海外(というかMSRA)インターンについて
はじめに
僕は2016年の6〜11月の日程で、中国・北京にある Microsoft Research Asia (MSRA) にてインターンシップを行ってきました。
まぁいろいろとあったのですが、その際の経験やTipsなんかをまとめて見たいと思います。
基本的に keiskSさんのMSRAインターン記録 のフォーマットに則って (パクって?) 書いています。
MSRA特有の話もたくさんありますが、インターンを検討している人や準備をしている人の参考になればうれしいです。
また、この記事は eeic advent calendar 2016 の16日目の記事です。
(eeicとそんなに関連して無くてごめんなさい、5%くらいの人には刺さると思うので許してね)
(2018/10/27 追記: 意外と読まれている(らしい)ので、誤字とフォーマットを微修正しました。研究内容もそろそろ話せるので落ち着いたら書きます。)
海外 (研究) インターンと普通のインターンって何が違うの?
いろいろ違いはあるかと思いますが、僕が大きく違うと思った点をあげます。
海外インターンは期間が長い
国内インターンだと短いと数日、長くても1ヶ月とかだと思いますが、僕が行ったMSRAでは3ヶ月がデフォ、僕の場合は半年と言われました。
海外インターンはガチで研究をする
海外インターンの場合、基本的にそこで研究を1つ立ち上げて仕上げるまでをやります。
国内インターンのようにプレ就活にちょこっとお手伝い、みたいなニュアンスは少なくともMSRAにはありません。
なので3ヶ月でも全然短くて、全然時間は足りないです。期間が終わって帰国後に論文をまとめる人も多いです。
僕は研究の進みがイマイチだったのもあって、最初の5ヶ月では終わらず、もう一回行くことになりました。
海外インターンは行くまでが大変
ガチで研究しに行ってお給料をもらうので、受け入れ先も相応の負担をしてインターンを受け入れます。
見込みのない人を受け入れると研究者も、インターンも不幸になってしまうので、事前にきちんと審査をされます
MSRAの場合はCV(英語で書いた履歴書)を送って、その後面談ということが多いようです。
eeicでは落ちたという人はあまり聞かないですが、MSRAで周りにいたeeicの人たちはみんな優秀でした。
(自分の無能っぷりが際立っていた)
海外インターンでは基本的にすべて英語を使用
MSRAでは中国語スキルも(日常生活で)要求されますが、基本的にすべての会話は英語です。
僕はメンターが日本人というレアケースだったのでそこのディスカッションは日本語でした。
海外インターンでは外国で生活をする
まぁ当たり前なんですが
宿舎のようなものは受け入れ先が用意してくれると思います。
慣れない環境で暮らすことになるのでストレスを溜める人も多いらしいです。
MSRAインターン決定時の僕のスペック
博士課程に進学してすぐ話が動き出して、D1の夏に当たる時期に行っていました。
MSRAでは基本的にD以上の人が多い印象です。
D3は忙しいので、D1,D2がメイン。
優秀な人ではM2の人もいました。
申し込み時点での研究業績は論文誌 (和文) 1件、国際会議口頭発表 (ショートペーパー) 1件、国際会議ポスター発表1件 (すべて筆頭) でした。
実績が心もとなかったので、CVのスキル欄にはこれでもかとできることを書いておいた(笑)
ちなみに、僕のメンターが求める学生インターン条件はこちらから見れます。(Otherタブをクリックするとでてきます。)
ハードル高杉ワロタ
でも結局このスキルは全部必要なので行ってから結構しんどかったです。
インターン出発まで
僕の場合のインターン出発までの流れを時系列でまとめてみました。
3月末
某お花見にてA先生 (Not 指導教官) に「MSRAでのインターンに興味はある人はいるか?」と言われる。
深く考えずに「行きたいです!」と返答。
メールを送るように言われる。
その日のうちにメンターの希望とCV、やりたいテーマ (案) についてメールを送信する。
4月中旬
メンター(になってほしい研究者)の方から返事を頂く。
スキル的には大丈夫だと思うので、スケジュールとテーマについて、Skypeで面談して相談しましょうという話に。
4/26
Skypeで面談。
自分の略歴やこれまでやってきた研究プロジェクトなどを動画も交えつつ紹介。
ここでプログラムのミニ試験がある人が多いらしいですが僕はなかったです。
