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京サラ2022年募集馬検証その⑦ ~ホリデイオンアイスの22編~

皆さんこんにちは!
第7弾は超マニアックなバンブーエール産駒、ホリデイオンアイスの22です!

評価基準は例によって、

①馬体や歩様は見てもわからないので自分では考えない。
②血統面(配合面を主として種牡馬成績・繁殖成績も含めて判断)
③牧場・厩舎についてはライン評価も込みで判断する。
④馬体については各種コメントを踏まえ、血統評価との相関性を重視する。
⑤連産や産次、母年齢、セックスバイアスは最終的に補正する。

としています。
評価はS+~Eまでの12段階評価としました。

Sクラス…GⅠ級
Aクラス…重賞級
Bクラス…OP級
Cクラス…準OP~1000万下級
Dクラス…500万級
Eクラス…未勝利級

5つの評価値の平均を出したのち、以下の2点を補正評価として加えたうえで総合評価と致します。
補正評価は+1でランク1つ分(BならB+に)となります。

[連産リズム補正]
これは高産次・連産についての考察として比較的信頼度の高いものとして、こちらのカミノアナログ氏の理論から拝借しております。

[セックスバイアス補正]
種牡馬の牡牝成績に関連して、補正を行っております。

また、総合評価に対して、募集金額・勝ち上がり率・獲得賞金期待値を勘案したコストパフォーマンス評価も採り入れ、最終的なオススメ度とさせていただいております!

こちらは独自の計算式に基づいておりますが、一口においては重要なファクターだと思っております。

それでは検証スタート!

【㉔ホリデイオンアイスの22】
父バンブーエール×母ホリデイオンアイス(母父ダンスインザダーク) 牝・母18歳時・2連産(前年度死産)
美・鈴木慎厩舎 高橋ファーム生産 600万募集(預託生産馬)

【父馬から見た血統評価】

父バンブーエールはアフリート産駒で、3歳時はジャパンダートダービーやダービーグランプリで2着に入るなどダート中距離で活躍。

古馬になって短距離路線に転戦すると本格化。
3連勝で臨んだJBCスプリントでブルーコンコルドやスマートファルコンなどを相手に逃げ切り4連勝。
見事初重賞&初J・GⅠ制覇を成し遂げました。

種牡馬としては当初は10頭前後の種付け数だったものの、少ない産駒から2年目産駒のダンツゴウユウがオープン勝ちの快挙を見せると、翌3年目はクリノヒビキが園田オータムトロフィを勝ち地方重賞制覇。

中央でも3勝のサニーダンサーを始めコンスタントに勝ち上がり、一時は勝ち上がり率70%という驚異のアベレージを叩き出しました。

2018年産では僅か4頭しかいない競走馬登録から出たキャッスルトップが自身の敗れたジャパンダートダービーを制覇。

これらの実績が評価されたのか、遅まきながら2020年産からは30頭超の肌馬を集めて一定の支持を得ています。

現2歳世代でもダテノショウグンが大井でデビューから4連勝の快進撃を見せているように、まだまだ可能性を秘めている種牡馬だと思いますね~。

ただ、産駒のセックスバイアスは大きく牡馬に傾いており、賞金上位はほとんど牡馬。
牝馬は10位の佐賀の名牝スーパージンガまで待たなければなりませんし、牡馬が中央でも一定の勝ち鞍を挙げているのに対して、牝馬は1勝もしていません。


バンブーエールの父アフリートはカナダ産のMr. Prospector直仔。
一応ジェロームHというGⅠを勝ってはいるものの、Gulchなどの一線級には歯が立たなかったという現役生活でした。

ちょっとの間アメリカで種牡馬入りし、チラホラと牝馬の活躍馬を出したものの目立つような成績ではなく。

そんな頃、日本で1頭の持ち込み馬が1994年の牝馬戦線を沸かせることになるんですが、それが父アフリート、母コマーズのゴールデンジャックでした。


8番人気で迎えた報知杯4歳牝馬特別(中京芝1200m・GⅡ、今でいうフィリーズレビュー)では、若き四位洋文を背に4角からまくりにかかると上がり最速で差し切り重賞初制覇。

桜花賞では大敗を喫し、距離不安を囁かれたサンスポ杯4歳牝馬特別(東京芝2000m・GⅡ、今でいうフローラS)をでは7番人気という低評価も、またまた豪脚一閃で差し切り勝ち。

しかしやっぱり距離不安が囁かれた(これはアフリートが当時短距離馬のイメージが強かったミスプロ直仔であったこと、また母父のDanzigも同様にスプリンターの印象が強かったことに由来する)本番オークス

