居着かぬ足捌きを究める!其之壱─ピンアン二段最終挙動
私の記事を読むのが初めての方は、先に下の記事を読んでください。
こちらの記事は、『月刊空手道』の2015年12月号に掲載されたものです。柳川先生の武道空手を習得する上で欠かすことのできない「居着かぬ足捌き」の精度を向上するために必要なポイントの説明と稽古法の紹介をしています。
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以下は当時、編集者に付けていただいたキャッチコピーの引用です。
柳川理論、再起動!
柳川昌弘氏が追求する武道空手において、「居着かぬ足捌き」とは、その今回をなすものである。「居着かぬ足捌き」が身についていなければ、なにもならない。それは、現在、競技組手にみられるような、つま先重心で小刻みにステップする足捌きではない。では、「居着かぬ足捌き」とは、どのようなもので、どのように身につければいいのか。愛弟子・宮路健文氏が解説する。
もし宜しければご購入のほど、よろしくお願いいたします。
はじめに
前回は、蹴りと「居着かぬ足捌き」は同一の原理に基づくとし、「居着かぬ足捌き」と前蹴りを融合させる稽古法をお伝えしました。
今回は、「居着かぬ足捌き」の基本の歩き方がある程度身についていることを前提に、さらに「居着かぬ足捌き」の精度を向上させるために必要なポイントの説明と、稽古法の紹介をしたいと思います。
重心を足裏のどこにおくか
「居着かぬ足捌き」を磨く上で、重心を足裏のどこに置くべきかということは大変重要です。
重心を足裏のどこに置くべきか──。一般的な空手実践者は、つま先側というでしょう。実際に、組手試合において、踵を浮かせ、つま先立ちとなり、ピョンビョンと小刻みにステップを踏み、後ろ足のつま先で床を蹴って移動する、いわゆる「フットワーク」が足運びの主流である以上、それは当然の答えといえるでしょう。
しかし、それだけの答えを理由に、それが正解であると断言するのはいささか早計であるといわざるを得ません。
結論から先に述べると、著者が修行する柳川昌弘先生の武道空手の観点からすれば、つま先に重心を置くのは誤りであるからです。なぜなら、つま先に重心を置くことが「居着き」を生み、自由自在な「居着かぬ足捌き」の妨げとなるからです。「居着かぬ足捌き」を前提とするとき、足裏の重心は踵側(正確には土踏まず、内踝の真下)になります。
つま先重心と踵重心の比較
本稿では、つま先重心と踵重心における移動時の足と「正中線」の軌道を比較し、つま先重心と踵重心のどちらがより正しい重心の取り方であるのかを検証するとともに、いわゆる「フットワーク」に対する「居着かぬ足捌き」の優位性を論じます。
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