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さいたま市議会12月議会の採択表と討論
2024年さいたま市議会12月議会で会派を代表して、本会議討論を行いました。各会派の採決態度と私たちが反対をした議案と採択を求めた請願の討論をご紹介します。
議案第172号 議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例の一部改正
議案第173号 特別職の職員で常勤のものの給与に関する条例の一部改正
議員及び特別職の期末手当を0.05月引き上げる本条例は、議員の年間報酬を1392万円に増額し、市長の年間報酬を2350万円に引き上げるものです。
これに対して、市民の平均給与所得額が395万円である中、それぞれの報酬は既に十分な額といえます。
特別報酬審議会の判断は僅差でしたが、議員報酬を自身の議決で引き上げることには反対です。
また、昨年度、清水市長は物価高騰による市民生活への影響を考慮し、給与月額据え置きました。その判断の根拠となった社会経済情勢は現在も変わっておらず、少なくとも据え置くべきと考えます。
議案第186号 市営馬宮住宅建設建築工事請負計画
さいたま市は約2,700戸の市営住宅を有し、入居率は9割に達しています。市営住宅は、DV被害者や犯罪被害者等への住宅支援においても重要な役割を果たしており、長寿命化計画でも需要の増加が指摘されています。
しかし今回の計画は、馬宮住宅を現在の216戸から120戸へと大幅に削減するものです。現在の高齢単身者・生活困窮世帯への支援ニーズを考えれば、戸数を増やすことこそ必要です。計画の再検討を求めます。
議案第194号 沼影公園解体工事請負契約の請負契約変更
沼影公園のレジャープールは、市民から存続を求める声が多くあったにもかかわらず解体が開始されました。プール撤去の理由とされる義務教育学校の建設計画についても、多くの市民が納得していない状況です。
このように市民の意見を十分に反映せずに進められている解体工事の契約変更には反対いたします。
議案224号 補正予算(第7号)
武蔵浦和学園義務教育学校については、住民・保護者・学校関係者から多くの疑問と不安の声が寄せられています。
今回の事業費総額には、教室と廊下のパーテーションの遮音性向上のための設計変更による増額も含まれています。
今後も検討が進むにつれ、さらなる変更や事業費の増額が予想されます。また、3校舎分離方式による運営計画そのものに無理があり、大里校舎、内谷校舎を1-4年生のみの校舎とすることへの批判も根強く存在します。計画の変更を求めます。
市民アプリ活用事業は、国の補正の目的である物価高対策というより、さいたま市みんなのアプリのダウンロード数を増やすことが主目的になっているのではないでしょうか。
現在のダウンロード数8.3万人が目標である20万ダウンロードに達しても、人口の7%程度でアクティブユーザー数や市外の方でも利用できることを考えれば、市民割合はさらに減ります。
物価高騰対策は、より広範な市民を対象とした、水道料金の減免などの対策を取るべきと考えます。
※補正予算(第6号)=与野中央公園アリーナの債務負担行為についての反対討論は前回のnoteでご紹介しています。
請願第30号 さいたま市でゆきどといた教育を実現してください
この請願は、教員の未配置解消、中学校での35人学級実現、特別支援学級の定数6名化を求めるもので、7260筆の署名とともに提出されました。
教育委員会も少人数学級の効果を認めており、他の政令市の多くが独自の少人数化政策を実施しています。市独自の予算で教員確保と教育環境の改善を進めることは、さいたま市の責務です。よって、請願の採択を求めます。
請願第35号 中学校の体育祭は、酷暑を避けた日程で行ってください
党市議団は、深刻な暑さ対策として7月19日に「学校での熱中症対策」の要望書を提出し、暑さ指数の遵守と、運動会・体育祭を子どもの健康が守られる時期に開催することを強く求めてきました。よって、採択を求めます。
請願31号 小規模介護事業所への支援と介護職員の待遇改善を求める請願
介護現場では人材不足と経営難が深刻化しており、全国の介護事業所の倒産件数は145件と過去最大です。本市でも、令和3年度から令和6年度10月までの間に289件の事業所が廃止されています。
特に小規模な訪問介護サービス事業所は、4月の報酬改定による引き下げでさらに経営が厳しくなることが予想されます。
このもとで、世田谷区などでは、自治体独自の支援策が広がっています。また、ヘルパーやケアマネージャーの人材不足も危機的で、処遇改善が急務です。よって、採択を求めます。
請願29号 核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書を日本政府に提出することを求める請願
2017年に採択された核兵器禁止条約は、人類史上初めて核兵器を違法化した画期的な条約です。私は実際、核兵器禁止条約に関する国連会議に市民代表として参加し、条約作成の過程を生で見てきました。
その際、今回ノーベル平和賞を受賞された日本原水爆被害者団体協議会の方々とお会いする機会も得て、被爆者の方々の切実な思いに直接触れることができました。
先日のノーベル平和賞授賞式で、日本被団協の田中熙巳代表委員は、13歳で被爆した経験を語られました。「たとえ戦争といえども、こんな殺し方、傷つけ方をしてはいけない」という言葉には、核兵器の非人道性が凝縮されています。
また、「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願い」という訴えは、私たちの心に深く響きます。
現在、核兵器禁止条約の批准国は94カ国、署名国は73カ国・地域に達しています。
しかし、唯一の戦争被爆国である日本は、いまだに署名すら行っていません。このような状況下で、ロシアやイスラエルによる核兵器による威嚇が行われる中、日本が条約に署名・批准することは、核兵器廃絶に向けた世界的な動きを加速させる重要な契機となるはずです。
田中代表委員は「原爆被害者の現在の平均年齢は85歳。10年先には直接の体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれない」と警鐘を鳴らしています。
来年2025年は終戦から80年という節目の年となります。被爆者の方々の高齢化が進み、その体験を直接語れる方々が年々少なくなっている現状を考えると、一刻の猶予もありません。
全国では既に377の自治体が、国に対して核兵器禁止条約への署名を求める意見書を提出しています。
平和都市宣言を行い、平和首長会議にも参加するさいたま市として、被爆者の方々の切実な願い、そして「核兵器も戦争もない世界の人間社会」という普遍的な理想に応えるため、この請願を採択すべきです。
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