インから先行抜け出しを測ったチョウカイキャロルを、横一杯に広がった直線の大外も大外からグングンと脚を伸ばし猛追。
最後は3/4馬身届かなかったものの、その豪脚が2400mでも衰えないことを証明しました。


その活躍に影響されたのか、アフリートは同年日本に輸入されます。
そしてアフリート大好きおじさん名伯楽・伊達秀和氏のサンシャイン牧場で産まれたプリモディーネが初年度から桜花賞制覇。

翌1997年度産のスターリングローズ(ゴールデンジャックの全弟)は、姉とは一転してダート戦線で活躍。

その後もコンスタントに活躍馬を輩出しリーディング上位が定位置となるも、結局中央での重賞勝ちは初年度のプリモディーネのみに留まり、他は概ねダートの活躍馬が占めることになりました。


アフリートの種牡馬としての優秀さは、当時流行の最先端であったMr. Prospectorのスピードを的確に伝えるという部分もあったが、それ以上に特筆すべきなのは母の父Venetian JesterのTom Fool×Princequillo×Delta(Nasrullah直仔。クロコルージュやNathanielの牝祖)という累代でしょう。

特にこのTom Foolという血は現代日本競馬に非常に適した血で、綺麗でロスの少ないストライドから来る軽快で燃費の良いスピードと卓越した運動神経(Menow)、そして頑健な米系パワー(Bull Dog)とそれを維持する欧米系のスタミナ(Peter Pan~Domino)を持つ万能さを子孫に伝えることとなります。

 Tom Foolの影響が強い馬は、その無駄のないストライドから来る力感のない推進力と燃費の良さから、距離適性に幅のある馬が多く見られます。

ステイヤーのようにトコトコと道中は追走し、いざ勝負所に入ると首をグッと下げて全身運動と脚の回転の速さでトップスピードに乗るという感じです。

先述のゴールデンジャックもそうですし、それこそバンブーエールも3歳時にダ2000mをこなしながら、古馬になってからはスプリントで活躍しました。

比較的近年の活躍馬で、最もTom Foolぽい双方をしていたと言えるのはスクリーンヒーローではないでしょうか?

ちょっと画質悪くて分かりにくいかもですが、道中は首をダラーンと下げてめちゃくちゃかったるそうに走っているのがわかると思います(笑)

このようにトップギアに入るまでは力感の無いフォームで追走し、一方でいざ直線に入ると首をしっかりと使った低く柔軟なストライドでするすると伸びてくるわけですね。

この省エネ走法がまさにTom Foolそのもので、父グラスワンダー譲りの前捌きの強さと相まって東京2400mを制することが出来たと言えます。

https://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103328/

スクリーンヒーローは3代母のモデルスポートがTom Fool≒Spring Runの2×3でここがかなり影響しており、それはスクリーンヒーローの代表産駒モーリスにも伝わっているように思います。

モーリスも父ほどではないですがTom Foolらしい走りをしていたので、興味がある方はご覧になってみてください。

血統派泣かせの代表格、アスカクリチャンも一見「なんでスターリングローズ×ダイナレターが芝の2500m勝つんだよ…」と思ってしまうところですが、そもそも母母スワンスキーはイナリワンとの間に芝の中長距離で活躍したシグナスヒーローを産んでいます。

また、ダイナレターもダートのイメージが強いですが、芝で2勝を挙げている上に、OPに上がってからも富士Sや中山金杯で善戦しているようにダート一辺倒でもありませんでした。

そこにスターリングローズですから、BuckpasserとFlaming Pageを通じてかなりTom Foolが強調されていて、後から見ればある程度合点のいく血統構成なのでは?と言うのが私の見立てだったりします。



こういった万能性は勝ち上がり率にも表れていて、なんと通算の勝ち上がり率が75.72%という驚異的な数字を叩き出しています。

サンデーサイレンスが通算76.98%、ノーザンテーストが70.57%ですから、いかにアフリートが適応力が高く優秀な種牡馬であったかという証左ですよね。


さて、バンブーエール自身の配合は、母父がRainbow Quest。

一見重厚に見えますが、Tom Fool≒Spring Run≒Longfordの4×5*5ですから明確にTom Foolの脈絡を意識しているのが見て取れます。

そこに、ホリデイオンアイスが配されたのが本馬ということになりますね。


ホリデイオンアイスは父がダンスインザダークなのですが、その母名牝ダンシングキイはFlaming Page≒Tom Foolの3×4。

つまり、かなり端的に言うと、ダンスインザダークはサンデーサイレンスの軟質なキレと、ダンシングキイが伝えるTom Foolで走った馬だと言えると思います。

ここまで読んでくださった方なら、上がり3F33.8秒という驚異的な末脚で、まるで4角でワープしたかのように馬場の真ん中を縫ってきたあのスローの菊花賞が、サンデーサイレンスの血だけで勝ったものではないことは理解してもらえるのではないでしょうか。


