東京のあなたへ
なんとも大層なタイトルをつけたものの、書こうとしてるのは別に大したことじゃない。東京に住むあなたのことを、道端を歩いている時や、勉強の息抜きでスマホを見たり、車を運転してる最中に、ふと思い出す瞬間が増えてきた。
これを書いている今は14時を5分ほど過ぎて、さっき食べたおにぎりが消化され、少し眠いと感じている。眠気覚ましに外へ出れば、この灰色の街と対比した、どこまでも澄み渡った青空が頭上に広がる。君がいる東京も今日は一日中晴れるらしい。
窓辺から燦燦とふりそそぐ陽の光に照らされ、ウトウトと眠そうな姿が目に浮かぶ。
「恋愛において、一緒にいて楽しい人よりも、離れたときに寂しいと感じる人を選びなさい」という言葉をどこかで見かけたことがある。寂しいとまではいかなくても、ふとした時に「いま何してるのかな」と考えてしまうことは、つまりはそういう事なんだろうか。
思い出すあなたはいつも幸せそうな表情をしている。なんならちょっと美化されている。実際に会った時に「あれ、実物こんなんだっけ?」と思わず笑ってしまうに違いない。でもそれを含めて僕は会える日が待ち遠しい。
会ったら何を話そうか。
話したいことがたくさんある。
友人が籍を入れた。余興を頼まれてるから、秘密だけど、渾身のギャグを練習している。駅前でオムライスが美味しい喫茶店を見つけた。妹とドライブをした。あと少し痩せた。
LINEを取り出すと、" またね " の3文字と適当なスタンプで会話が終わっていた。なんて送ろうか少し悩んで、途中までメッセージを打ち込んだ。でもやっぱりやめた。半端に文章を書き入れたまま、電源を落としてポケットにしまった。なんかもったいない気がした。
代わりにnoteを開いた。
noteであれば、強制しない限り、読むのは相手の完全な自由だ。投稿ボタンを押して、インスタのストーリーで更新した旨を知らせれば、あとは海に漂うメッセージボトルのように、目的の相手に届いたりまたは届かなかったりする。
どれだけ時間がかかってもいいし、色んな人の手に渡ってもいい。ゆらりゆらりと世界を巡り、このボトルがいつの日か東京のあなたの元へ届いたら嬉しいなあ、なんて
どうしようもないことを考えながら、僕は東京からうんと遠く離れた地で生きています。