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STOP!与野中央公園アリーナ計画(2月議会報告ビラ)

 さいたま市議会2月議会の代表質問で、与野中央公園5000人アリーナ計画について質疑しました。
 旧与野市時代の平成5年に示された中央公園整備計画では文字通り「緑と水辺が豊かな市民が憩える公園」としての整備が計画されていましたが、時を経て令和4年に突如として示された現計画は、次世代型スポーツ施設という名の5000人アリーナが、公園の中心に鎮座し、旧計画で予定していた市民の憩いのスペースが大幅に削減されています。
 旧計画と現計画の図面を比較しながら、そのギャップについて質疑しました。

まるで別物、新旧計画を比較して

○竹腰連 現在、この計画は市民から大きな反発を招いている。最大の要因は旧市時代、市民に周知していた計画との差、かつ現計画が市民に十分に周知されないまま、トップダウン的に進められていることにある。 (※資料掲示)
 このギャップが「計画をやめてほしい」との声につながっている、市はその認識があるのか。また、旧計画に近づける考えは。
○副市長 現計画は、旧計画に近づける工夫をしてきた。具体的には、約1㌶の草原広場の整備、調節池のバスケットコートやアーバンスポーツエリア設置、インクルーシブ広場の整備だ。また、どんぐりの森も可能な限り残している。
 旧計画では、だるま山でのソリすべり、鴻沼川用水を利用した水の広場を「じゃぶじゃぶ池」として遊ぶ子ども、広大な面積を有した草はら広場で家族がピクニックやペットと走り回ることなどが想定されていました。
 答弁では、なるべく旧計画に近づけたとしていますが、違いは一目瞭然、市民の憩いの場ではなく、特定の団体や興行主が利益を上げるための公園になっています。

浮かび上がる疑惑 提案者は誰か

 どう取り繕っても、旧計画と別物の現計画を誰が先導したのでしょうか。
 調査を進めると、清水市長と深い繋がりのあるスポーツビジネス界の大物が先導している痕跡が見えてきました。

○竹腰連 このアリーナ建設を、誰がはじめに提案したのか。
○スポーツ文化局長 もとの中央公園の多目的体育館から、平成5年には多目的アリーナ、平成27年には複合スポーツ施設という形で推移してきた。
 また、国でもスタジアム・アリーナ改革の方針が示され、令和4年の都市戦略会議で決定した。
○竹腰連 これをはじめに提案したのは池田純氏ではないか。池田純氏は、元横浜DeNAベイスターズの初代代表取締役。
 令和元年から令和3年までさいたまスポーツコミッション(SSC)の会長をしていた。
 就任のきっかけは「清水市長に声をかけられた」と話している。また、池田氏はSSC会長と同時期の令和2年にさいたまブロンコス(B3所属のプロバスケットチーム)の代表取締役になった。(現在はどちらも退任)
議会でSSC退任時に会長としての池田氏の実績を問われた際、市は「池田会長からアリーナや自主興行などのアイディアをいただいた」と答弁している。
 さらに、これを裏づけるように、ネットで閲覧できるインタビュー記事では次のようなやり取りがなされている。


問「SSC会長としてどのような取組を進められたか」
池田「スポーツを活用した地域活性化を進めている。その一歩として、私はローカルミニアリーナの新設を行政に提案してきた」とミニアリーナについて言及している。
問「さいたまスーパーアリーナと違うアリーナが必要なのか」
池田「スポーツの都市への発展には、5000〜1万人クラスの地域密着型のアリーナが必要」

と規模への言及もあった。この池田氏が提案者ではないのか。
○スポーツ文化局長 通常の体育館より、アリーナ等を核とした施設の建築により、従来のコストセンターからプロフィットセンターへの変換を望む国の指針もあり、市としてもアリーナ建設が適当と考え、令和4年に決定した。
○竹腰連 池田氏がSSC会長の立場として提案したなら、まだ納得できるが、同時期にさいたまブロンコスのオーナーになっている。
SSC会長という立場を使って、自分がオーナーをしているチームのホームアリーナを造るよう行政に提案をしているようにも見える。これは行政の私物化、利益誘導ではないか。
○スポーツ文化局長 現在、基本方針を策定し公募する段階で、バスケットボールチームが入る、入らないということは、まだ未定だ。
○竹腰連 すでに下準備をめちゃくちゃしている。ブロンコスが入るってみんな分かっている。何を言っているのか。
 ポイントは一連の流れで、清水市長と個人的な関わりが深い池田氏が主導する形で、このアリーナ計画を進めていたこと。このプロセスで、市民が意見を言う場所があったか。どこにもない。
 つまり市民から意見を聞かないで、この計画を進めているという立場に行政が立たなければならないと考えるが。
○スポーツ文化局長 今回の次世代型スポーツ施設については、基本計画を策定する前に、まちづくり協議会にも説明した。よって、意見は反映されていると考えている。