そんなわけで、一見単なるアウトブリードに見えるこの配合。
実は父の持つTom Foolをダンシングキイで継続させた形になります。

更に言えば、Red God≒Haloの5×4でもあり、Gold DiggerとMill ReefがNasrullah+Count Fleet+Blue Larkspurが共通(NasrullahとCount FleetはThe Tetrarchのクロスが発生する)しており、相当軟質で軽い血を求めて配合されています。

バンブーエールは自身がダート馬であったこと、またマイナー種牡馬という立ち位置から、配合相手はほぼダート系の肌馬で固められていました。

セックスバイアスが極端に牡馬に偏っていたのも、その影響があったと考えるのはそこまで強引な論法でもないでしょう。

事実アフリート産駒も牡馬はダートでの活躍がほとんどで、オープンまで行った芝馬であるリキアイタイカンは母父Nijinsky(かつTom Fool持ち)、アポロフェニックスは母父がNijinsky系のCaerleon、イシヤクマッハも母父Nijinskyと明確にTom Foolを脈絡させている馬がほとんどです。

ここまであからさまに芝向きの肌が付けられたのはほとんど無さそうで、実績がない以上、希望的観測込みになってしまう部分は否めませんが、名種牡馬アフリートと名牝カーリングの血を信じて、プリモディーネやゴールデンジャックの再来を願っても罰は当たらない配合だと思います。

父視点の血統評価[B]


【母馬から見た血統評価】
母ホリデイオンアイスは現役時代未勝利。
名牝カーリングの産駒で唯一の牝馬でした。

その牝系を繋ぐ役割を一身に背負ったのですが、ここまでの産駒はダブルコークが2勝を挙げたのみで、他は全て中央未勝利に終わっています。

祖母カーリングは現役時代フランスオークスとヴェルメイユ賞に勝ったフランス牝馬クラシック二冠馬。
母としてもローエングリンを筆頭に活躍馬を輩出。
産駒の8頭中6頭が勝ち上がり、内オープン馬4頭、重賞馬2頭という素晴らしい成績を収めました。

また、産駒のローエングリンは種牡馬としてGⅠばロゴタイプを出しています。

カーリングが伝える特徴は、やはりGarde RoyaleやWild Riskが伝えるフランス的なナタ斬れと、マリーノやFine Topが伝える一本気な気性、そしてNasrullah≒Perfume2×3のTyrantが伝えるマイル寄りのスピードでした。

それをSadler's Wells+Shirley Heights+Glorious Songで前受けにまとめ上げたローエングリンが最高傑作なのは納得のいくところで、そのローエングリンをサンデー、Secretariat≒Eleven Plea明確にsuresで柔らかくしたロゴタイプが芝のマイル~中距離でGⅠを獲ったというのも納得のいくところ。 

しかし、間にダンスインザダークが入ったホリデイオンアイスはNijinskyの重厚さが前面に出てしまい、唯一勝ち上がった産駒は父キングカメハメハで疑似ローエングリンのように仕上げたダブルコーク(中央2勝)だけでした。

ダブルコークがローエングリンと比較して分かりやすく足りていないのはGlorious Songの部分であり、その要素があればオープンぐらいまで行っていたかもしれませんね。

カーリングを活かすためにはMill Reefの活用はどうしてもしたいところで、Mill ReefクロスのほかRivermanなどを組み込むのが正着だったのかなあと思っています。

本馬の場合は母ホリデイオンアイスが5代アウトなので、この世代はややクロスのキツい種牡馬を持ってくるのが定石ですが、父の項でも書いた通りTom Foolを軸として軽くて柔らかい血を脈絡させてはいるので、大きなマイナスにはならないかと思います。

気性面についてはWild Riskがどう出るかですね、、、。
上手く前進気勢に繋がってくれればプラスに働くとは思います。

どちらかと言うと、名牝カーリングの血を活かした配合といよりは、Tom FoolやRed God、Bold Rulerのような軽くて柔い血を、欧異系のカーリングが支えるといったベクトルの配合だと思います。

カーリング自身が元々名血ではあるけど、重いのは重いので、無理に活用するよりは軽さに全振りするてのはあながちマイナスでもないのでは?と考えます。

この馬が仮に繁殖入りする時は、またカーリングに表に出て仕事してもらいましょう笑

母視点の血統評価[D+]


【配合総評】
まずは芝寄りの馬体に出るかどうか。それが最大のテーマです。
ダートに出た場合かなり高い確率で未勝利に終わるでしょう。
ダートに出て勝ち上がれる適性が母にあるなら、サウスヴィグラスやクロフネで勝っててもおかしくないはずなので。

