DMカバレージトレーニング 第二回『終末ガチャンコ大戦 7軸ガチロボVS10軸ガチロボ』
はじめに
皆様こんばんは、たけじょー(@takejoe_dm)です。前回は大型大会の配信からカバレージを書かせて頂いたのですが、今回は趣向を変えてより身近なカジュアル対戦を題材に一本仕上げてみました。競技シーンのヒリつきとはまた異なる盛り上がりを感じ取れる、そんな文章になっていれば幸いです。
感想・ご指摘などございましたらTwitterかコメント欄にどしどしお寄せください!(カード画像は公式サイト(https://dm.takaratomy.co.jp/)よりお借りしました。)
都内某所、カラオケボックスの一室にて。
「ガチロボ、”分かってきた”かもしれん」
デッキを眺めながら呟いたのはききょ~だ。筆者の(セレクションデッキ『火水覇道』をギフトテロするという)勧誘に応えてデュエマに復帰してくれた聖人である。この日は新たにセレクションデッキ『7軸ガチロボ』を手に入れ、いくらかの慣らし運転を済ませたところであった。
「ならそろそろ「本物」をぶつけてやりますか」
と、デッキケースを漁り始めたのはたかりん。「ガイアッシュ覇道」「5Cコントロール」といった緻密なデッキから、「闇自然ケンジ」「モルトNEXT」といった所謂「捲りデッキ」まで幅広く使いこなすプレイヤーだ。
どうやらこの男、現代デュエマ初心者のききょ~にミラーマッチによるガチロボの洗礼を受けさせようとしているらしい。
……実に、面白い。
筆者はかけてもいない眼鏡の位置を直しつつ、いそいそとメモの準備をするのであった。
GAME
先行はセレクションデッキ『7軸ガチロボ』のききょ~。《レレディ・バ・グーバ/ツインパクト・マップ》の呪文面でパーツを探しつつ、3ターン目の《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》から動き出す。初動を兼ねたツインパクトカードによる足回りの安定感が、7軸の持ち味だ。
「まあドローはさせないけどw」
一方、謎の自信を見せるたかりん。それもそのはず、彼の使うガチロボは10軸。安定性と引き換えに圧倒的な爆発力を得ている10軸だが、この対戦カードにおいてはガチンコ・ジャッジで勝率90%という更なる強みを発揮する。
しかし、ここでたかりんのトップデックはまさかの《ガチャンコ ガチロボ》!見事なフラグ回収で1ドローを許してしまった。途端に盛り上がる対戦テーブル。
勢いづくききょ~は続くターンに更なる《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》を唱え、マナを6まで伸ばすことに成功。
たかりんも《偽りの名 13/種族選別》、《審絆の彩 喜望/キーボード・アクセス》とツインパクトの連打で追いすがるも、先手後手の差を埋めるには至らない。
ーーききょ~の先行5ターン目、いよいよ「ヤツ」が動き出す。
《ガチャンコ ガチロボ》、出撃!
ガチャの結果は《レレディ・バ・グーバ/ツインパクト・マップ》《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》《ボルバルザーク・エクス》!
直接の打点こそ並ばなかったものの、《ボルバルザーク・エクス》によって再び7マナが使用可能となる。思わず「殿堂入りってやばいわ」と声を漏らすききょ~。
「捲り」はまだ止まらない。起き上がった7マナで《キング・マニフェスト》を召喚!追加のガチャの中身は……
《ガチャンコ ガチロボ》2号機!?
「「やば」」
これには両選手も驚きを隠せず、見事なハモリを見せる。今度の3枚は《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》2枚と《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》だ。
これでききょ~のクリーチャーは総勢9体。たった1ターン、たった1枚が生み出した大軍団が、強烈なプレッシャーを生む。
しかしながら、このターン攻撃できるクリーチャーは《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》《ボルバルザーク・エクス》の2体。9体の踏み倒しを経て尚、《覚醒連結 XXDDZ》《轟く革命レッドギラゾーン》といった切り込み隊長を呼び出すことができなかったのだ。迂闊な攻勢は危険と判断し、ここはターンエンド。
幸運にもターンが返ってきたたかりんのマナは6枚。……7軸でも10軸でも、ガチロボデッキのやることはただ一つだ。
「マナ加速してガチロボ。それがこのデッキの全てです。」
ガチロボをガチロボが迎え撃つ、無法のゲームが幕を開けた。
たかりんが勢いよく山札を3枚めくると、現れたのは《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》《「俺」の頂 ライオネル GS》そして《めっちゃ! デンヂャラスG3/ケッシング・ゼロ》!
