Nitto ATP FINALS DAY6
ジョコビッチ v A.ズベレフ
勝てば準決勝進出というシンプルな対決。対戦成績H2Hはジョコビッチ3勝ズベレフ2勝。
ジョコビッチの当たり前
序盤からジョコビッチの落ち着いたストロークが目立ちます。ネットプレーも確実性があり、相手の体勢が崩れた場合に限ってネットを取るスタイルなので12回出て9回成功という高い確率も素晴らしい点です。
そしてゲームの中でカウントが有利になった30−0や40-0の状況ではある程度思い切ったプレーをしますが、30-30などのカウントではリスクを負うプレーは殆ど選択しません。こういったカウントでのプレー選択はジョコビッチの特徴と言えると思います。
そして真骨頂ともいえるのが「連続失点をしない」という原則です。
ゲーム内で連続(ここでは2連続)でポイントを取られるとカウント的にも不利になりますし、試合の流れや勢い(モメンタム)が生まれやすい状況が起こります。
だからこそ連続でポイントを取りにいく事はスポーツにおいて重要ですし、相手に連続でポイントを取られる事は避けていきたい訳です。
この原則をジョコビッチはしっかりと試合中にコントロールしていると感じます。
ズベレフの課題
ズベレフは鍋島さんの言葉を借りると「スケールの大きいテニス」です。僕も本当に同意します。
彼がナンバーワンに近くには「ネットへの出方の修正」と「モメンタムの原則」は必須だと思います。
ネットへの出方はやや強引さがあり、相手の体勢を崩し切っていないアプローチの仕方があり、相手からパスを喰らう事が多いです。
現代テニスではサーブ&ボレーのスタイルではパスを打つストローク側がどうしても有利な状況です。これはラケットとストリングスの圧倒的な進化によりストロークのスピードが増した為、ボレーの反応速度が追いつかない場面が多くなったからだと個人的に感じています。
だからこそネットプレーは相手の体勢をストロークで崩し、ネットに詰めてポイントをフィニッシュするというスタイルが主流であり、現代では必須のテクニックです。
ネットへの出方を理解し、確実性のあるポイントフィニッシュの形はどの選手にもあてはまります。近年ジョコビッチやナダルはこのスタイルに円熟味が出て来ました。
だからといってサーブ&ボレーがなくなるわけではありません。この戦術は相手のリターンの高さ(ネットクリアランス)をサーバ側がコントロールするためにも大切です。
A.ズベレフがネットへの出方が相手を崩していないアプローチをするのか?に関しては彼にはミーシャというお兄さんがいて、彼のプレースタイルがサーブ&ボレーなので、それを幼少期から見ている影響なのかもしれないなという考えもあります。(個人的にはミーシャのテニスが大好き)
気がつけばネットプレー論の様になってしまいましたが、ネットへの出方を理解しておく事はテニスを観る方もプレーする方もとても大事だと思っていますので、ここに記しておきます。
今日はジョコビッチとティームの試合を解説します。
ティームのストローク(特にフォア)の修正が試合でどこまで機能するのか?そしてジョコビッチの当たり前の戦術が今日も見れるのか?
楽しみな準決勝です。