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キスミの電話の事
7月30日
あと少しで昼休みだという頃、京都のキスミから電話が掛かってきた。
こんな中途半端な時刻に掛けてくることはあまりない。僕が出るなり、体調はどうかと言うのでいたって健康だと答える。
ヨネヤやモチヅキはあれから泊まって行ったのかなどキスミにしては珍しく、他愛ない話をしている陰で何か言いたいことでもあるような落ち着かない話し方をしている。
何かあったのかと尋ねると、たった今僕の家からキスミの携帯電話に電話が掛かってきたのだが、出てみると切れてしまったのだそうだ。
咄嗟にそのまま僕の家に掛け直したが、今度は誰も出ない。それで携帯電話に電話をしたのだという。
先日理由の分からない高熱を出して一日寝て過ごしていたのが、ぶり返したのではないかと思ったのだそうだ。
家にサカエダさんとリンは居るが、キスミに電話を掛けるとは思えない。
キスミはしばらく唸り声を発してから、何事か納得した様子だった。それならきっと機械の調子がおかしいのだろうとキスミは言う。そういうこともあるかも知れない。
仕事中に悪かったなと言って電話は切れた。