コロナ禍における、サイバーリスクが知的財産(IP)ポートフォリオにもたらす新たな脅威
KPMGはロンドンの保険シンジケート・ロイズと共同で、「コロナ禍における、サイバーリスクが知的財産(IP)ポートフォリオにもたらす新たな脅威」に焦点を当てたレポートを発表しました。
「企業価値を高めるための知的財産の保護」と題された報告書では、企業価値の原動力としての知的財産の重要性が高まっていることを検証し、企業が直面しているリスクと機会を解説しています。
この報告書では、多くのリーダーが自社の知的財産の価値を認識しておらず、その周辺のリスク計画に関与していないことが明らかになっていると指摘しています。
企業はコロナ禍において、デジタル化やリモートワークの導入に取り組んでいますが、これらにより自社の知的財産をさまざまな新たなリスク(特にサイバーセキュリティの脅威の高まりに起因するリスク)にさらしているにもかかわらず、企業経営者の多くが「知的財産の開発段階におけるセキュリティ対策が最も脆弱な状態にあり、リモートワークにより、組織がサイバー犯罪者から機密情報を保護することがより困難になっていること」を理解していおらず、対応ができていないと述べています。
本レポートでは、従業員やビジネスパートナーとの間でNDA締結、所有権の明確化、情報アクセス保護により、上記、知的財産の創造や開発プロセスにおけるリスクを最小化する方法についてガイダンスを提供しています。
また、研究開発の作業が始まった瞬間から、知的財産ポートフォリオの収益化を含むその後の段階に至るまで、知的財産のライフサイクル全体を通して表面化するリスクを指摘しています。
また、知的財産を保護する企業として市場での明確な評判を得ることは、潜在的な侵害者を抑止するのにも役立つと述べています。
KPMG UKの保険パートナーであるポール・メレー氏は、「知的財産は、企業価値を左右する重要な要素になってきています。適切な評価やリスク管理プロセスがなければ、企業は知的財産ポートフォリオの資産化に失敗し、損害を被ることになります。現在、この分野における保険の提供は限られていますが、保険はこの価値を保護する役割を果たすことができます。既存のソリューションのように、知的財産権侵害に関連する法的コストをカバーするだけでなく、知的財産そのものの価値をより高く評価することを示す、より包括的なカバーを提供することに意欲的な企業には、大きなチャンスがあります」と述べています。
ロイズのイノベーション部門の責任者であるトレバー・メイナード博士は「これは、主要な無形資産に関する3つの詳細なレポートの第1弾です。現代の企業は、物理的資産に注意を払うのと同様に、これらの資産を保護しなければならず、保険はリスクを移転するための重要な方法です。これを受けて、ロイズのプロダクト・イノベーション・ファシリティはお客様と協力して、この分野における新しい保険ソリューションの創出に取り組んでいます。」と述べています。