桜の指示(サクラディレクション後書き)


先日このような曲を出しました。

【v flower】サクラディレクション【feat.橙ミャオ】

春のボーカロイドコレクション2022というイベントに参加した際に発表した曲です。(以下、サクラと略称)

作詞作曲は僕。
編曲ミックスは主にYouTubeで活動されている作曲猫こと橙ミャオさん。
ギターは幽さん。
イラストはiSLEさん。
動画はやなつさん。
そしてv flowerの声を担当して頂いたのは咲真亞紗楽さんです。

イラストと動画は前作「月花ノ怪」に引き続き…というとまた少し違い、実はサクラの方を先に(2021年冬の最後頃に)イラストを描いて頂いてました。

月花ノ怪/feat.可不(以下、月花と略称)

月花とサクラは元々三年前に作ったUTAU曲のリメイクとなっております。(サクラはお蔵入り状態だったので実質今回がオリジナルとなります)

月花のβ版(重音テト版)を発表の後、5分の重厚なイメージの楽曲とは対照的な軽いノリのボカロ曲を作ろうと考えました。
その時のリファレンスとして幾つかのアニソンを挙げ、アニメのオープニング曲のようなボカロ曲を目指して制作を開始。
最終的に軽いノリかと言われると…うーん…。
まぁ、良い曲になったから結果オーライ。

アニソンと言うからには具体的な題材が必要だろうと考えて8年以上妄想していた自作のライトノベルがアニメ化したつもりで作りました。

ラノベのあらすじを簡単に書くと、

「妖怪や都市伝説といった怪異が実在し、1000年にも渡りそれら怪異と対峙するために歴史の裏で暗躍した妖怪討伐組織や、近代に入ってから怪異の正体を科学的に探る為に極秘裏に生まれ今や討伐組織よりも力を持つ研究チーム、両者がしのぎを削っている世界で、主人公の女子高校生がとある怪異と出会う事により大きな歴史の渦に巻き込まれてゆく」

みたいな感じ。

書き始めた当時は(ちょっと化物語リスペクトが強いが)これは傑作になると息巻いていたけど、書いている最中にとある漫画作品がブームになった事を受けて急に書く気が薄れてしまいました…

でもその時に生み出したキャラクターや設定は気に入っているので、今でも頭の中で物語を繰り広げています。

主人公の女子高生というのはMVに登場する子、名は「小野桜奈(おの おうな)」と言います。
彼女は文学少女…というイメージを周囲に植え付けたいお年頃の意識高い系学生。お気に入りのブックカバーをいつも持ち歩いています。

ここでは語っていない事も含めて(脳内で妄想した)ラノベのオープニングに合う要素をざっくりと並べると

・青春の美しさ、愚かさ、儚さ
・思春期のありとあらゆるものがハッキリしない様(憧れ、性別)
・桜

となったのでこれらを元に楽曲の制作を始めました。

三年前に作った曲というのもあって、細かい制作順序は覚えてないのですがサビから作り始めたのは覚えています。(最初から作った可能性もなきにしもあらず…)

歌詞の内容は最初はもっと暗かったのですが、去年のボカコレ2021春に本格的に投稿しようと思い咲真さんに歌声をお願いする際に変更しようとした時に、中学のクラスメイトが亡くなったことを知ったのを受けて今の形になりました。

v_flowerについて、

歌唱にflowerを用いた理由は以下の通り。
・中性的な声質である。(思春期を表現するのに適切だと感じた)
・激しい曲調に合うイメージがあった。
・flower=花=桜(花は季語では「心に映る華やかな姿の桜」を意味する)

歌詞の内容、そしてイラストの構図はわざと聞き手側がミスリードする様に組み立てましたが、そのミスリードも重要な要素です。

歌声とイラストの発注はほぼ同時期に行なっていたのですが、その両方を見て聞いてその素晴らしさと自分のオケの貧弱さに震え上がりました。
この二つに耐えうるものにしたいと考え、2021年のボカデュオ春への投稿は断念。
2022年の春にまた行われると信じて先送りしました。(開催されて本当に良かった…)

自分のレベルに絶望していた頃、今回編曲を担当して頂いた橙ミャオさんのとある作品に触れる事になりました。

sommeil / 夢川いちる

ミャオさんの作品はこれ以前から拝見していましたが、sommeilはその制作背景と前後の出来事も併せてとても記憶に残る作品でした。
「この人(猫)の手を借りる事が出来たら…」と本格的に思い始めたのはこの曲を聴いた後、たしか8月の頃でしたが実際にお願いしようと思い立ったのはその頃に月花のギターをTwitterのフォロワーさんにお願いしてアレンジしてもらい、完成品を聞いて誰かにアレンジしてもらうことに意義を見出したのがきっかけでした。

編曲のリクエストは「school food punishment、lalalarksのような楽曲に仕上げる」でした。
特にlalalarksは提供曲「花は幻」の印象が強く、その前身のSFPはミャオさんと初めて出会った際に教えてもらったというのもあり、これはこれで頼むしかないという気持ちでお願いしました。

ギターの幽さんはミャオさんの紹介で演奏して頂きました。激情をコード進行で表現したつもりなので難しいのでは…とギター弾けないのに勝手に思ってましたが、見事に弾き切ってもらえて感服です。ギタリストすぎょい。

動画は月花に引き続きやなつさん。
iSLEさんのイラスト単体でも十分素晴らしいと思っていたのですが、やなつさんの演出により新たな見せ方の知見を広げることが出来ました。
サムネイルはこの動画で特にお気に入りの部分です。

美しいサムネイル
西行法師の歌を引用
傘は心中物で重要なアイテムです


実は今、ボカロ曲を5曲同時並行で制作中です。
それぞれまた個性が違うものとなっているので、公開の際はそちらも見て頂けますと幸いです。

竹原ひろ(しずまゆず)

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