清水市長と池田純氏

 市は当初からアリーナを5000人規模にする理由をプロバスケットリーグ(Bリーグ)の新基準に合わせた形と説明してきました。しかし、質疑で「さいたまブロンコスの参入は未定」と強弁した理由は池田氏がアリーナ計画を主導したことが明確になれば文字通り、行政の私物化を証明することになるからではないでしょうか。
 しかし、この答弁ではアリーナを5000人規模にする理由がなくなります。
 仮にブロンコスが来ないならば、規模縮小も選択肢に入るはずです。市内でもっとも中央区が行政をあげてブロンコスのPRに力を入れているのは周知の事実です。
 今後、検討した結果、ブロンコスがたまたま与野中央公園のアリーナをホームタウンにしたと説明するのでしょうか。あまりにご都合主義です。

○さいたまスポーツコミッションとは
 さいたま市が設立した一般社団法人。 
 スポーツの振興、地域経済の活性化などを目的とし、主な事業として、さいたまクリテリウムの運営などを行なっている。
 現在、自主運営が困難なため、さいたま市から毎年1.5〜2億円の補助金が投入されており、現会長は元副市長で実質的に半官半民の組織体系となっている。

まったく信用できない建築費

  さいたま市はハコモノ建設時の予算が、当初示した予算から数倍に膨張することをくり返してきました。例えば、新庁舎建設予算は当初計画で示した221億円から1年足らずで400億円に膨張しました。
 一般家庭であれば「2210万の予算で家を作ろうとして、好きなものを足していったら4000万円になってしまった」そんなケースでは設計図を変えるのは当たり前です。
 与野中央公園のアリーナ建設ではどうでしょうか。

○竹腰連 今、市民に公表しているアリーナ建設費は約52億円。そこにはくい打ち施工の費用が含まれていないなど、全く信用に値する数字になっていない。
 ちなみに、同規模の青森5000人アリーナの建設費は111億円。本当にこの数字は妥当か。あまりにも過小な見積りではないか。
○副市長 この金額については、その時点での概算額であり、今後事業者との対話を経てさらに精査する。
○竹腰連 他の事業では費用を精査したら、上がるばかりだ。
 工費の膨張の歯止め、ここまでいったら「もうやめる」といった上限額はあるか。
○スポーツ文化局長 上限額については、今のところ決めていない。

 アリーナ建設に限らず、建設費の上限を設けないのは、新庁舎、大宮GCS、浦和駅南高砂開発、地下鉄7号線等の大型開発も同様です。
 結果的に当初予算をオーバーしても、計画を変更せず、市債発行や住民サービスの削減で予算を捻出するやり方は、時代錯誤です。
 その上、アリーナは地元住民の多くから歓迎をされていないという条件までついてきます。現計画に固執する必要があるか、再検討すべきではないでしょうか。

地盤沈下 築5年の住宅に被害

 与野中央公園周囲を歩けば、住宅の境界ブロックは多くのヒビ割れが発生し、雨水管は外れ、室外機が同時に複数台、同じ角度で倒れ込むなど、地盤沈下の影響を実感します。発生している被害への対応を質疑しました。

○竹腰連 現在、与野中央公園の周辺整備として埼玉県が手がける調整池の工事と、市が進める付替え道路の工事が進められている。その中で、軟弱地盤への施工なので、周辺住宅への影響が既に出ている。(※資料掲示)
 これらの住宅への補償や現況調査が必要ではないか。

○副市長 議員の指摘通り、家屋のブロック塀の一部に亀裂があることを確認した。今後は、その亀裂等が工事に起因するかを明確にするため、専門業者による調査を行う予定。
 工事による影響が判明した場合には、適切に補償する。

○竹腰連 工事が原因だと分かった上で、進めれば、さらに大きな被害出る。それでも進めるというのはおかしいのではないか。
 仮にこのまま進めるとしても、施工業者、さいたま市、住民の3者で連絡会を開き緊密な意見交換して、具体的な対応を協議すべきだ。

