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"母父Wilburnに注目!"は本当か?

おはようございます。今日も良い一日を。
たけふじのざんとうです。

先週、白毛馬のゴージャスが新馬勝ちして話題になりましたが、血統派の中でもちきりなのがその母父であるWilBurn

現役時代は9戦5勝。主な勝ち鞍はGⅡインディアナ・ダービーという種牡馬として平々凡々と言わざるを得ない彼ですが、少ないサンプルの中から彼を母父に持つジャンタルマンタルがGⅠ2勝、グランベルナデットもオープン勝ちとかなりの打率で活躍馬を出していました。

そんな中でゴージャスが新馬勝ちを収めたわけですが、これで母父WilBurnは6頭中3頭が中央勝ち上がり。
うち2頭がGⅠ馬1頭を含むオープン馬でですから、そりゃ話題になるのもむべなるかなというところですなあ。


いやーでもたった6頭でしょ?たまたまじゃね?
そういった声も聞こえてきます。
いや、聞こえてはきてないんですけど、聞こえてきたことにしてこの記事を書く動機にしました。

というわけでWilburnくんを血統面からかるーく紐解いてみたいと思います!


Wilburnの父、名BM・Bernardini

Wilburnの父はBernardini
3歳一杯で現役生活を終えたため戦績は8戦6勝ですが、その内3つがGⅠでこの年の最優秀3歳牡馬にも表彰されている名馬の1頭です。

A.P. Indy直仔ということもあり、ゼニヤッタの種付け初年度の相手にも選ばれたように種牡馬としても当然期待されていました。

そんな種牡馬Art Collectorの、初年度にStay Thirsty(トラヴァーズS、シガーマイルH)を2年目にはAlpha(トラヴァーズS)など出しますが、徐々に成績は低迷。
最終年にArt Collector(ペガサスワールドC)を出して何とか面目は保ったものの、元々の期待値からすれば地味と言わざるを得ないでしょう。

そもそもBernardiniの父A.P. Indyは北米でも直系を伸ばしていることから誤解されがちですが、実はそれほど北米的マッチョな血統表をしていません。

むしろ柔らかいぐらいで、それは日本でもシンボリインディやアラタマインディなど芝での代表産駒が多いことからも現れていますね。

そして2代母のOil FableもまたNasrullahとPrincequilloの豊富な軟質な血統であり、本来ならネジがユルユルでどうにもならなさそうなところを、Dr. Fagerの2×3というゴリゴリの米パワーを持つQuiet Americanという名の電動ドライバーでギュッと締めたのがBernardiniだったわけですね。

そんなBernardiniは種牡馬としては如何せんパワー不足な印象で、決して失敗種牡馬ではないけどワンパンチ足りないという結果になったのも納得のいくところです。


A.P. Indy自体とても優秀な血ではあるのですが、アメリカンなパワーというよりはどちらかというとしなやかな遅筋寄りの筋肉や可動域の広さを伝える傾向にあって、我々競馬ファンなら耳が痛いほどよく聞く「背中はいいものを持ってるんですが…」というタイプがまさにこれです。

車に例えるなら、足周りもいいし空力もいいし車体はいうことないんだけど肝心のエンジンがショボいといったイメージですね。
分かりにくいか。

まあ要はハードの品質の良さをよく伝える種牡馬であり、ソフト面はそんなに強くないんですね。


そんな感じで種牡馬としてはイマイチだったBernardini、実は母の父として大ブレイクを果たします。

GⅠクラスも続々と輩出し、2021年5月にはブルードメアサイアーとしてブラックタイプ勝馬を50頭送り出した史上最年少の種牡馬となりました。

一般的に種牡馬より繁殖入りのハードルが低い牝馬相手では、ソフト面の弱さが強調されがちだったBernardiniですが、母方に入ることでソフト面の強い種牡馬の血をもらうことで自身のハード面の強みを活かすことに成功したと言えます。


Blushing Groomの万能性

そんな名ブルードメアサイアーBernardiniに、Carson City肌のMoonlight Sonataが付けられたのが今回の主役Wilburnでした。

Carson Cityは現役時代5戦2勝の短距離馬でしたが、その卓越したスピードを買われて種牡馬入りするとCity Zip(米・ホープフルS)、State City(ドバイゴールデンシャヒーン)など活躍馬を多数輩出し、一躍人気種牡馬の座に上り詰めました。

日本で走ったCarson City産駒は父同様の短距離馬がほとんどでしたが、実は芝での活躍馬も多数おりダート一辺倒というわけでもありませんでした。

それはひとえにBlushing Groomの役割によるところが大きいでしょう。


Blushing Groomもまたハード面の優秀さを伝える種牡馬ではありますが、同時に最もNasrullah的だともいわれたRed Godの激しい気性やディクタスの母父父でもあるWild Riskの悍性も孕んでいて、それがBlushing Groomの多面性へと繋がっていきました。


注目すべきはWilburnななのか?

そんなBernardiniとCarson Cityを、バックパサー系Wheatly Hall×Cyane×Double Jay×Bull Dogという異系色の強い5代アウトの牝馬Wheatly Wayが受け皿になっている、というのがWilburnの全体的な血統構図です。

そんなを母父に持つ肌が日本の種牡馬の血を得て日本で走るわけですから、そりゃ芝をこなせても驚きはないんですよね。

ここまで語ってきてやはりWilburnは優秀なブルードメアサイアーだという印象は抱きました。

唐突ですがここで問題です。


問.今後もWilburn肌には注目すべきである。○か×か。










答.×
解説.Wilburn以外のBernardini系ブルードメアサイアーにも注目すべきであるから。













論理関係のおかしい問題を出してしまいすみませんでした。

まあでもこれは書いた通りです。
そもそもWilburnのBMとしての優秀さはBernardini由来によるところが大きいとみています。

事実、昨年のBCジュベナイルを勝ち、今年のフロリダダービーも勝ってケンタッキーダービーで1番人気を背負ってぶっ飛んだFiercenessはBernardiniの初年度産駒Stay Thirstyが母父ですし、同じく初年度産駒のTo Honor and Serveも母の父としてGⅠ馬を出し、輸入された直仔のエスキモーキセスの産駒は2頭とも勝ち上がっています。

無論Blushing Groomを持つWilburnの優秀さは頭一つ抜けてはいますが、Deputy Minister×Misty Hour(モズアスコットの母母)のTo Honor and Serveも日本においては大きな可能性を秘めています。


皆がWilburnに気付き始めた今だからこそ、その1手2手先を読んでBernardiniのポテンシャルを信じてみるのはいかがでしょうか?








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