芝寄りに出た場合、Tom Fool由来の軽さ、特に前捌きの軽さや柔らかさが出ているかどうかが次のポイントで、そこが表現されてるなら1勝と言わずもう少し上のクラスを期待してもいい配合ではないかと思います。

血統総評[C]


【牧場評価】
生産は高橋ファーム。預託生産です。
村上進治牧場から移動してますね。

高橋ファームはあんまり芝の活躍馬でてないのでそこは気がかりですね、、育成も高橋ファームですし。

あまり高い評価は出来かねます。

牧場総評[E+]


【厩舎評価】
鈴木慎太郎厩舎は京サラではチェルキオに続いての預託ですね。
実はグリーンスウォードから預託してる現3歳のターンソウルが勝ち上がっています。

セリで330万の馬なので、これを勝ち上がらせたのは山上さん的にもまずまず評価してるんじゃないでしょうか?

開業4年目の厩舎で社台系の預託は少なく、去年までは1桁勝利に終わっていたものの、今年は16勝と大躍進。
馬具への工夫だったり、地方交流も使ったりと何とかして勝ち上がらせよう、稼がせようという姿勢は好感があったので、この傾向は個人的にもうれしい限りです。

現状京サラが預けている関東厩舎の中では、かなり安心していい部類の厩舎じゃないでしょうか?

とはいえ、ライン的に考えれば京サラ内での序列は関東厩舎でもやはり下で、今年でいえば相沢、上原あたりが関東の序列最上位でしょうから、新規の辻や牧よりも下手したら下、伊坂や新開あたりと同列の期待値と考えるのが妥当かと思います。

厩舎のみの評価だとC+ぐらいは出してもいいんですが、クラブの期待値分の補正でD+評価と言ったところでしょうか。

あと、厩舎の主戦はウチパクや津村ですが、宮崎も全然乗せるのでそれが嫌な人は注意しましょう笑
減量だとタケゾーや原君をちょくちょく起用しているみたいです。

厩舎評価[D+]


【馬体相関評価】
測尺時馬体重…404㎏
デビュー時予測馬体重…428㎏

以下山上コメントから抜粋。

「本馬は母似なのか、ダンスインザダークの雰囲気を持ちます」
「スピードがないというリスクも内在」

コメントから判断するに、現状はダート感はありませんね。
実際、馬体派の方の印象も「よくわからん…」と言ったものが多いようで、分からんということは明確にダートっぽくはないということでしょうから多少プラスに解釈していいのでは。

あとは血統講評にも書いた通りで、軽さが出てくればかなり上方修正していいかと思います。

かなり小さいので、ぶっちゃけ芝がダメならかなりキツいですね。
管囲は19.5㎝で、この上物なら大したリスクではないでしょう。

現状はこの評価に留めますが、今後の動き次第では変更あるかもしれません。
間違いなく様子見出来そうなので、ギリギリまで見極めたいところです。

馬体相関評価[D]


【補正要素】
連産リズム補正…-1(母高齢牝馬、2連産)
セックスバイアス補正…±0

セックスバイアス評価迷いましたが、芝に出れば牝でもいいのでは?との考えで補正無しとしました。

補正評価[-1]


【総合評価】
父血統評価[B+]
母血統評価[D]
牧場評価[E+]
厩舎評価[D+]
馬体相関評価[D]
補正[-1]

総合評価[D+]

現時点ではこの評価です。
今後芝向きの良さが出てくれば上方修正、ダート向きの硬さが出てくれば下方修正となります。

特に肩の可動域や、前捌きの軽さ、Tom Fool独特の膝下の柔軟さなどには注目したいですね。


【コストパフォーマンス評価】
募集額…600万
6歳末まで走った場合の必要経費…600+60×5=4200万
総合評価に相応する予想生涯獲得賞金(手当や奨励金も含む)…[D+]4000万(2勝クラス級)
未勝利の場合の最大損失額(3歳9月抹消時)…1549万

総合評価に相応する勝ち上がり率期待値…[D]30%(両親補正無し)

一口当たりの損益期待値…▲¥22,886

出資オススメ度[D]


現時点では強くオススメ出来る要素はありません。
ただ、かなりの確率でギリギリまで様子見できると思うので、そういう意味では長い目で出資候補の1頭に入れておいてくれてもいいのではないでしょうか?

こういう馬で当てるとかっこいいですよ!(笑)


検証は以上となります!!
参考になるかどうかはわかりませんが、面白かった!というかたはいいねや拡散して下さるとうれしいです!!

長文読んでいただきありがとうございました!!

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