ユニオンオーナーズクラブ検証(無限木部ファーム編・後編)
こんにちは、たけふじのざんとうです。
前編ではユニオン23世代、木部ファームの3頭提供とその中の1頭、サンヴィヴァンの23提供経緯の謎について言及したところで終わったんですが、後編ではそこから一応の総括に向かっていきたいと思います。
前編読んでない人はマジで何言ってるかわからねーと思うので、良ければコチラから読んでみてね。
読んでもよく分からん…って人、安心してください。
それが正常です()
さて、前編ではサンヴィヴァンの所有者が山内晃氏であるというところで話が終わりました。
山内氏の所有馬は確認できるところでは、2005年産のシェアマイヒメという馬を庭先で購入しているのが最も古いもので、翌年も1頭所有しているもののそこから5年間購買履歴なし。
次に確認できるのは2011年、追分ファームからミシェルメモリアルという馬を庭先で購入すると、翌年2012年には例のサンヴィヴァンを千葉サラブレッドセールで社台ファームから、さらに2013年のセレクトセールではデネブという馬を木村秀則牧場から購入している。
その後も、2014年にプリンセスアイリス、2016年にフォーエトリーをセールで購入すると、2017年産までは毎年1頭のペースでセールでの購買を行ってきました。
分岐点は2018年産。
先に述べたデネブとサンヴィヴァンの初年度産駒が木部ファームにて産まれたこの年から、山内氏はこの2頭の産駒以外一切所有をしていないんですね。
その後はこの両馬の産駒を毎年所有していたのですが、それが途切れたのが2021年産のデネブ産駒。
サマーセールに出された同馬は税込374万という価格で売却されたものの未出走に終わっている。
同年産のサンヴィヴァン産駒はストラクチャーという馬で、浜田厩舎に入厩し中央1勝を挙げ今も現役中です。
サンヴィヴァン産駒は2022年産のテクスチャーも山内氏が所有。
しかし、同年のデネブ産駒の方はサマーセールに上場され主取に終わっている。
更にデネブ産駒は2023年のダノンスマッシュ産駒もサマーセールへ。
つまり、デネブ産駒は2021年から3年連続で全てセールに出されているわけで、これは明確に山内氏の中での期待値がサンヴィヴァン>デネブとなったのが理由でしょう。
あれ?でも2023年産はサンヴィヴァンも売ってるんだよな…またセールで買う方針に切り替えたのかな…と思ったんですが違いました。
はい、2016年にノーザンから購入していたフォートエリーの初仔。
なるほどこれですね。
サンヴィヴァンは産駒が中央で初勝利を挙げたとはいえ、現役時代は中央で全く勝負にならず地方転籍。
一方のフォートエリーは勝ち上がりこそならなかったものの中央で3着、2着と能力を見せていた馬です。
しかも前者はアメリカンペイトリオット、後者はダノンプレミアム。
どちらを所有したいかと言われたら…まあフォートエリーになりますよね。
おそらくサンヴィヴァン23が売却された最たる理由はこれでしょう。
ただですね。それなら別にセールに出してもいいわけですよ。
実際デネブ産駒はセールに出してるし。
加えて言えば、山内さんは過去全ての預託生産を木部ファームで行っていて、逆に木部ファームさんも2018年からずっと山内さんの馬を預かっています。
おそらく個人馬主で最も親交があると言っても過言ではないはずなんですね。
もし、サンヴィヴァン23のデキが悪かったとしたら、わざわざ木部さんに売りつけるでしょうか?
また、木部さん側にもデキが悪い馬を買う理由が見当たりません。
肌馬として残せる牝馬ならまだしも今回は牡馬。
そして、前編でも述べたように基本自己所有方針の木部さんですから、提供馬の頭数だけ揃えるならわざわざ余所から買う必要は無いはずです。
事実2023年産で言えば、スカーゲンやワイルドアフリカの産駒が現状浮いていますからね。
つまりこれは、フォートエリー23以外の産駒を売却したい山内さんと、ユニオンになるべく質の良い馬を提供したい木部さんとの間で利害が一致したのではないか?と私なりに推測しました。
というわけで一応の結論としては、サンヴィヴァン23は木部さん自身は一定の評価をした上でユニオンに下ろしているものと考えています。
とはいえ値付けを見れば、
ブラーノ23(牝)…2400万
ジレーネ23(牡)…1500万
サンヴィヴァン23(牡)…1400万
ですから、最も期待しているのはブラーノ23なのはほぼ間違いのない所でしょう。
サンヴィヴァンが浜田厩舎に預託されたのは兄ストラクチャー預託の縁からでしょうが、ジレーネの加藤士厩舎は初預託。
ブラーノの石坂厩舎はジレーネの22、アジュマンからの縁でしょうが、こちらもアジュマン預託の経緯は不明です。
仔馬カメラ(旧ニューマレコード、アフロin El Paso)の小阪さんの紹介なのかなあとも考えたんですが、ちょっと確認できませんでした。
サンヴィヴァン23単体の配合についてはまあまあ評価は高くて、まず父のアメリカンペイトリオットは産駒全体の勝ち上がり率が33%と水準並み、日高系種牡馬であることを考慮すると優秀な部類です。
更にアメリカンペイトリオット産駒を5代アウト、非5代アウトに分けた場合、
5代アウト…勝ち上がり率 41.9% AEI 1.10
非5代アウト…勝ち上がり率 27.8% AEI 0.63
と有意差があると言って差支えのない指数が出ています。
このようにアウトに好成績が偏る種牡馬というのは、概ね種牡馬自身の主張が強すぎることが原因であることが多いです。
料理で例えるなら、味が濃すぎる、塩味が強すぎるみたいなニュアンスですね。
味が濃すぎるなら少し薄めた方が、塩味が強いなら砂糖を足したりした方がおいしいですよね。
配合というのも小難しいことを言えば色々ありますが、ザックリと言えば似たような感覚で大丈夫です。
アメリカンペイトリオット自身、Danzig直系のWar Frontである上に、母父もアメリカのパワーを凝縮したIn Realityの直系Tiznow。
更にNotebookも父が日本ではゴーゴーナカヤマやハイパーナカヤマを出したWell Decoratedに、パワータイプのTom Rolfe。
そして自身はMoon Glitter=Relaunch 5 x 4ですから、全体像としてかなりパワー型短距離馬といった印象を受けます。
スプリングSを買った出世頭のビーアストニッシドは母マオリオがネオユニヴァース×キングカメハメハ×ブライアンズタイムと明確に中距離に寄った血統構成の5代アウトですし、他を眺めてもサンデーサイレンスでアメペイの硬さを解しつつ、NureyevやSadler's WellsでForliを刺激するような配合が結果を出しています。
サンヴィヴァン自身はForliを持たないので、この点については減点せざるを得ない(アメリカンペイトリオットのスピードの源泉と言っても過言ではないので)のですが、大枠としてはバランスの取れた配合だと思います。
おそらくダート寄りの1400~1800が守備範囲。
上級条件まで行ける配合かと言われると難しい部分もありますが、2勝ぐらいなら期待していいと思います。
1400万という価格が微妙なラインではありますが、馬格もありますし、今回のnoteで主題に挙げた提供経緯から考えても2勝ぐらいなら十分期待できるレベルかと思います!
今回の無限木部ファーム編は一旦この辺りで締めますが、残りの2頭についての考察も時間があれば加筆したいと思います。
いずれにせよ、今年の木部ファーム産は勝負気配が漂ってます!
ゆっくり進捗を見守りながら検討できるクラブでもあるので、ぜひご一考下さい!
お読みいただきましてありがとうございました!