ブックオフ トレカフェス2023 in Shinagawa DAY2 決勝戦 オチャッピィVSはんちゃん/青賢【デュエマ】
多くのプレイヤーで賑わっていた会場も、既に撤収が始まっていた。パイプ椅子やテーブル、パーティションが片づけられ、参加者も一人また一人と立ち去ってゆく。祭りの終わりとは、いつだってどこか寂しいものだ。
だが、まだこの日最後の、そして最高峰の戦いが残っている。それを見届けようと、わずかに残ったプレイヤー達が一つのテーブルに集まっていた。
280人の頂点を巡って闘うのは、オチャッピィとはんちゃん/青賢。両者とも、DMPランキング上位を目指して日々活動している、所謂ランカーだ。ここで勝って優勝すれば、得られるポイントは破格の4800pts。ライバルに差をつける絶好のチャンスなのである。
しかもオチャッピィはなんと、このトレカフェスのDAY1で優勝を果たしたばかりなのだから驚くほかない。彼にとっては二日連続の決勝戦である。この勢いのまま二連覇を果たし、ポイントを荒稼ぎすることができるのか。
対するはんちゃん/青賢も、この好機を逃す気はさらさらないようだ。景気づけに、とこんな宣言をした。
はんちゃん/青賢「これ勝ったら明日大学行きます!」
いや、そこは普通に行ってくれ。同じ大学生として心配である。
そうこうしている間に双方の準備が整った。1/280、4800pts、そしてこの日の「最強」の座を賭けて。
デュエマ・スタート!!
Game
予選順位の差により、先行はオチャッピィ。《サイバー・K・ウォズレック // ウォズレックの審問》をマナチャージ。
DAY1でオチャッピィを優勝へ導いた【闇単アビスロイヤル】。二度目の決勝戦に姿を見せたのも、やはりこのデッキだった。
対するはんちゃん/青賢は《堕呪 エアヴォ》をチャージして1ターン目を終える。使用デッキが環境上位と名高い【水闇魔道具】【水魔道具】のいずれかであることがほぼ確実となった。
オチャッピィは2ターン目をマナチャージのみで終え、3ターン目に《漆黒の深淵 ジャシン帝》をバトルゾーンへ。
はんちゃん/青賢は2、3ターン目連続で《堕呪 ゴンパドゥ》を使用。リソースを貯めこんでゆく。
先にゲームを動かしたのはオチャッピィだった。4ターン目、《アビスベル=ジャシン帝》召喚!
これで墓地からの連続アビスラッシュが可能となる。とはいえ、オチャッピィの墓地には《漆黒の深淵 ジャシン帝》で落とした《サーイ=サイクル》が1枚あるのみ。マナも使い切ったため、ここでターンエンド。
ターンの回ってきたはんちゃん/青賢は小考。オチャッピィの手札は2枚。既にバトルゾーンに出てしまった《アビスベル=ジャシン帝》を除去するのは現実的ではない。下手にどかそうとすれば、捨てられた手札を起点にアビスラッシュで攻め込まれる危険性すらある。
熟慮の末、はんちゃん/青賢が選んだのは《堕∞魔 ヴォゲンム》の召喚。ターン終了時に山札の上から13枚をごっそり墓地へ置いた。《「無月」の頂 $スザーク$》の宣言は……ない。次のオチャッピィのターンを凌ぎきり、増えた墓地から巻き返そうという選択だ。ロングゲームになれば、抜群のリソース量とコントロール性能を誇る【水闇魔道具】の独壇場である。
こうなるとオチャッピィは早期決着に向けて動かざるを得ない。まずは乏しい墓地を肥やすべく《邪龍 ジャブラッド》を設置。効果で山札の上から2枚を墓地へ。捲られたのは《ハンマ=ダンマ》2枚だ。
更にアビスラッシュで《ハンマ=ダンマ》を召喚し、墓地を5枚まで増やしつつ《堕∞魔 ヴォゲンム》を破壊した。
これによって《漆黒の深淵 ジャシン帝》もクリーチャーに変身。《アビスベル=ジャシン帝》、《ハンマ=ダンマ》と合わせて計5打点となったが、ダイレクトアタックにはあと1体足りない。
双方の墓地を確認しながら、念入りにプランを組み立てるオチャッピィ。とどめを刺しきれない以上、無策での攻撃は裏目に出かねない。だが、《邪龍 ジャブラッド》のおかげで攻撃する度にオチャッピィの墓地は増えていく。リスクリターンの分水嶺を慎重に探る。
オチャッピィの結論は……《ハンマ=ダンマ》での攻撃。《邪龍 ジャブラッド》の効果で山札の上から2枚を墓地へ。
ここで《サイバー・K・ウォズレック // ウォズレックの審問》が墓地に落ちた!!
途端に身を乗り出すオチャッピィ。対照的に、天を仰ぐはんちゃん/青賢。ギャラリーも色めき立つ。この局面で唯一の解答となり得るのが≪サイバー・K・ウォズレック≫だったからだ。
《ハンマ=ダンマ》の攻撃が通り、続いて《漆黒の深淵 ジャシン帝》をシールドに向かわせるオチャッピィ。攻撃時に≪サイバー・K・ウォズレック≫そ墓地から呼び出し、自分の墓地の《邪侵入》と……はんちゃん/青賢の墓地の≪堕呪 ブラッドゥ≫を詠唱!!
2体目の《アビスベル=ジャシン帝》を呼び出しつつ、はんちゃん/青賢の墓地をリセット。墓地を起点にする【水闇魔道具】のゲームプランを完全に破壊してしまったのである。
残された2枚のシールドまで《アビスベル=ジャシン帝》できっちり詰め、ターンを終えるオチャッピィ。はんちゃん/青賢は手札とバトルゾーン、空っぽになった墓地を見つめ、絞り出すように呟いた。
はんちゃん/青賢「無理やん……」
デッキに手を置き、投了。
オチャッピィ「よっしゃあ!9600!」
がらんとした会場に、オチャッピィの快哉が響き渡った。
Winner:オチャッピィ
はんちゃん/青賢「明日大学行かないわ……」
細い可能性を通されたはんちゃん/青賢。2週間使い込んでいるという【水闇魔道具】を相棒に決勝まで駒を進めたものの、あと一歩届かなかった。
だがしかし、このCSは4.8倍。2位の選手にも2400ptsという並みのCSでは手の届かない数値のポイントが付与される。今後もはんちゃん/青賢は【水闇魔道具】を手に、ランキングを闘い続けていくのだろう。
一方、この規模の大会での二日連続優勝というトレカフェス史上初、どころかデュエル・マスターズ全体を見回してもレアケースの偉業を成し遂げたオチャッピィ。彼が両日使用した【黒単アビスロイヤル】についてインタビューすることができた。
オチャッピィ「最初は『最強位決定戦』のプレイマットと合わせたらカッコいいじゃんと思って使ってたんですけど、スピードも安定感もあっていいなって。【闇自然アビス】とかも試したんですけどいまいち安定しなくて……。環境から意識されなくなっていたのも大きいです」
オチャッピィ「DAY1のリストからは1枚だけ変更があって、《絶望と反魂と滅殺の決断》が《ハンマ=ダンマ》4枚目になりました。結局欲しい場面もなかったので、これは正解でしたね」
その1枚増やした《ハンマ=ダンマ》が勝利を運んできたわけだから、なんとも胸踊る話である。
両日合わせて9600ptsもの大幅ブーストを果たしたオチャッピィの今後の活躍から目が離せない。
優勝おめでとう、オチャッピィ!
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