おそらく研究がハードウェア寄りなので、過去の研究における実装などを見せることが代わりになっていたのだと思います。
スケジュールとテーマも大丈夫そうだということで、この時点でインターンに行くことが(メンターと僕の間で)決定することに。
5/12
正式なOffer LetterがMSRAから届く。
時期の関係で、急だが5/30からインターン開始ということに決定。
すぐに承諾の返信をする。
がしかし、ビザを取得するために必要なLetterの発行が遅延して5/30の渡航が間に合わなかった。
1週間延期して6/5開始に変更に。
ちなみに、ビザはMダブルで取得しました。
本当はMマルチがよかった
中国の入出国スタンプがパスポートに4個以上無いとマルチは取得不可だったのでダブルに。
6/5
インターン開始
1週間遅れ
10月第1週
国慶節(勤労感謝の日が1週間になったやつ的なもの)
1週間まるまる休み。
この時期は研究室のプロジェクト準備のために帰国してました。
11/4
インターン終了。
ちょうど5ヶ月いた計算に
ただし、途中国際会議 (UbiCompとUIST) やら展示会やらロボコン観戦やら風邪やらで出国したりお休みしたりので、実労働期間は4ヶ月弱くらい。
MSRAでの生活
University Relations in Japan, Microsoft Research Asia のブログがとても参考になります。
この記事はインターン生にはおそらく全員お願いが来るもので、僕も書いているので参考にしてみてください。
ただし、書いたのがオンボード直後で、その後にいろいろと知ったことがあるのでそれについてはこのページに書いてみようと思います。
また、keiskSさんのMSRAインターン記録もとても参考になると思います。
差分と言うか僕の経験で追記しておくとすれば、
中国語講座はMSRA内でクラスが開講される(こともある)
非中国語話者インターンが一定数集まると中国語講座が開講されます、僕のときは週1回2時間でした。
中国語を英語で教わるのでなんというかちょっと非効率です。ランゲージエクスチェンジとかのほうが効率的かも。
時期によっては既に開講されているものに放り込まれるケースもあるかもしれません。
ただし、僕は時間がなかったために途中から出席しなくなりましたが…
keiskSさんが書いていた語学学校に通ってるインターン生は僕の周りではいなかったです。
交通手段
主にバスを使っていました
終バスが10時半なのはその通りなのですが、実は深夜帯に運行されてるバスもあり(23:20から20〜30分おき)、そのバスもよく使っていました。
地下鉄はMSRAから駅、駅からアパートが結構遠く、特に駅からアパートがめちゃ遠いので、通勤にはほとんど使いませんでした。
自転車もシーズン次第ではありだと思います。
僕は(インターン生に協力してもらって)買ったのに、1ヶ月くらいでパクられました。(無能)
SIMフリーのスマホを準備しておく
現地でスマホ+携帯回線が使えるか使えないかは結構生死を分けます。スマホの現地調達も可能ですが、できるだけ日本で使ってる端末のSIMロックを解除するなり、SIMフリーのサブ機を買うなりで端末を準備しておいたほうが良いと思います。
ちなみに香港回線を使うと中国のグレートファイアーウォールを突破できるのでGoogleにも接続可能ですが、電話番号がもらえないのでSMSが受信できず、WeChatなどのアプリが使えなくなるので不便です。
昔はDual Number SIMなる本土と香港の両方の電話番号がもらえる最強SIMがあったらしいが販売が終了してしまったそう。
銀行口座
中国銀行の銀行口座を作るように言われると思いますが、2016年8月頃に規定が変わったようで、中国銀行では数ヶ月程度の滞在者の銀行口座は開設できなくなったようです。
僕の周囲では代わりに中国招商銀行の口座を作っている人が多かったです。中国銀行と中国招商銀行のATMはどちらもMSRAの1Fにあります。
WeChat最強
中国ではLINEは使えないので基本的なやりとりはWeChatですることになります。
また、WeChatは銀行口座と紐付けてWeChat Payという電子決済サービスを使うことができ、これでほぼなんでも買えます。財布いりません。
しかもチャットグループメンバーで割り勘とかもできます。中国すごい。
Tips
ビザ
ビザは基本的にM (業務) ビザで有効期間が90日のものを取得することになると思います。
入出国の制約別に3種類あります。
