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移民・難民のパラダイム (上)

-移民が国家を滅ぼす-

 
  この原稿は、2023年12月20日にある団体に、レポートとして出したものです。大統領選の前に書いたもので、北米の深刻な闇として書きました。
時事問題は、1~2年経つと劣化してしまいますが、いま読み返しても古くなくなく、いまトランプ大統領が取り組んでいるい一丁目一番地である意味が、これを読むと理解できます。


 いまのアメリカを見ていると、日ごとに弱体していることが肌で感じます。パンデミック前までは、多民族国家こそが未来のカタチとしてグローバル社会を称賛していました。そして、単一民族国家は古いもので人類の進化を妨げるものであるかのような空気を作ってきました。しかし、ヨーロッパにしても北米にしても多民族国家の先に理想社会はなく、陰惨な光景にしかならないことに気づきはじめました。先進国は、グローバル社会を広げ過ぎた故に、自国民の生活を支えることが出来ない事態までなっています。他民族の共存は、移住してきた者と先住民の土地と経済圏の奪い合いであり、憎悪と不信の元凶を作り民族間の溝になっています。その溝は、日を追うごとにどんどん広がっています。地域によっては、地元にいながら他民族に安住と安穏の生活が奪われ、地元には住めない状況になっています。西海岸の大都市では、移住者が地元民を地方に追いやり、街そのものが変わってしまいました。日本では民族問題は、深く捉えていませんが決して素通り出来る問題ではないと思っています。いま国内は、民族間のトラブルによって治安が脅かされることが少ないので、その怖さを経験していません。しかし、その恐怖と憎悪は必ず押し寄せてきます。民族問題の怖さは、表面化したときには末期癌と同じで治療の施しがなく亡国するか、後世にまで禍根を残し、国を分断化する装置にもなります。いまは問題が沈殿かして、表立って見えないのが民族間の問題の怖さです。ウクライナにせよガザ地区にせよ、世界各地で起こっている殺戮の根幹は民族間の遺恨が、邪鬼になり現代に現れて殺戮の繰り返しをしているのが、この民族問題です。

 世界は、民族の大移動がはじっていて安住の地を求めて、北米やヨーロッパに流れているのが本質の理由です。アフリカ大陸からは、ヨーロッパに大量の難民が流れています。北米は、南米やアジアから民族の移動がはじまっています。どこも共通していることは、紛争地域や貧困で喘いでいる人(民族)が、安住の地を求めてライフラインがしっかりしている場所に集まってきています。日本もターゲットにされ、他民族が集中する1つの国になっています。なぜなら、治安が安定し衣食住が普通に出来る国だからです。
 日本は、世界情勢を理解しないまま情緒論で見ています。特に、日本で民族問題を話すと「差別か非差別化」という短絡な思考でしか見ようとしません。民族問題は、情緒や感情で捉えると国づくりを誤り亡国にも繋がります。歴史と文化を照らして、過去・現在・未来という1つの線で見ていかないと、必ず国の将来を見誤り、そのときのポピュリズムや情緒論だけで問題を見ると、正確な状況判断が出来ず民族の自滅と亡国に向かっていきます。
 いま、北米で起きている移民・難民問題は他人事ではありません。仮に、中国有事や朝鮮動乱が起きれば、大陸から多くの難民が押し寄せてきます。いま、北米で起きていることを見ておくと、日本の近未来を予測することが出来ます。今回は、北米で「何が起きているのか」について書きます。そして、多民族国家の行く末がどのようになっているのか? この現状を捉えるで、日本がどの道に行くべきなのか考える時期に来ていると思っています。
 
 まず、はじめに欧州や北米で「移民」という定義は日本人が思っているほど性善説でなっていません。もともと白人社会は、奴隷社会からはじまった文明を持っています。その根幹は、他民族や他国民を傘下にして労働をさせて文明を繁栄させた歴史からはじまっています。民族観から世界を見たときに、日本人が考えている移民や難民とは違う発想から他国の政治は、はじまっています。今回は、歴史的背景の深堀はしませんが「日本人が考えている他民族との共存」と「白人社会が作り上げてきた社会」は全く違うものです。

 その1例が、日本でリベラルと称する人や知識人は、北欧は先進的な国づくりをして「いい国だ」と日本の中では浸透しています。しかし、スウェーデンは1960年代からトルコ人の移民を受け入れて、スウェーデン人がやらない仕事をトルコ人がやり経済の下支えをしてきました。日本では、社会保障が充実していて人権を重んじる国家として北欧を先進的な国と言っていますが、中東や東欧から出稼ぎ労働者を入れて格差社会を作って経済を回してきたのが実態です。欧州社会の「移民」の発想の1つに、3K「きつい・汚い・危険」など自国民がしたくない仕事を、移民という形で労働者を受け入れて経済を回す根底の社会構造があります。日本人が性善説で見ている人権や平等という発想は、欧州や北米にはなくそれを承知で移民として受け入れてきたのがヨーロッパ文明(白人優越主義)の歴史です。
 話しは、北米の話しに戻します。バイデン政権になってから、前政権との違い出すために移民規制を緩和したことから、この問題ははじまっています。連日連夜、移民・難民希望者がアメリカ国境に押し寄せてきてメキシコの各地で浮浪者がテント村を作りアメリカに入国する手立てを探っています。日本人が難民と聞くと、「貧困や生活苦で可哀想で助けなければいけない」と連想しますが、実体はそんななまやさしいモノではありません。何千~何万人になると難民や移民は、時として治安悪化の元凶になり人が凶器にもなります。多くの難民の実体は、浮浪者で手に職もなければ学もない人が多く、異文化の中で生活が出来る状態ではありません。加えて、彼らは貧困状態で来るので、入国許可を出しても数か月は彼らの生活を保障するライフラインを作らなければなりません。そのライフラインは、公的資金で作るので納税者からは「何のためにしているのか解らない」という住民自治とは違う特殊な政治をすることになります。加えて、多くの難民は決死の覚悟で来るので、「生きるためなら何でもする」という平穏の中で生きてきた人とは違う人生観を持っています。お金になるのであれば何でもやるので、犯罪に手を染め闇の世界と繋がることも容易であります。
日本人が考えている「難民=可哀想」という次元の話しではありません。