《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》の効果でききょ~の《ガチャンコ ガチロボ》が破壊され、更にマナゾーンから《天命龍装 ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》が墓地送りに。
これによりききょ~は水マナ0、手札0。3体目の《ガチャンコ ガチロボ》への道は限りなく遠くなってしまった。
一方のたかりんは《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》のEXライフ含む6枚のシールドが《「俺」の頂 ライオネル GS》によってすべてS・トリガーになっているというガチガチの防御態勢。おまけに《めっちゃ! デンヂャラスG3/ケッシング・ゼロ》効果で「シールドいらねえー!」と叫ぶ余裕すら見せる。
またしても1枚の《ガチャンコ ガチロボ》が試合の流れを変えたのだ。
だが、まだゲームは終わってはいない。たかりんの敷いた防衛網は確かに強烈だが、ききょ~の場には召喚酔いの解けたクリーチャーの軍勢が控えている。その数、実に8体。攻撃できない《レレディ・バ・グーバ/ツインパクト・マップ》を除いても、十分にダイレクトアタックが見据えられる数だ。
ーーそして、その中には《ガチャンコ ガチロボ》の姿もある。ならば、選ぶべき道は一つだ。ききょ~の目に決意の光が灯る。
ききょ~、6ターン目。
山札上から引き当てた《レレディ・バ・グーバ/ツインパクト・マップ》でたかりんの《ガチャンコ ガチロボ》を打ち取り、そのまま攻撃に移る。一番槍は当然、《ガチャンコ ガチロボ》!
ききょ~が、たかりんが、そこにいた全員が息を詰める。カラオケボックスの喧騒すら届かない、運命の一瞬。
導かれた3枚はーー
《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》《DOOOPPLER・マクーレ》……!
ゲームエンド級の切札こそ現れなかったものの、いぶし銀の活躍を見せるのは《DOOOPPLER・マクーレ》だ。登場時能力でブロッカーの《「俺」の頂 ライオネル GS》をタップ、風穴を開ける。更に攻撃時のマジボンバー7でさらなる展開を狙うこともできるのだ。
そのままガチロボでシールドをW・ブレイク。
だがしかし、たかりんの場には《「俺」の頂 ライオネル GS》が鎮座している。それが意味することとはつまり、全シールドの地雷原化……否、ガチャマシーン化だ。ガチャを追い求めた「本物」が、ききょ~に牙を剥く。
S・トリガー、《「俺」の頂 ライオネル GS》《八頭竜 ACE-Yamata/神秘の宝剣》!
G・ストライクで《DOOOPPLER・マクーレ》を行動不能にし、さらにS・トリガーでバトルゾーンにパワー13000のブロッカーとして着地する《「俺」の頂 ライオネル GS》。
手痛いカウンターを決められたききょ~だが、その攻め手は緩まない。残るクリーチャーは7体。《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》で、シールドをW・ブレイク。
……S・トリガー、《「俺」の頂 ライオネル GS》《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》!
G・ストライクで2体目の《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》が停止、《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》効果で《キング・マニフェスト》が破壊される。
続く《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》の攻撃を《「俺」の頂 ライオネル GS》が受け止めた。
「……いや、厳しいな~」
思わず声を漏らすききょ~。残るクリーチャーは《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》と《ボルバルザーク・エクス》のみ。たかりんのシールドは3枚、更にブロッカーの《「俺」の頂 ライオネル GS》が睨みを利かせ、おまけに全てのシールドはS・トリガーだ。状況は極めて厳しいと言わざるを得ない。
だが、まだききょ~は勝負を諦めてはいなかった。
「これしかないんじゃない?これしかないでしょ!」
《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》で攻撃!
……ききょ~がこの状況下でダイレクトアタックを狙うためには、《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》の攻撃時効果で残るシールド全てをブレイクする他にない。
それすなわち、7軸ガチロボが10軸ガチロボにガチンコ・ジャッジで3回連続勝つという奇跡。
……無謀とも言える挑戦である。ききょ~が3回ガチンコ・ジャッジで勝つには、たかりんの山札が上から3枚すべて《ガチャンコ ガチロボ》でなくてはならない。たかりんの公開領域にあるガチロボは1体のみなので可能性は残されているが、それでもとてつもない難易度のチャレンジには違いない。それに加えて、ブレイクしたシールドからのS・トリガーも躱さなければならないのだ。
だが、ききょ~は「捲る」ことを選んだ。デッキを、己を信じて、確率の崖に飛び込んでいく。その姿、まさに勝負師。
両雄、最後の激突!
「「ガチンコ・ジャッジ!!!」」
7vs10。
そこから先は一瞬だった。
《R.S.F.K./オールイン・チャージャー》を《「俺」の頂 ライオネル GS》がブロック。続く《ボルバルザーク・エクス》の攻撃でついにたかりんのシールドは0になったものの、S・トリガーで《ガチャンコ ガチロボ》と《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》が姿を現す!
ダメ押しと言わんばかりに《ガチャンコ ガチロボ》が山札から《終末縫合王 ミカドレオ》を呼び出したことで、長い長い戦いにも終末がもたらされたのだった。
WINNER たかりん
運と運をぶつけ合う死闘を終えて、両プレイヤーは会話を弾ませる。
「ガチロボ、やっぱりバカデッキすぎるな」
「それはそう。バカデッキだけど、これが良いのよ」
「それはそうだわ!」
2人は笑いながら、次なるガチャの為にシャッフルを始めるのだった。
構築、プレイスキル、そして運。デュエル・マスターズにおいて、勝敗を決めるのはどれか一つではなく、それら全てだ。
だが、だからこそ、時には運だけに全てをベットするのも面白い。その快感に魅せられて、人は山札を捲るのかもしれない。