シングル (出国不可、1回でも出国したら失効)
ダブル (期間内に1回だけ出国可能、次に入国したときからまた有効期間がリセットされてスタート)
マルチ(期間内なら何回でも出国可能、次に入国したときはダブルと同様リセットされてスタート)
中国で1回だけビザの延長ができます。
どのビザを最初に取得していても延長で取得できるのはシングルのみ
期間は最初に取得した物同様90日かと思いきや僕はなぜか60日でした。謎。
この延長は有効期間内だけど、出国してビザが失効してしまうので事前に取得しておきたい、という場合でも対応可能です。
僕は学会で出国するかもしれなかったのであまり深く考えずダブルで取ったのですが、ダブルでも90日以内に出国しないとシングル同様失効するので注意が必要です。
昔は現地でマルチに更新可能などの情報があったけど、どうも2016年9月現在では不可能なよう。
中国のビザは基本的に代理店を通して入手することになります。
大使館に行っても代理店を通せと言われるとかなんとか。
僕はウエストンビザセンターという代理店を使いました。
応対はイマイチですが速くて安いです。(回し者ではないので念のため)
(2018/10/27 追記) 最近はMSRAインターン生に対する中国のビザ発給が非常に厳しくなっているらしいです。
上の情報は陳腐化している可能性が高いので最新の情報を確認してみてください。
MSRAインターンで研究をするということ
実はまだ研究がきちんと終わっていないので、目処がつき次第書きたいと思います。
おそらくいちばん需要がある章だと思うんですがごめんなさい。
NDAとかいろいろあるのでペーパーが出ないと難しいです。
海外インターン行ってみたいけど何すればいいの?
研究をする
書いたように、研究実績がある程度ないと門前払いの可能性が高いです。
なのでCVにかけるような実績(ジャーナルや国際会議論文)を挙げるべく研究にいそしみましょう。
コネをつくる
コネは大事です。
僕も先生のコネで紹介してもらえたのがきっかけでした。
いまコネがない人は、行きたいインターン先にコネがありそうな人に自分を積極的に売り込みましょう。
学会などのレセプションはそのためにあると個人的には思っています。
また、行ったことのある先輩に相談するなどもオススメです。
インターンの目的をはっきりさせる
勢いも大事ですが、なぜその研究者の下にインターンにいきたいのか、そこで何をするのかをしっかり考えたほうが良いと思います。
冷静に突き詰めて考えると、普通に日本で研究したほうが良い成果を上げ続けることができる人も一定数いるような気がしています。
僕は比較的勢いで行ってしまったクチで、そのあたりを指導教官から心配されていました。
結果的にそこそこうまく事が運んだから良かったものの、この点は反省しています。
がしかし、違った環境に身をおいて研究に専念できるという意味では、迷ったら行く、くらいの感覚で良いとも思ってます。
英語スキルをあげる
こればっかりはなんともですが、研究において英語ができて越したことはないです。
僕はいろんなタイミングでで英語力のNASAを痛感しています。
おわりに
去年は研究室予算というセンシティブなテーマを扱ったせいで諸方面からおしかり様々なご意見を頂いたので、今年は人畜無害なものにしました。
(でも意見としてはまったく変わっていないので、研究室選び中のB3の人は是非参考にしてほしいです。記事はこちら)
海外インターンはいろいろとしんどいことはあるものの、環境を変えてがっつり研究にいそしみ、また普段指導してもらっている先生とは違った形で研究に取り組めるので学びも多く、個人的には行ってよかったと思っています。
ただ、ネットで見れるページではある程度成功を収めた人しか海外インターンについて言及していないケースが多く、いわゆる生存者バイアスがかかっていると思うので、そのあたりについては研究室の先生や先輩達の話をたくさん聞いて判断してみてください。
また、Advent Calenderその2の @tackson5 先輩のポエム はめちゃくちゃためになったのでぜひ読んでみてください。MSRAでの経験についてもがっつり書いてあります。(ちなみに調べればわかることなので書いておきますが、文中で触れられている「コンテンツと理論系に別れている」研究室は僕の修士・博士の所属研究室です。当時とはまた状況は変わっているのであれですが。)
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