 現在、アメリカとメキシコの国境で起きていることは、1日に何千~何万人の人が押し寄せてきてカオスの状態になり、難民村を作り不法入国をする者が増えてコントロール不能になっています。当然、不法入国を斡旋する闇商売や麻薬の密輸業者も出てきて、さらに闇の世界とつながっています。最近の報告では、南米や中国からの人が多く、幾つもの国(コスタリカ→ニカラグア→ホンジュラス→グアテマラ→メキシコ)を渡りアメリカを目指して、国境付近に大量の難民が住み着いている状況になっています。


 YouTubeで、「America border・Mexico・Immigration」で検索すると海外の映像が出てきます。
 https://www.youtube.com/watch?v=NyssZRWaMWg
https://www.youtube.com/watch?v=5L1xSC5R-Ak
https://www.youtube.com/watch?v=lbPaRtrqVUc
 
 あまりにもイメージがわかないので、日本国で置き換えてみたいと思います。アメリカとメキシコの国境は、3150kmと言われています。北海道 宗谷岬~鹿児島 佐多岬まで2700kmです。そこに、刑務所のような壁を作り職員を配置して、不法入国者を取り締まるというのが国境警備隊の仕事です。想像しただけで、とてつもない国費を使って国境警備をしているのが理解できます。その担当部署は、CBP(U.S. Customs and Border Protection:米国税関国境警備局)です。日本の警察官以上に武装をするので、1人の装着する装備品の費用も相当の金額がかかっています。このCBPのレポートを見ると、政治と移民・難民の関係がよく解ります。



 米国税関国境警備局が、移民・難民の取り締まりのレポートが出ていたので下に載せておきます。この表をよく見ると政治と移民・難民の因果関係がよく解ります。
この表の見方は、データは9月末締めになっています。2024年のデータは、23年10月1日―24年9月30日
Office of Field Operations Total Encounters : 現地難民申請件数(各入国管理局で、入国・容認できない者・自国に帰国した件数)
U.S Border Patrol Total Encounters:国境警備で検挙した件数 (国境で不法入国者を取り締まった件数)

 
 バイデン政権になってから、異常に難民と不法侵入者数が伸びているのがわかります。しかも、国境警備で検挙した件数(不法入国者)が21年度から4倍に増えています。24年は、1~2ヶ月のデータでしかないにも関わらず(19万件)、17年度(31万件)の半分以上になっています。
*書いていた時は、2023年11月の政府のレポートを起用したため、24年の数字が低いのは、1~2か月のデータしか入っていない。24年は、1年のデータではないので、すごく低くなっている。

 大統領が、何を表明したかによって移民・難民の問題が直接的に関係していることが、この表を見るとよく解ります。あくまでも、国境警備隊に捕まった件数であり不法入国者の数は解りません。ちなみに、現地難民申請件数が少ないのは、正当な手続きで移民・難民の申請を挙げても、即日に入国許可は出ません。加えて、各入国管理局で通常手続きをしても、書類は受け取っても門前払いで帰国を命じられるからです。それが解っているので、多くの人は正当なやり方でアメリカ入国はせず、非合法で入国していることがこの表が示しています。
  
 移民や難民に興味ある人は、CBPのサイトを見ると、アメリカの難民や移民政策に対する法やレポートが書かれているので参考になります。日本も移民を受け入れていくのであれば、特別な組織を作り取り締る法を明確にして、国としての姿勢を示す必要があると思っています。
 
 日本で移民・難民に関連する話しですが、3年前に収容しているスリランカの女性が死亡する事件が起きました。(すでに、5年前の事件になっている。)そのときに、メディアは大きく騒ぎ、外国人の人権を擁護する報道をしました。そして、管理体制が杜撰だとして出入国在留管理局の局長と幹部を厳重に処分したというニュースが日本中駆け巡りました。
 
 海外からこの事件を見ていて不思議なのは、なぜ管理局の人たちが処分さ
 れるのか?
 

 まったく理解できませんでした。本来、ビザが切れていれば強制返還するのが諸外国の常識です。そこには、情緒的な感情や不法滞在者に対して通常の人権はありません。「法の下の平等」でしかなく、外国人の希望とはそぐわないことをするのは当然です。しかも、不法滞在をしているだけで犯罪者です。日本のメディアには、その認識がありません。
 本来、あのような事件が他国で起きた場合、ビザが切れている時点で即刻強制返還です。その時点で、帰国の航空チケットを買わされます。それは、高かろうが安かろうが知ったことではありません。個人にお金がない場合は、その国の領事館が立て替えて支払うのが常識です。今回の場合、ビザが切れているにも関わらず、半年以上も滞在させて日本の税金を使って外国人の生活を保障している意味不明なことをしました。日本にいる外国人は、この事例をもとに日本人の民族観と国境の隙間を見ています。そして、彼らはこの情緒論に流れる脇の甘さを嘲笑しています。なぜなら、業務をまっとうしている職員を厳罰にして、外国人犯罪者を保護する社会を見て日本人の国家観のなさを、どこかでバカにしています。
 これから日本は、外国人に対して国家観と民族観を持たないと、外国人を無法にさせ遺恨が邪鬼になり、双方にとって未来はありません。戦後レジュームの脱却は、この移民・難民問題にも深く関係しています。
 
 
 



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