政策「ケア労働者への賃上げ(9000円)措置」も審議が各自治体の議会ではじまっています。さいたま市でも予算審議で議論がなされました。
さいたま市は公立保育所の保育士と会計年度任用職員(非正規職員)をその対象外とするとしていますが、その理由はなんでしょか…議会で質疑しました。
2021年2月22日 さいたま市議会2月議会の予算委員会にて
○竹腰連委員
日本共産党の竹腰連です。質問をさせていただきます。
まずはじめに、95ページ、96ページ、人事管理事務事業と給与管理事業について伺っていきたいと思います。
先日の補正予算の質疑の中で、うちの金子議員の方から、政府の保育士と幼稚園教諭への賃上げ措置9,000円に関連した質疑を行いました。その中で市は、公立保育所の保育士への適用は考えていないと、こういう旨の答弁がなされました。確認の意味でまず質問しますけれども、まずこの公立保育所の保育士の皆さんの賃上げを行わない理由をお聞かせください。
○職員課長
お答えいたします。委員御指摘のとおり、総務局長から答弁させていただきましたが、市職員の給与改定につきましては、これまで市人事委員会勧告に基づき対応してきたところでございます。また、現状、常勤職員の保育士の給与水準につきましては、民間の給与水準を大きく上回っていることや、さらに他団体の実施状況などを踏まえた結果、今回の国の経済対策による処遇改善は行わないものと方針を決定したところでございます。以上でございます。
○竹腰連委員
ありがとうございます。委員会でも指摘をさせていただきましたけれども、政府は国会答弁でも、公立保育所も対象なので使ってほしいということを繰り返し答弁をしています。そして、2月17日の事務連絡、私、手元にありますけれども、こちらの方を見ても「公立保育所は対象です」ということや「積極的な活用を」ということで呼びかけていると。それでも実施をしないという、この事務連絡も踏まえても実施しないという理由は何でしょう。
○職員課長
お答えいたします。まず、国の方から、職員課としまして、総務省からの通知も来ております。保育士の引上げ、または看護師の引上げについて来ておりますが、やはり総務省の方でも、地域の民間給与水準を踏まえた上で御検討くださいということが書かれておりまして、繰り返し答弁になりますが、現在、常勤の保育士につきましては民間の給与水準を大きく上回っているところでございます。以上でございます。
○竹腰連委員
さいたま市の公立保育所の給与水準が高いと言いますけれども、平均給与は幾らになるんでしょうか。
○職員課長
令和2年度の地方公務員給与実態調査に基づきますと、賞与を除く月収で38万2,000円ほどとなります。
○竹腰連委員
ありがとうございます。確かに高いなということですけれども、ここからは私の見解、私見なんですけれども、国の方で、一方で保育士の処遇改善を呼びかけ、もう一方では、人事院勧告の中で公務員の給与を引き下げていくということを求めている、まさにあべこべな対応をして、自治体が消極的になってしまっているんじゃないかなと思います。
そして、さらに今後、地方財政計画でも、給与関係費が減額になっているということも一つの理由になっているのかなと。
さらに一番大きいのは、この賃上げ措置が令和4年10月までの措置で、それ以降は国からの予算がまだ担保をされていないと。結局そこで上げてしまったら、その後、つまり令和4年10月以降は給与を下げることができないということで、その場合は市からの持ち出しが増えてしまうんじゃないかということなんではないかなと私はそう理解しているんですけれども、それを出したくないから賃上げ適用を拒んでいるんじゃないかと。それを踏まえてどうですか。
○職員課長
お答えいたします。 確かに委員御指摘のとおり、令和4年10月以降につきましては、地方交付税で措置される予定だということはこちらもお聞きしております。しかしながら、今まで政令市移行後、職員給与につきましては、あくまでも市の人事委員会勧告を尊重して実施した経緯がございますので、今後もそちらの方で職員の給与改定は行っていきたいと考えております。以上でございます。
○竹腰連委員
そもそもこの賃上げの目的というのは、新型コロナや少子高齢化の最前線にいるケア労働者の仕事内容が報酬に対して、それに比して報酬が低いと、十分でないという判断を国がしたため、実施をされるものになります。加えて、先ほどおっしゃいましたけれども、令和4年10月以降も処遇改善効果が継続するように今検討していると、こう答弁をしているわけですよね。
先ほど給与水準は高いといっておっしゃいましたけれども、38万1,000円ということで、この金 額は確かに民間と比較すると高いかもしれませんけれども、全産業平均は40万6,000円なんで、 ここに合わせようと思ったら、やはり9,000円くらいの給与水準の引上げは、これ必要になって くるんじゃないかなと私は思いますよ。
現に政令市では、1市を含む34の自治体が賃上げをもう行っているということもありますので、 実施を強く求めていきたいというふうに思います。ぜひ積極的に行っていただきたい。
そして、続いてなんですけれども、賃上げ措置の会計年度任用職員への対応についてなんですけれども、金子議員の質疑の際に、総務局長が所管課と協議をし他都市と比較をして適切に検討していくと、こういう答弁をなされていました。具体的に今後どのような検討が行われるのかお聞かせください。
○職員課長
お答えいたします。会計年度任用職員の給与水準につきましては、これまで会計年度任用職員を任用する所管課からの協議依頼を受け、給与改定の必要性や他団体の同様の職種の給与水準、または民間の給与水準と比較し、適切かどうか職員課の方で判断しているところでございます。
公立保育所に勤務する会計年度任用職員の保育士の処遇改善につきましては、基本的には保育士の人材確保の状況に基づく給与改定の必要性や他団体の状況などを踏まえ、実施の可否を判断すべきものと考えておりまして、現在、所管課と協議を引き続き続けているところでございます。以上でございます。
○竹腰連委員
これは、急がないとまずいなと思うんですね。というのも、この事務連絡にも書いてありますけれども、賃金改善の開始時期について、令和3年度分の賃金の改善を行わず、令和4年度の賃金のみを改善する場合には、補助の対象外になるということで、もう来月には上げないと、お金が出ないということなんですけれども、早急にやるということでよろしいですか。
○職員課長
今、委員御指摘のとおり、令和3年度中の引上げ、また、こちらにつきましては、なかなか民間の方も就業規則等の変更に時間がかかるということで、令和4年4月に、2月、3月分を一括支給しても補助金の対象となるとお聞きしておりますので、こちらにつきましては、その辺の点を踏まえまして、関係所管課と協議していきたいと思います。以上でございます。
○竹腰連委員
分かりました。いずれにしても公立保育園の保育士の皆さんも9,000円の補助を行っていただきたいと思いますし、会計年度任用職員の職員の皆さんも9,000円の補助を上乗せをしていただきたいと、市に それを強く要望して次に移ります。