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Tinderで知り合った女の子は入院していた(後編)

こんばんは!たけひろです!

おかげさまで前編を公開してからいろいろな人に「続き気になる」とか「後編はやく書け」とか言われました。ほんとにほんとにめちゃくちゃありがとう。note書いてよかったです。

前編読んでない人は5分くらいで終わるのでぜひ読んでください!




僕は彼女のその告白がショックすぎて、何も考えることができなかった。そんな様子を見てアキちゃんは「もう、いこっか」と軽く言って車いすを動かした。

病院内のコンビニの前で僕たちは別れた。
多分うまく笑えてなかった。
「じゃあね!」と笑うアキちゃんの顔は、なんでか知らないけど、真っ白な病院内と合ってないな、そう思ったのを覚えている。


家に帰ってからめちゃくちゃ病気について調べた。症状、体験談、完治するまでの期間。だいじょうぶ、治る人だっているんだ。


そこからアキちゃんとは会えなかった。
理由は明白だ。僕は心配でたまらない。

「退院したら何したい?」
「外にスポーツしに行きたいなー」
「じゃあスポッチャでも行く?」
「いや大丈夫かな笑」

普通に断られたときに、友達でも何でもないということを自覚した。ラインだったら電話とかできるけど、Tinderは電話もできなければ写真も送れない。僕はただの「出会い系で知り合った、ちょっと優しいだけの男」なんだと、1人で家で泣いた。

連絡が途中で止まった。

ひどく不安なまま、でも自分の立場を自覚して動けないまま、1日、1週間、2週間と時間がたった。





テレビで桜の開花予想を盛んに報道するようになり、時期は3月を終えようとしていた頃、ピコん、とスマホが鳴った。

「退院が決まった!」

良かった。ほんとうに良かった。神様ありがとう。町屋町のぼろい神社に感謝しつつ、僕はすぐに連絡を取り、退院する前に会うことに決まった。

ロマンチスト的な一面があるので、僕はやはり退院には花束がいいだろうと、僕は一度も使ったことのない寂れた商店街の花屋に向かった。

「へい、らっしゃい!」

いいね、俺にはこれぐらいの花屋がちょうどいい。

「今度友達が退院することになって、いい感じの花ありますか?」
「うーん…最近ひまわりは入荷したけどね」
「(ひまわりとアキちゃん似合いそうだな)」
「ひまわり安くしとくよ!」

半ば強引におっちゃんに押され、僕はひまわりを手に入れた。季節にそぐわないそのひまわりを、僕は自転車をこぎながら、大事に大事に病院まで運ぶ。


待ち合わせはいつもの病院内のコンビニ前。手にひまわりを持ってることで、他の待ち合わせの患者さんにじろじろと見られ、恥ずかしさと緊張で死にそうになっていた。

ひまわりは最初にさりげなく渡そうと道中で決めていた。

アキちゃんが廊下から出てきて、思わず背中にひまわりを隠してしまったけど覚悟は決まっている。おっちゃん、俺は行くよ。

「退院おめでとう」
「ありがとう!」
「・・・」
「これ、退院祝いに」

おっちゃんの想いも少しこもってるであろうひまわりを渡したとたん、アキちゃんの顔は曇った。


「病院って生花ダメなんだよね」


ダサすぎて死んだ。
ラインの一言で告白して振られた時よりも、マルイのことオイオイと呼んでたことよりも、圧倒的にダサかった。

ひまわりをバサバサにしながら近くの公園に向かい、とりあえず写真を撮って、アキちゃんへの想いは海へ捨てた。

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それからアキちゃんとは連絡を取っていない。



家で育てていたひまわりは、夏を見る前に枯れた。





読んでいただき本当に本当にありがとうございます! サポートしようかな、と思っていただいたお気持ちだけで十分すぎるほど嬉しいです。いつか是非お礼をさせてください!