○都市局長 工事に起因する破損等が認められた場合は、事業者と市で速やかに報告の上、現場復旧に努め、周辺の皆様に説明する。

○竹腰連 (工事を)やった後に報告されたって意味がない。事前に対応を協議しないと困るわけだが、検討すべきではないか。

○都市局長 どう対応をするかは、事前に説明させてもらい、どういう復旧方法が取れるかを含め、説明していく。

 このやり取りは埼玉新聞でも報道されましたが、当初の「住民が工事との因果関係を証明しろ」としていた市の態度を転換させ、調査と補償を勝ち取ったのは大きな一歩です。
 ただし、補償すれば計画を進めてもいいという「カネで解決」のお墨付きにするわけにはいきません。そもそも、補償金も税金ですから。

サブアリーナは適正規模なのか

 5000人アリーナとは別に建設されるサブアリーナは現行の与野体育館の代替施設です。
 しかし、その面積は与野体育館と同規模とされています。現在の利用状況に照らして、適切なのかを質疑しました。

○竹腰連 現在の与野体育館の使用率は過去5年、96%以上だ。サブアリーナは与野体育館と同じ面積で、変更点は観覧席を設けること。
 しかし、それではメインアリーナとの類似性は高まらないか。観覧席をつければ、使用率が増えるのでは。この面積でいいと考えているのか。

○副市長 サブアリーナは、現在の与野体育館の機能を継承し、市民が日常的に運動できる競技場を整備する。
 また、サブアリーナには新たに200〜500席の観客席を設置するなど、市民のスポーツ大会等の開催や、スポーツ以外にも多目的な利用が図られる空間づくりを行う。
 施設は市民が活用できる交流拠点としての役割を果たしたいと考えており、メイン、サブアリーナの規模や機能は、現状の方向性で整備したい。

○竹腰連 私が聞いたのは面積の妥当性。先ほど、観覧席つけるとか何とかいろいろ言っていたが、サブアリーナの面積が与野体育館と同じでもいいとする根拠は。

○スポーツ文化局長 市民の「するスポーツ」の需要に対する受皿の確保は、与野体育館も市民の体育館としての受皿になっているが、さいたま市スポーツ施設の整備方針に基づき、全市的な視点から整備に努める。

○竹腰連 全市的な話なんかしていない。与野中央公園の問題について聞いている。きちんと答えて欲しい。

○スポーツ文化局長 サブアリーナは、現状の与野体育館と同様だが、メインアリーナも使えるので、市民の利便性は上がると考えている。

 今でも、利用率高く利用が困難な与野体育館を、より広くしない明確な根拠は最後まで示されませんでした。
 苦し紛れに、メインアリーナも市民が使えると答弁して正当性を主張しましたが、観覧席が200〜500人の規模のサブアリーナと5000人のメインアリーナの利用料金が同等であるはずがありません。
 もとより、メインアリーナは「見るスポーツ」と「その他イベント」での使用が中心で「空いてりゃ貸すけど、料金はちゃんと払ってね」程度の市民利用の拡充で利便性が上がるのでしょうか。

市長の説明責任

○竹腰連 市長に伺う。これまでの説明会は担当職員が来て方針を話すのみで、本質的な回答が得られないまま会議が進み、市民に説明したというアリバイづくり的な議論が続いている。
 市長、市民は市長との対話を望んでいる。直に市民から意見を聞いて、話し合いの中で合意形成をしていく必要があるのではないか。
 私は市長が平場で、市民の意見を直接聞くべきだと思っている。市長が市民に対して説明する機会を持つ考えは。

○副市長 与野中央公園の整備は、自治会の会合等で、市長自ら意義や検討状況などについて説明し、率直な意見の交換を行なってきた。
 今後も市長を先頭に関係部局が連携し事業を進め、事業の進捗等に応じ、市民に説明する。

 最後に市長が直接市民に対して説明すべきと求めましたが市長は、最後まで答えようとしませんでした。
 この間、市長は自分にとって都合のいい場所では説明するものの、反対が多い案件(義務教育学校や市民プールの削減など)では直接説明することを避けてきました。与野中央公園アリーナ計画でもその姿勢が露見した形です。
 市長が自ら市民を説得する。その努力もしないまま、中央区の中心にある広大な公園のあり方を決めていくことは許されません。
 引き続き、この問題に全力で取り組み、市民が誇れる与野中央公園の整備を求めます。

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